オリジナル車

スハフ12 1~90(スハフ12 84)

suhafu1284.jpg


発電機を搭載する緩急車です。1~8は試作車で、DMF15H-G(180PS/1500rpm)とDM82発電機を組み合わせたもので、発電容量は150kvAです。自車を含めて5両に給電が出来ました。後の量産車化改造で6両まで給電可能としています。9番以降は量産車で、編成が6両編成単位で運用される事が多かったことから、排気タービン過給器付DMF15HS-G(230PS/1800rpm)に変更し、発電容量も180kvA、燃料タンクも860Lから1500Lに変更しました。これにより、自車を含めて6両に給電が可能となっています。65番以降は台車、暖房回路などが変更されています。

スハフ12 101~163(スハフ12 122:マワ車所蔵・スハフ12 161)

suhafu12122.jpg   suhafu12161.jpg


昭和47年11月に発生した北陸トンネル列車火災事故(※)を受けて、火元となる恐れのあるディーゼルエンジン及び燃料タンクをもつ分散電源方式の客車も防火、安全対策の見直しが行われました。液体燃料火災に有効なハロン自動消火装置を装備し、A-A基準に基づいた設計とする事で、オハ12系も増備が行われました。(在来車にも自動消火装置などを設置。)
このグループではこの他火災対策として床材や車内の布製品を難燃性としています。床下のディーゼルエンジンも変更され、DMF15HZ-G(270PS/1800rpm)、発電機はDM93形式になり、発電容量は210kvAになっています。この他、循環式汚物処理装置、前位妻面側に後部標識灯が設置されています。サービス面では冷水器が設置されました。
最終増備車となる149番以降は車掌室側の貫通路の幌及び後方監視窓をオハ50系と共通化したものとなっており、幌は収納式から外吊り式、後方監視窓は縦長窓となっています。

※北陸トンネル列車火災事故(概要)
昭和47年11月6日午前1時10分頃、北陸本線敦賀~南今庄駅間にある北陸トンネル(総延長13870m)を走行していた急行「きたぐに」号(大阪発青森行)に連結されていたオシ17形式食堂車より出火。非常停止手配を行い、敦賀側より5.3km地点に停車した。(当時の規則では火災発生時は停車。事故後は安全な個所まで移動になったそうです。)直ちに消火作業を行ったが、火の勢いは収まらず消火は不可能と判断し、客車を切り離す作業をはじめた。所が火災によってトンネル内の設備が焼け落ち、停電が発生し、列車は動く事が出来なくなってしまった。一方、消防からの消火、救援活動も始まっていましたが、列車がトンネル内中央に停止している事、消火設備が消化器のみであり、排煙車(トンネルや地下から煙を吸い出す特殊車輛)もなく、消火ホースも延長できない事から消火活動は出来ず、救助活動のみとなった。しかし、電化したトンネル内では火災は起きないという考えから、消火設備、排煙設備が一切なかったため、もうもうと出てくる煙に救出活動も難航。深夜の火災、多くの乗客が就寝中であったこと、火災車輛からの猛烈な煙と有毒ガスの発生により、死者30名、重軽傷者714名を出す大惨事となった。この事故を機に車輛の難燃化対策が強化されるなど、車輛構造などの見直しが行われました。

オハフ13 1~76(オハフ13 25:マワ車所蔵)

ohafu1325.jpg


発電機を持つスハフ12形式を多く連結すると不経済であることから、発電機を持たない形式として登場しました。試作車はありません。しかし、発電機故障などに備えてスハフ12形式を多く連結するようになり、早々に廃車されてしまいした。

オハ12 1~374(オハ12 34・オハ12 366)

oha1234.jpg   oha12366.jpg


1~20番は試作車として登場しています。以降は量産車となり、215~312番は台車の変更(TR217B)、313~374番は最終増備車で、不燃化対策や台車や冷房装置が変更されています。

スハフ12 3001~(スハフ12 3002)

suhafu123002.jpg


JR西日本が急行「だいせん」(大阪~出雲市)及び急行「ちくま」(大阪~長野)用として平成3年にアコモ改造したグループです。座席を簡易リクライニングシートに変更し、トイレや洗面所のリニューアルを行ったほか、車軸発電機を撤去し、三相交流変圧器を搭載しました。また、車掌室側貫通扉に愛称表示器を設置しています。「だいせん」号の気動車化、「ちくま」号の電車化に伴い平成15年に番代消滅しています。

