
「コンテナ」は広義では、何かを入れる容器の事であり、身近にある衣装ケースやおもちゃ箱等を言います。鉄道や自動車等の物流の世界における「コンテナ」とは、貨物輸送を行う事を目的とした容器を言います。一般的には直方体の形状ですが、液体を運ぶコンテナは円筒形になる等、運ぶものに応じた形状が様々あります。
貨物を輸送する時に最も労力や時間を要するのが「積替え」です。人が車から船舶、飛行機から鉄道へ乗り換える事に相当するものです。この積替えを早く、スムーズに行える方法として、規格化された容器に貨物を載せて運ぶ発想が18世紀末に幾つかの国で生まれ、実際に運用が始められました。これがコンテナの始まりとされています。世界各国で統一した規格になったのは20世紀半ばで、鉄道、自動車、船舶と異なる輸送手段において、規格を統一したコンテナを製作し、それを輸送する事でスムーズに輸送が行え、従前の輸送手段と比較すると格段に輸送効率が向上しました。この異なる種類で貨物輸送が可能になるシステムを「インモーダル輸送(Intermodal freight transport)」と言い、日本語では「複合一貫輸送」と言います。
インモーダル輸送に使用されるコンテナは国際標準化機構(通称、ISO)という機関で定められた設計となっており、ISOコンテナと言います。日本では海上コンテナとも呼ばれます。
我が国のコンテナの誕生は世界とほぼ同じで、鉄道輸送では国鉄の前身である鉄道省が戦前に研究を始めました。当時は1t積みの小さなコンテナが設計され、試行錯誤を繰り返していました。戦争により一旦は中止されたものの、戦後に再開されます。しかし、1t積みは積載効率が悪く、5t積みは荷役機械やトラックが無い上、主力の有蓋車に競合する事から採用は見送られ、3t積みの3000形式有蓋コンテナを設計。これを基に試験を兼ねて営業を行いましたが、運賃が割高になる等不評に終わってしまいました。本格的にコンテナ輸送を実施すべく、これらの問題を改善。コンテナは5t積みとしました。
「戸口から戸口へ」のキャッチフレーズにある通り、貨物を積み替える事無く目的地へ向かう輸送方法は成功し、荷主のニーズに応えるべく、様々なコンテナが登場しました。 当初は10ft5t積みでしたが、多くの貨物に適したものとする為、12ftサイズに変更。このサイズはISOコンテナとは異なり、国内独自の規格となっています。
コンテナ輸送は成功を収めましたが、貨車を用いた車扱い貨物が主力でした。時代が平成に入ると速達化や荷役効率向上の課題があり、これらに応えるべくコンテナ輸送を強化。平成20年頃よりコンテナ輸送を主軸としていきました。
現在では、地球環境にやさしい鉄道は見直され、小回りの利くトラック輸送にコンテナが活躍しています。
コンテナ細部の名称
鉄道輸送されるコンテナを様々紹介しますが、ちょっぴり難しい用語が出てきます。コンテナの部位の名称ですが、覚えて頂くと楽しく参考になりますので、ご覧下さい。
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妻面(つまめん)
レールに対して直角になる面の事。扉がある場合は「妻扉(つまとびら)」と言い、扉の配置を説明する言葉は妻面に扉が1つある場合は「妻一方開き」と言います。同様に側面に扉がある場合は片面のみは「側一方」、両側にあれば「側二方」や「両側開き」と呼びます。妻面、側面に扉がある場合は組み合わせ、「妻一方、側二方開き」と言います。
ヒンジ
日本語では「蝶番(ちょうつがい)」と呼ばれます。扉や蓋を支え、開閉を可能とする部品です。
ロックレバー
扉の開閉時に用いる取っ手。輸送中に扉が開くと危険である事。また、貨物の盗難等を防ぐ為に別に封をして、扉を開けないようにしています。
標差し(ひょうさし)
コンテナの行先や注意事項、積載する貨物の内容等を記した紙片を収納するもの。
脚(あし)
コンテナの底面が直接地面に接しないように設けられるもの。コンテナ全体の強度を高める役割も兼ねています。フォークリフト等の荷役機械の作業スペースを設けている場合もあります。
フォークポケット
フォークリフトによる荷役作業を行う際に、フォークリフトの爪を差し込む場所。一般的には12ft5t積みコンテナに多く見られ、20ftや30ftコンテナにも設置されています。5t積みは5t用フォークリフト、20ftや30ftコンテナには10t用フォークリフトが対応します。この時、コンテナは空っぽの状態でしか扱えない。
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5t用フォークリフトで荷役をする様子。コンテナをすくい上げる用に扱います。
