
石炭車(せきたんしゃ)とは?
構造上及び外観はホッパ車に分類される貨車ですが、登場年、大量に使用されていた、石炭とホッパ車で扱う砕石と比べると比重が小さい等の理由により、独立したグループとなっています。
石炭車は主に北海道地方と九州地方で活躍しました。同じ石炭車ですが、北海道地方と九州地方で構造が大きく異なるのが特徴の1つにあります。北海道地方では「大量輸送を行う」、「寒冷地である」というのがポイントで、前者では貨車の底面に取出し口を設けると、線路幅分しか幅が取れず、荷卸しに時間を要してしまい、大量輸送には不向き。後者は冬季になると凍結し、取出し口が詰まってしまいます。以上の事から、側面に取出し口を設けた側開き式を採用。この方式は海外でも事例が少なく、ほぼ日本独自のスタイルとなっています。九州地方では産出量が少なく、ドイツの鉄道をお手本とした事から、二軸車で底面に取出し口を持つ方法となります。
北海道地方では一度に3000t近い石炭を輸送する列車もあり、炭鉱と港を往復する姿を見る事が出来ました。九州地方も同じで、二軸車の長いもごもご動く姿は印象的です。石炭産業の斜陽化で炭鉱の閉山が相次ぎ、石炭輸送は規模を縮小していき、国鉄末期には石炭車による石炭輸送はほぼ終了しました。石炭輸送は輸入した石炭をホッパ車で輸送する姿が残りましたが、これも令和2年に廃止となり、国内の鉄道を用いた石炭輸送は終焉を迎えました。
セム1形式15t積み石炭車
| 諸 元 | |||||
| 全 長 | 6300mm | 走り装置 | シュー式、一段リンク式 | その他 | 寸法は一例 |
| 全 幅 | 2324mm | 台 車 | 特殊標記符号 | ||
| 全 高 | 2823mm | 専用種別 | 石炭 | ||
九州地方で活躍した石炭車で、昭和3年の車輛称号規定改正により、鉄道省時代に登場したテタ15000形式(2181両)、テタ18000形式(948両)の2形式を本形式に形式名変更したものです。
その後、昭和18年に小倉鉄道が戦時体制に伴い国有化され、同社が所有していたセム301形式(13両)、ヲム321形式(20両)、ヲム401形式(10両)、ヲム411形式(10両)を本形式に編入。昭和19年には西日本鉄道が国有化、同社の所有するセム21形式(7両)、セム30形式(8両)、セム1形式(55両)を編入しました。
戦後になり、セムフ1形式の車掌室を撤去した車輛、セム3140形式の手ブレーキを撤去した車輛が編入されています。
北九州地区で石炭輸送に活躍しましたが、昭和41年に最後の車輛が廃車となり、形式消滅しています。
写真は筑豊本線(若松線)の若松駅近くに静態保存されている貴重な車輛です。
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| セム1000(1位側) |
セキ6000形式30t積み石炭車
| 諸 元 | |||||
| 全 長 | 8750mm | 走り装置 | その他 | ||
| 全 幅 | 2720mm | 台 車 | TR41B形式 | 特殊標記符号 | ロ |
| 全 高 | 3365mm | 専用種別 | 石炭 | ||
主に北海道地方で活躍した石炭車です。昭和26年よりセキ3000形式が2730両製作されました。石炭を積載すると重心が高くなり、安定性を失う事が原因による脱線事故がしばしば起きていました。そこで、昭和44年より運転最高速度を空車時は65km/h、積載時は55km/hとしました。
このスピードダウンを受けて、山陽本線を管理する岡山鉄道管理局ではダイヤに支障をきたす事から、昭和43年にセキ3000形式を改造した本形式を誕生させました。65両が改造され、その内容はセキ3000形式の履く台車、TR41A形式、TR41C形式の枕ばねを変更し、追従性を良くしたTR41B形式に履き替える。というものです。車体は標記の変更だけでこの他の変化はありません。改造により、積車時であっても運転最高速度65km/hを維持させる事が出来ました。その後、北海道地方をはじめとする他の鉄道管理局に所属するセキ3000形式が改造され、最終的に1509両が改造されました。
昭和44年にスピードダウンが実施され、その際に運転最高速度65km/h以下である事を示す特殊標記符号「ロ」と車体側面に識別の黄色の帯が巻かれました。この処置は本形式も当てはまる為、実施されています。また、北海道地方で使用する車輛には「道外禁止」の標記も追加されています。
石炭輸送に活躍していましたが、電化が進むと感電事故防止のため、車体上部にあった手ブレーキを妻面に移設する改造を行った車輛もあります。
美祢線での石灰石輸送が最後の活躍の舞台で、平成10年まで実施されていました。現在は形式消滅しています。
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| ロセキ6185(4位側) | ロセキ7342(2-4位側) |
セキ8000形式30t積み石炭車
| 諸 元 | |||||
| 全 長 | 9000mm | 走り装置 | その他 | ||
| 全 幅 | 2720mm | 台 車 | TR63G形式 | 特殊標記符号 | |
| 全 高 | 3155mm | 専用種別 | 石炭 | ||
老朽化の進むセキ3000形式、セキ6000形式の置換えを目的に昭和56年に155両登場した石炭車です。車体は新製し、台車は余剰となっていたク5000形式の台車を改造して、使用しています。
従来の石炭車は軸距離の短さや高重心による脱線事故を起こしており、この対策として運転最高速度を抑えるというもので、ダイヤ作成上のネックとなっていました。本形式では走行性能を向上させつつ、安定性のある設計としており、空積問わず運転最高速度を75km/hとしています。
石炭輸送末期に登場した為、活躍期間は短く、石炭輸送終了後は九州地方や宇部線の石灰石輸送に活躍し、平成10年に運転終了と共に全車廃車。形式消滅しています。
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| セキ8016(4位側) |
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