オハ12 3001~(オハ12 3004)

oha123004.jpg


スハフ12 3001~と同様のアコモ改良を行ったグループです。座席を変更したため定員は減っています。

1000番代(写真は紀勢本線を走る様子:マワ車所蔵)

dd51+121000.jpg


昭和50年代の普通列車は依然として旧型客車による運行があり、手動ドアや非冷房など安全性や設備面が問題となっていました。急行列車の廃止などで余剰となったオハ12系を近郊形化改造し、旧型客車を置き換える目的で昭和59年に登場したグループです。
基本的なシステムは変わらず、他の車輛との連結も考えられる事から電気配線の増設、車内の一部ロングシート化、吊り手の増設が行われました。塗装は白帯が無くなり、青20号一色塗りとなっています。
このグループではスハフ12 1001~1012、オハフ13 1001~1012、オハ12 1001~1023があり、スハフ12形式及びオハフ13形式では車掌室に乗務員用扉が増設、トイレを使用停止し、洗面所及び冷水器が撤去されています。写真では荷物車の右に1000番代が連結されているのがわかります。
平成9年に廃番代となっています。

2000番代(オハフ13 2007・オハ12 2011)

ohafu132007.jpg    oha122011.jpg


1000番代と同じく近郊形化改造を施したグループで、東北地方で活躍していた旧型客車の置換えを行うために昭和60年に登場しました。東北本線一ノ関以北や奥羽本線で活躍しました。車体及び車内の改造内容は1000番代と同じですが、電源システムが電気機関車からの電気暖房用電源に変更されました。交流1500Vの給電を受け、オハフ13形式に搭載された変圧器で交流440Vに降圧し、給電を行うシステムとなっています。このため、このグループにスハフ12形式がありません。オハフ13形式は高圧ヒューズ箱、変圧器、補助電源装置などが設置され、車軸発電機が撤去されています。平成6年に廃番代になっています。

ジョイフルトレイン

 ジョイフルトレインのルーツを辿ると、昭和35年に盛岡鉄道管理局で余剰となっていたスハシ29形式食堂車を改造したスハ88形式というお座敷客車が誕生した事に始まります。その後、昭和47年にスロ81系が登場し全国に配置されました。
 昭和50年代に入るとレジャーブームが到来し、国鉄の各鉄道管理局ではこぞってオハ12系ベースのお座敷客車(和式客車)を製作するようになりました。また、旅客ニーズの多様化に呼応する形で洋風客車、イベント車輛が登場しました。
国鉄からJR東日本、東海、西日本、四国、九州が継承し、それぞれの会社で活躍しましたが、車輛の老朽化、景気低迷、運用上の都合等により廃車が進み、現在ではJR東日本及びJR西日本に所属する車輛が僅かに残っています。

JR東日本 和式客車「なごやか」(マワ車所蔵)

nagoyaka.jpg


昭和56年東京北鉄道管理局に登場したお座敷客車(和式客車)です。各車輌に関東地方の旧国名が付けられました。
スロフ12 803(相模:現在の神奈川県)+オロ12 805(武蔵:現在の東京都、埼玉県)+オロ12 806(安房:現在の千葉県)+オロ12 807(上野(こうずけ):現在の群馬県)+オロ12 808(下野(しもつけ):現在の栃木県)+スロフ12 804(常陸:現在の茨城県)の編成となっていました。
登場時(写真)は種車と変わらない塗装でしたが、JR東日本へ継承された昭和62年に紅白の斜めのラインが入れられ、さらに平成4年に水色と白色で車体を斜めに塗り分けた塗装に変更されました。平成9年に後継となる「華(485系)」の登場により廃車となりました。

JR東日本 和式客車「江戸」(スロフ12 826・オロ12 852)

