651系特急形交直両用電車

諸 元

最大長  21500mm
最大幅  2900mm
最大高  4140mm
主電動機  MT61形式(120kw)
制御方式  サイリスタ位相制御+直並列組合せ抵抗制御方式、界磁添加励磁制御方式
制動方式  回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキ制御方式、抑速ブレーキ
動力台車  DT56形式
附随台車  TR241形式

車内設備など

座  席  リクライニングシート
乗降扉(片側)  1扉、2扉
便所の有無  あり
その他  

概要

 常磐線の特急「ひたち」号。長らく485系が活躍していましたが、並行する常磐高速自動車道との競争が激しさを増すにつれて、製造から20年以上が経過し、高速化等の性能面や接客設備等のアコモ改良に限界が見えてきました。
 国鉄からJR東日本へ移行し、平成元年ダイヤ改正を機に新型特急形電車を投入する事とし、登場したのが本系列になります。従来の特急形電車は国鉄初となる151系を基本とし、改良を加えながら485系まで発展を続けました。651系はJR東日本初の特急形電車である事から、内外装を従来車から完全な脱却を図った設計となっています。形式は国鉄時代の車輛とは異なる、新機軸の車輛である事から、未使用であった600番代を使用しています。
 車体は高耐候性鋼製で、屋根、床板にステンレス鋼を用いたもので、大型の連続窓を並べた構造としています。塗装色はミルキーホワイトをベースに屋根部分をサンドグレー、裾部にオリーブグリーンの帯が入った、国鉄形特急形電車とは一線を画する斬新なものとなりました。登場時には「
タキシードボディのすごいヤツ」というキャッチコピーがありました。
 先頭車は非貫通構造の高運転台で、正面には前部標識灯と一体化したLED式愛称表示器を鉄道車輛では初めて採用しました。この表示器は列車愛称名の他、行先や発車時刻等を自由に表示出来ます。
 車内は普通席は2+2列、グリーン席は2+1列の配席で、落ち着いた車内とする為、間接照明を採用。全席に読書灯も設置されました。グリーン車にはオーディオと液晶モニタを設置し、衛星放送受信サービスが行われています。(平成9年終了)編成は輸送量に応じた編成とし、基本編成は7両、付属編成は4両とし、自動解結装置を装備し、増解結作業の省力化、迅速化を図っています。
 機器類では、交直両用電車ですが、交流50Hz専用となっています。仙台駅までの運用がある為、耐寒構造としていますが、降雪量が少ない地域を走る為、耐雪構造は省略されています。
 運転台機器類、台車等は205系に準じたものとし、主回路制御方式も205系や211系で採用された界磁添加励磁制御方式を採用し、基本は抵抗制御方式ですが、電力回生ブレーキを可能とする事で省エネルギー化を図っています。交流区間ではサイリスタ位相制御方式を採用し、電力回生ブレーキを可能としています。これは交直両用車輛では日本初の装備となっています。
 この他、特筆すべき点は本格的になモニタリングシステムを採用している点です。車輛の状態をコンピューターが見張るといった感じですが、かつてはドアの開閉状態や故障時の警告やデータの記録といった簡単なものでしたが、651系ではMON3形モニタ装置を採用。国内では前例が無い本格的なモニタリングシステムです。従来のシステムに加えて、乗務員や検修支援、旅客サービス向上に機能を大幅に拡張しています。因みにこのシステムに制御指令(力行、ブレーキ指令)を加えたのが209系で採用されたMON8形制御伝送装置であり、更に発展したものがE231系で採用された列車情報管理装置「TIMS」となります。
 特急「スーパーひたち」号を中心に活躍し、平成24年から後継のE657系へ置換えが始まりました。置き換えられた多くの車輛が高崎地区の特急列車へ転用。交流機器を封印した為、1000番代へ改番。こちらも老朽化が進んだ為、令和5年ダイヤ改正で運用を終了し、廃車されて系列消滅となっています。

0番代

クハ651-6(2位側) クハ651-104(1位側)

クハ651-1~
基本編成の仙台方に位置する制御車(7号車)です。電動空気圧縮機、電動発電機を搭載しています。連結器には自動解結装置を装備しています。車内は客室のみとなっています。
クハ651-101~
付属編成の仙台方に位置する制御車(11号車)です。0番代と同じ構造ですが、電動空気圧縮機、電動発電機は搭載していません。

クハ650-1(1位側) モハ651-6(2位側)

クハ650-1~
基本編成、付属編成の上野方に位置する制御車(基本編成は1号車、付属編成は8号車)です。電動空気圧縮機、電動発電機を搭載しています。連結器には自動解結装置を装備しています。トイレ、洗面所の設備があります。
モハ651-1~
基本編成では6号車、付属編成では10号車に位置する中間電動車で、モハ650-1~とユニットを組みます。主制御器を搭載しています。トイレ、洗面所の設備があります。

モハ651-106(4位側) モハ650-6(2位側)