フォークリフトによる荷役方式はわが国独自のもので、コンテナ輸送を導入する際に線路幅が狭軌である事や使い勝手の良さ等を考えた結果、海外標準では最小の10ftでは小さいので、やや大きめの11ft(後に12ft)という独自サイズを採用した事により、フォークリフトによる荷役方式が誕生しました。
緊締方式について
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話が逸れてしまいますが、12ftコンテナの緊締方式を見てみましょう。コンテナの下部、底面中央(フォークポケットの中間)に矢印形の突起物があります。(写真左)受け側となるコンテナ車やトラックには緊締装置が設置されています。(写真右)
コンテナの突起物を緊締装置に置くと、突起物を挟むような形で自動的に緊締をします。解錠はレバー操作により行えます。この様になっており、この方式を「半自動式中央緊締方式」と言い、業界では緊締装置と呼んでいるそうです。
隅金具(すみかなぐ)
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英語で「キャスティングボックス」と呼ばれ、基本的にはコンテナの四隅に設置される(大きさにより、必要な分設置)穴状のもの(写真左)で、固定する際に重要なもの。固定には「爪」と呼ばれる三角錐状の突起物を隅金具に挿入します。重ね置き等、動かない場合はこれで固定出来ますが、コンテナ車やトラック等にはもう一工夫されており、爪を回転(ツイスト)させ、振動による上昇によって外れないようになっています。これをツイストロック方式と言い、世界標準の荷役方式となっています。
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隅金具を用いたコンテナの荷役には「トップリフター」という機械を用います。コンテナを吊り下げる形で荷役を行います。
コンテナの形式と規格
コンテナ輸送にあたり、鉄道、トラック等に共通の規格が必要です。この為、コンテナの大きさや重量など必要な事柄は昭和34年の鉄道によるコンテナ輸送が始まった当初に決められました。その後、ニーズの変化等諸事情に応じて変化しています。
形式の付与は下記の通り。
〇昭和34年~昭和41年
国鉄が決めた4桁の数字を付与したもので、形式の前後にアルファベットを用いない、シンプルなものでした。
〇昭和41年~昭和62年
種類(用途)のアルファベット+2桁又は3桁の数字を用いた方法になりました。
〇昭和62年以降
JR貨物発足後は従前とは異なり、2桁の数字で表すものとし、その2桁はコンテナの内容積又は床面積を意味するようになりました。例えば、「20」の場合、内容積(床面積)は19.5~20.4㎥(㎡)の間に属するコンテナとなります。この変更で、選定や荷役作業の利便性向上が図られました。また、数字が一緒ではあるが構造が異なる。といった違いに対応する為、形式(2桁の数字)の最初の形式を「A」、2番目を「B」とし、以降C、D・・・とアルファベットで表します。
規格は下記の通り。
国鉄時代は4種類ありましたが、現在は3種類あります。
| 最大長 | 最大幅 | 最大高 | 最大総重量 | |
| 第1種コンテナ (12ftコンテナ) |
3715mm | 2450mm | 2500mm | 6.8t |
| 第2種コンテナ (20ftコンテナ) |
6058mm | 2490mm | 2500mm | 13.5t |
| 第3種コンテナ (30ftコンテナ) |
9125mm | 2490mm | 2500mm | 13.5t |
ハローマーク
上述の通りコンテナの規格は決められていますが、貨物によってはこの規格で収まらない貨物もあります。その要望に応える形で登場したのが「規格外コンテナ」と呼ばれるコンテナです。規格外と言っても大きさは車輛限界範囲内による設計と決められており、運用できる区間や積載出来る貨車の指定などがあります。
この規格外コンテナである事を示す為に「ハローマーク」と呼ばれる記号が標記されます。

規格外となるのは4つで、黄色地のひし形を4つに区分します。規格外となるのは、高さ(H)、長さ(L)、幅(W)、総重量(G)の4つで、該当する箇所を表し、右に規格外となる寸法を標記します。
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該当しない部分は黒く塗りつぶします。中には積載出来ない貨車や可能な貨車を併記しているケースも見られます。ハローマークは国内で運用されるものにつけられ、ISOコンテナは国際的なルールに基づいた標記が行われています。