surofu12826(edo).jpg   oro12852(edo).jpg


昭和61年に東京南鉄道管理局に登場したお座敷客車です。各車輌には江戸の下町名が付けられています。
スロフ12 825(鳥越)+オロ12 849(湯島)+オロ12 850(深川)+オロ12 851(花川戸)+オロ12 852(向島)+スロフ12 825(柴又)の6両編成です。
同局ではスロフ81系のお座敷客車が配置されていましたが、他局でオハ12系改造のお座敷客車が登場しており、サービス向上のため登場したものです。
設計にあたっては和洋折衷にする事で、幅広い年齢層に利用してもらえるように考えられています。車体色もお座敷客車=年配者向けの車輛というイメージを打ち破るべく青15号の車体に赤1号、クリーム10号の帯を入れ、両端展望車の展望室と客室の境目に南局を表す「S」を入れています。
1号車及び6号車の展望車はスハフ12形式が種車で、車掌室、業務用室側を編成の内側に向け、トイレ及び洗面所部分を展望室としています。展望室には1人掛けソファー、4人用L字形ソファーが配置され、着席しても見晴らしが良いように3枚構成の二重合わせガラスを用い、屋根部にも天窓を3枚配しています。客室部は中央部で仕切る事で2室にすることも出来ます。
2号車から5号車の中間車はお座敷中心の客車で、トイレ、洗面所側の乗降扉を残し、反対側を埋めてソファーを配した談話室としています。
平成12年に老朽化のため、廃車となっています。

JR東日本 和式客車「くつろぎ」(スロフ12 822・オロ12・841・オロ12 842)

surofu12822(kutu).jpg oro12841(kutu).jpg oro12842(kutu).jpg


昭和58年に高崎鉄道管理局に登場した和式客車です。各車輌の愛称は上州の代表的な山の名前から付けられています。
スロフ12 822(赤城)+オロ12 841(榛名)+オロ12 842(妙義)+オロ12 843(浅間)+オロ12 844(秩父)+スロフ12 821(男体:なんたい)の6両編成です。
登場時は青20号をベースにクリーム10号の太い帯を入れたスタイルでした。(下記写真参照:マワ車所蔵)昭和62年に塗装変更が行われ、上のような落ち着きのある塗装になりました。(ヘッドマークは変わっていないようです。)

kuturogikyu.jpg


2号車から5号車までの中間車はトイレ、洗面所の無い側のデッキを廃し、3号車(842)及び4号車(843)には客室の一部を衝立とカーテンで仕切り、サロン室としています。その他の車輛は床の間としています。
平成11年に引退し、廃車。1号車と2号車は碓氷峠鉄道文化むらで休憩室として再利用されています。

JR東日本 和式客車「やすらぎ」(スロフ12 827・オロ12 854)

surofu12827.jpg   oro12854(yasuragi).jpg


高崎鉄道管理局に登場した和式客車「くつろぎ」の人気は高く、輸送需要に対応するため昭和61年に登場した和式客車です。各車輌の愛称は上州の代表的な川の名前から付けられています。
スロフ12 827(神流)+オロ12 853(荒川)+オロ12 854(利根)+オロ12 855(吾妻)+オロ12 856(渡良瀬)+スロフ12 828(碓氷)の6両編成です。
東京南鉄道管理局に登場した「江戸」と同様のコンセプトで設計されているのが特徴で、塗装をクリーム10号をベースに赤11号、青20号の帯を配しており、「江戸」とは異なる事をアピールしています。
客室は掘り炬燵を可能とした設計となっており、全面畳敷きとする事も出来ました。各車輌にはビデオプロジェクターとCDカラオケ装置の設備があります。また、各車の出入口には0系新幹線の廃車発生品を用いた自動ドアとなっています。
展望室部分は江戸と異なり、大型1枚ガラスを用いています。ソファーを配し、完全な洋風としているのが特徴です。また、入換など推進運転を行う際に備えて、ワイパーやデフロスタ(曇り取り装置)が設けられました。
中間車では「くつろぎ」で1部車輛にあったサロン室を中間車全てに設置しているのも特徴となっています。
時折、「くつろぎ」と編成を組み12両編成になったほか、中間車を組み入れるなど活躍をしていましたが、平成13年に引退し、一部車輛がわたらせ渓谷鐵道に譲渡されています。

JR東日本 和式客車「ふれあいみちのく」

fureaimichinoku.jpg


盛岡鉄道管理局に昭和61年に登場した和式客車です。各車輌の愛称は東北地方の地名、景勝地から名付けられています。
スロフ12 823(八甲田)+オロ12 845(十和田)+オロ12 846(三陸)+オロ12 847(奥入瀬)+オロ12 848(岩手)+スロフ12 824(八幡平)の6両編成です。
和式客車ですが、1号車(スロフ12 823)、2号車(オロ12 845)、4号車(オロ12 847)は明るい和風の室内、残りの各号車は落ち着いた和風の室内をコンセプトに設計されました。1号車及び6号車には展望室が設けられ、1号車は洋風で、絨毯、ソファー、シャンデリアが配されています。6号車は和風で、炉端、囲炉裏が配され格子天井が落ち着いたデザインを醸し出していました。平成14年に廃車。

