チ1000形式10t積み二軸長物車
諸元
全長 8100mm 全幅 2762mm 全高 1379mm 走り装置 二段リンク式
チ1111(左)、チ1185(右)
無蓋車に収まらない軽量の嵩高貨物、長尺物輸送時の遊車(ゆうしゃ)を目的に昭和32年より戦前製の無蓋車を200両改造して登場した形式です。改造車と言っても、種車の部材の一部を流用しただけで、台枠や床材など多くが新しく製作されています。外観は華奢な感じですが、二段リンク式で運転最高速度は75km/hとなっています。
嵩高貨物を輸送する際の荷役用ロープ掛けが設置されていますが、他の長物車の側面に見られる柵柱受けや荷物を受ける荷摺木は省略されています。現在、現存する車輛は長尺物輸送(主にレール)輸送時の遊車としての役割です。この「遊車」とは長尺物を載せた貨車の前後に位置し、曲線通過時に積荷の飛び出た部分を限界から出ないようにカバーする役目を担います。(写真右を参照して下さい。)
チ1187
JR北海道に在籍していた車輛には工場での入換時の控車として使われてものもあります。片方は双頭連結器に交換され、電車を牽引する際に機関車とのアダプター役をしていたようです。
チ50000形式長物車
諸元
全長 20400mm 全幅 2672mm 全高 3974mm 台車 TR223G形式
チ50012
北海道新幹線建設の際、津軽海峡線区間に新幹線軌条の敷設、交換など新幹線に対応する工事を行うためのロングレール輸送用貨車の一形式で、平成20年にコキ50000形式350000番代車を種車に2両改造されました。改造内容はコンテナ車をロングレール輸送用に改造するもので、必要な機材などを搭載しました。
12両編成で1編成を成し、このチ50000形式は編成の両端に位置します。レールを走行しながら敷設するため、その送り出しを行うエプロン車と呼ばれる車輛で、荷重は0tとなっています。また、車輛番号は編成位置の付番としているため、50001、50012の2両となります。建設工事が終了した平成24年に廃車となり、廃形式となっています。
チラ50000形式17.9t~10.5t積みレール輸送用長物車
諸元
全長 20400mm 全幅 2672mm 全高 3974mm 台車 TR223G形式
上からチラ50006、チラ50007、チラ50011
チ50000形式と同じ平成20年に登場した北海道新幹線建設用にレール輸送用の長物車です。改造車で、コキ50000形式350000番代を種車とし、レール輸送用に適した改造を行っています。デッキ部の手摺の撤去や手ブレーキを車端部に移設が行われています。車輛番号は編成の号車となっており、チラ50002~50011の10両です。写真上のチラ50006は編成の中央に位置しており、エプロンが設置されていますね。
この形式も建設終了により、平成24年に廃車。廃形式となっています。
チサ9000形式20t積み自動車専用長物車
諸元
全長 16925mm 全幅 2660mm 全高 1096mm 台車 TR901形式
チサ9000
1960年代、インターモーダル輸送(複合一貫輸送)として導入されたコンテナ輸送が普及しつつあり、第2弾としてトラックをそのまま貨車に積載するピギーバック輸送の導入が考えられました。既存の貨車にトラックを積載する事は高すぎて不可能。車輛限界内に収める方法として、トラックを貨車内で落とし込む「カンガルー方式」を採用したクサ9000形式を試作。構造が複雑などの問題やコンテナ輸送が好調であるなどの理由で失敗。一方で、貨車の床面を下げる「低床式」が考えられ、小径車輪を持つ台車の試験車としてクラ9000形式が昭和49年に1両試作されました。車運車ですが、台車の試験が主目的であり、実際には1台も自動車を積載出来ない構造でした。この台車は昭和46年に先に製作されており、特徴は一般的に用いられる直径860mmの半分以下となる直径350mmの車輪です。直径が小さいため、分岐器通過の案内が出来ない事から3軸台車としています。2種類製作し、成績の良かったTR901形式が選ばれ、昭和47年にトキ15000形式の台枠を用いて、仮車体を製作して実験。昭和49年に形式が与えられ、本線上での試験が行われました。大きな問題はありませんでしたが、コンテナ輸送が好調である事から、昭和51年に開発は打ち切られてしまいます。
昭和58年に開発が再開されます。この時、クラ9000形式を改造します。と言っても、車体を新製して、履いてTR901形式台車を再利用する内容です。こうして、チサ9000形式が登場しました。実質的に車運車なのですが、長物車として登録されています。車体は青15号(インクブルー)としています。台車の改良や車体を全体的に低床化した構造となっており、荷役はトラックがランプウェイから自走をして行います。台車部分が中間部よりも高くなっていますが、問題のない構造となっています。
試験を行い、技術的な問題は解決したものの、トラックの積荷高さ制限を加える必要があって、有蓋トラックの積載が制限されるなどの問題が解決できず、実用化はされませんでした。現在も籍を有しており、復活の日を待っています。
チキ100形式33t積みバンボディ専用長物車
諸元
全長 20400mm 全幅 2615mm 全高 2098mm 台車 TR223形式
