8620.jpg   58685.jpg


大正3年に登場した旅客用テンダー機関車で、明治時代に輸入された旅客用蒸気機関車を参考に日本の蒸気機関車の国産化を目指し、初の本格的量産車として672両が製作されました。「ハチロク」の愛称で親しまれ、蒸気機関車の終焉まで活躍しました。
設計にあたっては、あえて高性能車を目指さず、汎用性のあるものとし、将来的には地方線区への転用を視野に入れた設計とされました。その特徴の一つとして先台車(せんだいしゃ)があります。この台車は進む方向を案内する役割をもっており、通常はボギー台車として追従性をよくするのが一般的ですが、8620形式では先輪と第1動輪心向キ棒で一体化した特殊な台車とし、第1動輪に横動を与えて曲線通過性能を良くしています。この方法を考案したのは鉄道技師である島 安次郎で、「島式」や「省式心向キ台車」と呼ばれ、構造が簡単で、曲線通過性能が良いメリットがあり、8620形式では半径80mと後に登場したC12形式タンク式機関車並の通過能力があります。
登場時は東海道本線や山陽本線などの幹線で活躍し、高性能機関車が登場するとローカル線へと活躍の舞台を移しました。平坦線区の比較的距離が長い線区に向いており、客貨両用にも効率よく使用できることから、長きにわたって活躍しました。
全国各地に静態保存されている一方、動態保存されている車輛もあり、1両は8630号機で、京都府の梅小路蒸気機関車館に保存され、車籍は無く本線を走行する事は出来ませんが、同館内のスチーム号として少しの距離ですが、動く姿を見る事が出来ます。(写真左:冬の柔らかな日差しを受けて、きょう1日の仕事を終えて庫(くら)に帰る様子。)もう1両は、JR九州所属の58654号機です。こちらは昭和63年に「SLあそBOY」号として復活したもので、豊肥本線や肥薩線で活躍中です。写真右になりますが、緑色に塗られていた頃のもので、現在は黒色(標準色?)になっています。

8630b.jpg   58654.jpg


●8620形式の読み方
8620形式は大正生まれであり、数字を並べただけのものです。1番目に登場した8620が1号機であり、以降、8621(2号機)、8622(3号機)・・・となっていきます。80号機目の8699の次は、81号機8700になりますが、8700形式という蒸気機関車があり、使用出来ません。そこで、81号機は10000を加えて18620としています。その後は20から始めて、99に到達すると次は10000の桁を1加える方法としました。160号機目は18699、161号機目は28620となります。これでは、何号機目かよく解りませんね。

10000の位×80+(下二桁の数字-20)+1=製造順の番号(何号機目)

という式に当てはめてみると、すぐに出てきます。
例として、58685(写真右上)は何号機目なのでしょう。
10000の位は「5」です。これに80を掛けます。5×80=400
次に(下二桁の数字-20)を計算します。下二桁は「85」ですから、85-20=65
そして、その答えに1を加えます。65+1=66
最後にそれぞれ出した答えを加えましょう。400+66=466
出ました。この8620形式は466番目につくられた機関車という事になります。