JR東日本 和式客車「オリエントサルーン」

orientosaroon.jpg


仙台鉄道管理局に昭和62年に登場した和式客車です。和式客車なのですが、全体的に欧風デザインが採り入れられており、絨毯敷きの座敷に座椅子、座卓を配した和洋折衷で、専用の仕切り壁で個室とすることも出来る個性的なジョイフルトレインでした。
各車輌に愛称はありません。スロフ12 829(展望車)+オロ12 857+オロ12 858(イベントカー)+オロ12 859+オロ12 860+スロフ12 830(展望車)の6両編成です。
車体色はボンマルーンをベースに金色の帯が配されたものとなっています。客室内は専用の仕切り壁を用いて4室とする事も出来、両端部に28インチモニターを設置、カラオケ装置の設備があります。展望室部分は大型ガラスを用いたガラス張り構造とし、シャンデリアが設置されています。
イベントカーの車内は絨毯を敷いたフリースペースで、イベント用ステージ、37インチ大型モニター、カラオケ機器、更衣室、カウンターテーブルなどがあります。
平成12年に老朽化のため引退しています。

JR東日本 和式客車「白樺」

surofu12820shirakaba.jpg


昭和58年に長野鉄道管理局に登場した和式客車です。各車輌の愛称は中部地方6県の県花名が付けられました。
スロフ12 819(すいせん:福井県)+オロ12 837(つつじ:静岡県)+オロ12 838(かきつばた:愛知県)+オロ12 839(れんげ:岐阜県)+オロ12 840(くろゆり:石川県)+スロフ12 820(りんどう:長野県)の6両編成です。
「白樺」の特徴に車体の塗装色があります。これまで登場した和式客車は種車であるオハ12系と同じ塗装か、帯を太くしたものでした。しかし、白樺では車体をクリーム10号とし、窓廻りと裾部に黄緑6号の独特の塗装としました。この塗装は長野県の山々の夏と冬をイメージしたものです。
スロフ12形式は車掌室及び業務用室寄りの4か所の窓を固定窓とし、リクライニングシートを配した洋間としました。これ以外はお座敷構造の和室です。
長野地区を中心に活躍をしていましたが、平成7年に後継となる14系客車改造の「浪漫」が登場し、廃車となっています。

JR東日本 簡易和式客車「ふれあい」(スハフ12 64)

suhafu1264(fure).jpg


昭和60年に長野鉄道管理局長野運転所所属のオハ12系(スハフ12 7、64及びオハ12 121、149、284、285)を改造したもので、座席の座布団を外して畳が置けるように枠を改造したものです。塗装は種車のままとされています。運用時(畳になった時)にヘッドマークを掲出するようでした。あまり知られていなかったようで、平成7年にひっそりと廃車となりました。

JR東日本 お座敷客車+サロン佐渡(スロフ12 806・オロ12 706)

sado.jpg   oro12706(sado).jpg


昭和56年に新潟鉄道管理局に登場した和式客車です。編成自体に愛称名は無く、ファンからは所属となる上沼垂(かみぬったり)運転区の電報略号「カヌ」を拝借して「カヌ座」と呼ばれていました。当初は6両編成でしたが、昭和60年に欧風客車「サロン佐渡」を加え、7両編成となりました。各車輌には新潟局管内の代表的な山の名前が付けられていました。
スロフ12 805(妙高)+オロ12 809(米山)+オロ12 810(白海)+オロ12 706「サロン佐渡」+オロ12 811(弥彦)+オロ12 812(飯豊:いいで)+スロフ12 806(月山)となっていました。
車内は標準的な畳敷きのお座敷客車となっており、トイレ、洗面所側の乗降扉はふさがれています。貫通扉に愛称表示器を設置しました。欧風客車オロ12 706はソファなどが配置されていました。また、写真のように最後部としても使えるように後部標識灯が付けられていました。
昭和63年に種車と同じ青色に白色の帯から、白色をベースにオレンジ色の濃淡の帯が巻かれた塗装となりました。平成6年に再度塗装変更が行われ、深緑色をベースに金色の帯が配された塗装になっています。
平成10年にサロンエクスプレス東京の欧風客車から和式客車への改造の際、余剰となったオロ14 702が編成に加えられ8両編成となりました。平成13年に普通車への格下げが行われ、原番号に1000番を加え、スハフ12 1805、1806、オハ12 1809~1812、オハ14 1702となりました。
オロ12 706は平成13年、その他は平成14年に廃車となっています。