チキ100-4
インターモーダル輸送として有名なコンテナ輸送。トラックから貨車に積み替える際にフォークリフトなどの荷役機械を使用しなければならない欠点があります。JR貨物が発足してから30ftコンテナ輸送が増えましたが、トップリフターなど割高な機械が必要でした。その欠点を解消する目的で自動車会社と共同で「スライドバンボディシステム(Slide Vanbidy System:SVS)」を開発しました。
このシステムは、トラックの荷台(バンボディ)の下面にそりを設け、トラックに装備した油圧ウインチでワイヤーを介して荷台をスライドさせて貨車に積み替える新しい荷役方式です。架線下で荷役が可能であり、フォークリフトなどの荷役機械を必要しない事から、容易かつ迅速に行え、大型荷台でも鉄道利用が容易になるなど、ピギーバック方式よりも優れていました。一方で、トラックが来ないと荷役が出来ない欠点もあります。
コンテナ車にも見えますが、コンテナではなくバンボディであり、トラック(車運車)でもないため、その見た目から長物車に分類されています。こうして、昭和63年にコキ50000形式を改造したチキ900形式(二代目)が登場し、性能試験など経て、平成元年に量産車としてコキ50000形式を5両改造したチキ100形式(二代目)が登場しました。因みにチキ900形式(初代)は昭和43年に登場した50t積み3軸ボギー長物車。チキ100(初代)は35t積みラワン材専用長物車です。
運用コストやトラックの汎用性などの問題が残っており、一方で着発線荷役方式(E&S方式)の普及やSVS方式に似たスワップボディコンテナの登場があり、スライドバンボディシステムの意義が薄れてしまい、本格的な普及には至らず、平成8年に通常のコンテナ輸送に切り替えられてSVS輸送は終了。平成12年に廃車となり、形式消滅しています。
チキ5200形式35t積みレール専用長物車
諸元
全長 13600mm 全幅 2643mm 全高 1356mm 台車 TR223形式 TR223G形式
チキ5252(左)、チキ5279(右)
高速貨車として一世風靡したコキ10000系。空気ばね台車の装備で運転最高速度100km/hを実現するなど華々しい活躍をしましたが、空気ばねにはブレーキ関係の圧縮空気を使用しているため、牽引するためには機関車が指定される問題がありました。さらに国鉄コンテナの規格変更で12ft化。旧規格のコキ10000形式は4個積みにグレードダウン。新規格と同時に登場したコキ50000形式は運転最高速度95km/hとやや劣るものの、5個積みであったため、積載効率の悪いコキ10000形式は運用が少なくなり、余剰車となるものが出てきました。
コキ50000形式に車掌室を設置したコキフ50000形式が設定されましたが、金属コイルバネのTR223形式の乗心地は悪く、改善が求められます。乗心地を改善するため、空気ばねを持つコキ10000形式の台車と交換して問題を解決しました。
問題の解決は新しい問題を生む。ではありませんが、コキ10000形式の車体とコキフ50000形式から発生した台車が発生し、これらの取り扱いをどうするか新しい問題が発生しました。
そこでこれらを組み合わせて、定尺レール輸送用の長物車を製作する事となり、昭和54年から188両製作されたのがチキ5200形式です。25m定尺レールを2両1組で使用する事を前提とし、コキ10000形式の車体は切り詰めて使用。台枠上を鉄床とし、レール用の緊締装置を設置しました。デッキの手すりと手ブレーキは撤去され、両側ブレーキに変更しています。台車はそのまま流用しています。ブレーキ装置はコキ10000形式のものを電磁弁を外してリサイクル。コキ50000形式と同じ応荷重機構を備えています。
主に旅客会社でレール輸送用として現在も活躍をしています。
チキ5500形式(2代目)37t積みレール専用長物車
諸元
全長 18150mm 全幅 2630mm 全高 1379mm 台車 TR63F形式
昭和49年からコキ5500形式を138両改造した、ロングレール輸送用の長物車です。
東北・上越新幹線を建設する際に50mレールを輸送する長物車が必要となりました。既存の長物車では4両分となる事から、新製車の増備といきたかったのですが、台所事情の厳しさから見送られてしまいました。
昭和46年に新規格2種5tコンテナの登場、これに対応したコキ50000形式。この新規格に対応するため、旧規格1種5t積み(10ftコンテナ)として設計されたコキ5500形式が改造されました。しかし、車体の長さにより4個積みとなってしまい、積載効率が悪くなってしまいました。さらに、運転最高速度85km/hと速度面でも難がある事から余剰車がたくさん出てしまいました。因みに、チキ5500形式(初代)はこのコキ5500形式の前身です。
この余剰となったコキ5500形式を長物車に転用改造を行い、登場したのがチキ5500形式(2代目)です。緊締装置や手摺を撤去し、床板の設置、レール輸送に必要な緊締装置などを設置しています。種車は手ブレーキでしたが、両側ブレーキに改造しています。
本形式は50mレール又は200mのロングレールを輸送しており、前者は3両編成、後者は10~12両編成程度で活躍しており、鉄道ファンからは「ロンチキ」などの愛称を付けられています。定尺レール(25m)は他のレール輸送用長物車で輸送されています。(愛称はなく、「レール」といった呼ばれ方をしています。)
