ef1612.jpg


マワ車所蔵

昭和26年にEF15形式を改造して登場した貨物用直流電気機関車です。戦後復興の象徴として昭和22年にEF15形式が登場しました。直流電化区間へ配置され、貨物輸送に活躍。昭和24年に奥羽本線福島~米沢間が直流電化開業し、この区間にもEF15形式が投入されました。
この区間には有名な板谷峠があり、33‰(1000m進んで、33m上がる又は下がる)もの急勾配区間が連続してありました。この下り勾配時に空気ブレーキ(当時は抑速ブレーキや回生ブレーキなどの電気ブレーキはありませんでした。)を使い続けた所、車輪が摩擦熱で膨張し故障するトラブルが発生しました。急きょの対策として、屋根上に水タンクを搭載し、車輪を冷却する事としましたが、効果はいま一つでした。
そこで、ここで活躍するEF15形式に回生ブレーキを追加装備し、空気ブレーキの使用を少なくするする事とし、改造を行った車輛をEF16形式としました。戦前の機関車でも回生ブレーキを用いたEF11形式などがありましたが、EF16形式が本格的な採用となります。
奥羽本線のEF16形式は「福米形」と呼ばれ、キハ82系特急「つばさ」号などのエスコートなども務めました。後継のEF64形式が投入されると、上越線に転属し、1~10号機は回生ブレーキ、水タンクの撤去などを行い、種車のEF15形式に復帰しました。
一方、勾配区間が連続する上越線水上~石打間にもEF16形式が登場します。この区間では20‰の勾配であり、奥羽本線の33‰対応とは異なる仕様の回生ブレーキが用いられるなど一部異なっており、「上越形」として区別されています。
こちらも種車はEF15形式で、将来の福米形の増備を考えて20番代として区分されており、20~31号機の12両が登場しました。後に、福米形の11・12号機も加わって活躍しました。昭和57年にEF64形式1000番代に置き換えられて形式消滅しています。1両だけ(28号機)静態保存されており、その当時を思い偲ぶ事が出来ます。(写真下)

ef1628.jpg