モハ651-101~
基本編成の3号車に位置する中間電動車で、モハ650-101~とユニットを組みます。トイレ、洗面所の他に多目的室の設備があります。
モハ650-1~
基本編成では5号車、付属編成では9号車に位置するパンタグラフ付き中間電動車で、主変圧器、主制御器、蓄電池を搭載しています。車内には自動販売機の設備がありましたが、撤去されています。

モハ650-101(2位側) サロ651-1(2位側)

モハ650-101~
基本編成の2号車に位置するパンタグラフ付き中間電動車で、モハ651-101~とユニットを組みます。機器類は0番代と同じですが、車内販売準備室、自動販売機の設備があり、乗降扉の位置が異なります。
サロ651-1~
基本編成の4号車に位置する中間附随車(グリーン車)です。座席は2+1列の配置となっています。業務用室(車掌室)、トイレ、洗面所の設備があります。

1000番代
 平成25に0番代を改造し、登場した区分です。185系の置換えとして高崎地区の特急列車(スワローあかぎ、あかぎ、草津)に使用。直流区間での運用である事から、不要となる交流機器の撤去、使用停止処置(重量バランスを崩さない為に残置)を行った他、パンタグラフをシングルアーム式に変更。客室窓下部にオレンジ色の帯を追加する等の工事を行いましたが、搭載していた機器類や車内の設備に変更はありません。番号は原番号は使用していません。
 令和5年のダイヤ改正により、E257系に置き換えられました。

クハ651-1005(1位側) クハ651-1101(2位側)

クハ651-1001~
基本編成の高崎方に位置する制御車(7号車)です。クハ651-1~から7両改造しました。
クハ651-1101~
付属編成の高崎方に位置する制御車(11号車)です。クハ651-101~3両改造しました。

クハ650-1001(1位側) モハ651-1005(1位側)

クハ650-1001~
基本編成、付属編成の上野方に位置する制御車で、基本編成は1号車、付属編成は8号車に位置します。クハ650-1~を10両改造しました。
モハ651-1001~
基本編成では6号車、付属編成では10号車に位置する中間電動車で、モハ651-1~を10両改造しました。

モハ651-1101(4位側) モハ650-1005(1位側)

モハ651-1101~
基本編成の3号車に位置する中間電動車で、モハ651-101~を7両改造しました。
モハ650-1001~
基本編成では5号車、付属編成では9号車に位置するパンタグラフ付き中間電動車で、パンタグラフはシングルアーム式のPS33D形式に換装しています。モハ650-1~を10両改造しました。

モハ650-1101(4位側) サロ651-1005(3位側)

モハ650-1101~
基本編成の2号車に位置するパンタグラフ付き中間電動車で、モハ650-101~を7両改造しました。
サロ651-1001~
基本編成では4号車に位置する中間附随車(グリーン車)で、サロ651-1~を7両改造しました。

1000番代(伊豆クレイル(IZU CRAILE))
 「伊豆クレイル」号は平成28年に小田原と伊豆急下田駅を土休日に運転された観光列車(のってたのしい列車)で、全車グリーン車で構成される快速列車です。一部の座席は食事サービスとセットの旅行商品として販売されていました。
 愛称に使われる「クレイル(CRAILE)」は、Cresciuto(
クレッシュート):イタリア語で「大人、成長した」と言う意味。train(トレイン)、ile(イル:接尾辞の「~に適した」)を組み合わせた造語で、「大人に適した列車」を意味します。
 1000番代の付属編成を1編成改造したもので、塗装色は薄いピンク色を追加し、花柄を加えています。前面のLED式愛称表示器は撤去され、代わりにIZUの「I」とCRAILEの「C」、伊豆ゆかりの桜を組み合わせたロゴマークを付けています。
 土休日を中心に運転され、人気がありましたが、車輛の老朽化により僅か4年程の令和2年に通常の臨時運用を終了。その後、静岡デスティネーションキャンペーンで運行し、ラストラン運行が予定されていましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により全て中止となり、寂しい引退となりました。

クロ651-1101(1位側) クロ650-1007(2位側)

クロ651-1101
小田原方4号車に位置する制御車で、クハ651-1101を改造しました。最も定員が多く、52名。車内は回転式リクライニングシート40席、固定式ボックスシート12席で構成されています。
クロ650-1007
伊豆急下田方1号車に位置する制御車で、クハ650-1007を改造しました。定員は24名で、海側は窓側に向いたカウンター席、山側は1人掛けのボックスシートを配しています。

モロ651-1007(3位側) モロ650-1007(1位側)

モロ651-1007
3号車に位置する中間電動車で、モハ651-1007を改造しました。定員は22名で、4人用コンパートメント5室、車いす対応の2人用コンパートメント1室で構成されています。
モロ650-1007
2号車に位置するパンタグラフ付き中間電動車で、モハ650-1007を改造しました。定員設定は無く、パブリックスペースとなっている車輛で、バーカウンター、ラウンジを備えています。




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