チキ6000形式35t積み長物車
諸元
全長 14700mm 全幅 2556mm 全高 2995mm 台車 TR63F形式
チキ6000(左)、チキ6055(右)
昭和50年代、長物車は戦前や戦時中に設計された車輛が主力であり、他の貨車と比べると近代化が大きく遅れていました。その近代化を図るべくフルモデルチェンジのチキ7000形式が製作されますが、財政難であったため僅かな数の製作に留まり、本格的な置換えとはなりませんでした。
この頃、コンテナ輸送の嚆矢であるコキ5500形式が余剰となっていました。理由は旧コンテナ規格であったため、12ftの新規格化では積載効率が落ち、運転最高速度も低いためでした。しかし、車齢が若いコキ5500形式。車体長も長い事から、長物車へ転用される事になりました。昭和52年より422両が改造され、登場したのがチキ6000形式です。コキ5500形式の台車、連結器、側梁を利用しており、側梁を切り詰めてチキ7000形式に準じた車体を新製しています。ブレーキ装置は手ブレーキから側ブレーキに変更しています。
老朽化した戦前、戦時中設計の長物車を置き換え、チキ7000形式と共に長物車の近代化を果たしました。汎用長物車として全国各地で活躍しましたが、トラック輸送の台頭には勝てる事ができず、国鉄末期には半数近くが廃車され、JRへ移行後は旅客会社ではレール輸送用として活躍をしています。
チキ6141
チキ6000形式の中には余剰となり、操重車の控車として使用されていた車輛もありました。
チキ7000形式35t積み長物車
諸元
全長 14700mm 全幅 2556mm 全高 2995mm 台車 TR213B-1形式
長物車の新製形式は昭和20年に登場したチキ2600形式で、それ以降は余剰車の改造であり、1970年代に入っても戦前、戦時製の形式が主力であり、近代化からは程遠く、老朽化や陳腐化もみられました。この古い長物車を置き換えるために、30年ぶりに新製されたのが本形式で、昭和50年に150両がつくられました。なお、本形式を持って、以降に新製形式の汎用長物車は製作されていません。
車体は昭和37年に登場したチキ2700形式で採用された大型車体をベースに設計されており、床面を木製としています。足回りは同時期に製作されていたトキ25000形式最終増備車と同じ、TR213B-1形式、ブレーキ装置はARSD方式の積空ブレーキが採用されました。
国鉄末期に近づくにつれ、長物車で輸送するものはトラック輸送に切り替えられて失職。大部分が余剰車となり廃車が行われています。民営化後は主にレール輸送に活躍しています。
チキ80000形式40t積み生石灰専用私有長物車
諸元
全長 12000mm 全幅 2640mm 全高 2117mm 台車 TR225形式、TR225-1形式、TR213C形式
チキ80000(左)、チキ80007(右)
昭和51年より44両が製作された生石灰コンテナを輸送する私有長物車です。ホッパ車で生石灰を輸送していた製鉄所が移転し、最寄り駅までを鉄道、そこから道路輸送で輸送する方法になったため、専用のコンテナが用意され、それを積載する本形式が製作されました。チキ80000は先行試作車で、以降量産車となります。
車体はコンテナ車そのものですが、当時はコンテナ車を私有貨車とする事を国鉄が認めていなかった事。また、運賃もコンテナ車となると割高になる事から長物車となりました。コンテナはツイストロック式緊締装置で積載します。車体には「94」とありますが、これは化成品分類番号というもので、有害性物質、禁水指定のあるものという意味です。
昭和63年に生石灰輸送が終了したため、全車廃車となり、形式消滅しています。
積荷の説明
生石灰(せいせっかい)・・・Calcium 化学式 CaO 融点2613℃、沸点2850℃
酸化カルシウムとも呼ばれる白から青白、黄色、茶色の粉体(結晶)です。水を加えると発熱を起こし、水酸化カルシウム(消石灰(しょうせっかい))を生成します。工業的には広範囲に用いられており、製鋼用、セメントの原料、製紙産業、カーバイト(炭化カルシウム)や水酸化カルシウムの原料としても利用されます。身近なものでは、水分を加えると発熱する性質を利用して、食品の加温(紐を引き抜くと暖まるお弁当など)に利用されています。
チキ5500形式37t積みレール専用私有無蓋車
諸元
全長 18150mm 全幅2570mm 全高3215mm 台車 FT1-2形式
チキ5500-11
レール輸送は国鉄時代は事業用貨物として扱っていましたが、JR貨物に移行してからは一般の貨物品目となり、JR各社で所有していたチキ5500形式を増備する形で、平成4年に本形式が登場しました。
外観はチキ5500形式に似ていますが、本形式はコキ100系の設計を組み入れている点が異なります。台車はFT1形式で運転最高速度95km/hで応荷重式空気ブレーキ方式としています。車体は黄緑色で、レールを緊締する装置は黄色としています。50mレール輸送では3両1組としていますが、単車での運用も出来ます。





