JR東日本 ばんえつ物語(スハフ12形式・オハ12形式)

平成11年よりJR東日本新潟支社で運行が開始された臨時快速列車「SLばんえつ物語」号用の客車です。運転区間は当初は新津駅でしたが、新潟~会津若松駅を走行しています。
オハ12系はスハフ12 101、102、オハ12 313~316の6両が選ばれました。

suhafu12102.jpg  suhafu12101b.jpg


oha12315.jpg  oha12314b.jpg


運転開始直後はオハ12系の塗装をチョコレート色とクリーム色の2色に塗装変更し、車内も内装材や床材を木目調に変更、トイレの洋式化、洗面所のリニューアルが行われました。平成12年にはガス灯風の明かりが付けられるなどの小さな変化がありました。
平成19年にリニューアル改造を受け、塗装をオリエント急行をイメージとした紺色とクリーム色の2色に変更されました。車内の座席は背もたれが高くなるなるなどの変化があります。また、スハフ12形式の車掌室側には蒸気機関車用の軸受センサー用の接続箱が設置されるなどの変化がありました。

JR東日本 ばんえつ物語(オハ12 1701・オハ12 316)

oha121701.jpg oha121701sb.jpg oha12315b.jpg


平成12年にスハフ12形式を改造した展望車であるオハ12 1701が仲間に加わり、7両編成となりました。車体は新製され、展望室、フリースペース、車内販売スペースが設置されました。平成19年のリニューアル改造では車内販売スペースがオハ12 316へ移され、フリースペースが拡大されました。車内販売スペースが移ってきたオハ12 316は側面窓が一部埋められ、外観に変化が出ています。客室内はばんえつ物語のマスコットキャラクターであるオコジョ(イタチ)のオコジロウ、オコミをテーマとしたオコジョルームとなりました。(平成24年からは通常の座席に戻されています。)このほか、50インチ大型モニターでC57 180歴史を放映したり、SL宣伝コーナー、多目的室が新しく設置されました。

JR東日本 ばんえつ物語(スロフ12 102・スハフ12 101オコジョ)

surofu12102.jpg   suhafu12101t.jpg


平成25年に定期の蒸気機関車牽引による列車では初めてとなるグリーン車が登場しました。登場以来、普通車で活躍してきたスハフ12 102が種車で車体は新製されました。「気品ある空間と快適な居住性を楽しんでもらおう。」というのがコンセプトで、客室窓は固定式、車内は1+2列配置の回転式リクライニングシート及び展望室(この車輛の利用者のみ利用が出来る。)となっています。塗装も独特のものに変更されました。
翌、平成26年には会津若松方に連結されていたスハフ12 101も展望車化改造を受けました。車掌室側を編成の内側に方向転換し、トイレ、洗面所側に展望室を設けるかつてのジョイフルトレインに多く見られた手法が採られています。こちらも、側面窓が固定化されており、車内はオコジョルーム、展望室のフリースペース車となりました。愛称は「オコジョ展望車輛」です。

JR東海 和式客車「いこい」(スロフ12 812・オロ12 821)

surofu12812(ikoi).jpg   oro12821(ikoi).jpg


昭和57年に静岡鉄道管理局に登場した和式客車です。各車輌には当局管内の代表的な河川名を付けています。
スロフ12 811(豊川)+オロ12 821(天竜川)+オロ12 822(大井川)+オロ12 823(安倍川)+オロ12 824(富士川)+スロフ12 812(狩野川)の6両編成です。
先に登場した東京北鉄道管理局の「なごやか」に準じた改造を行っていますが、中間車の冷房装置の数や休憩室の窓の大きさが異なっていました。平成9年に廃車となっています。

JR東海 和式客車(通称、ナコ座)(スロフ12 915他)

surofu12915nakoza.jpg


昭和58年に名古屋鉄道管理局に登場したお座敷客車です。編成全体の愛称は無く、ファンからは所属となる名古屋車輛区から「ナコ座」と呼ばれていました。各車輌には当局管内の旧国名が付けられていました。
スロフ12 915(近江:滋賀県)+オロ12 829(飛騨:岐阜県)+オロ12 830(美濃:岐阜県)+オロ12 831(伊勢:三重県)+オロ12 832(尾張:愛知県)+スロフ12 916(三河:愛知県)の6両編成です。
スロフ12 915、916には展望デッキが設けられ、その後ろ客室窓4つは固定窓とし、その部分はソファーの置かれた洋間となっています。展望デッキを設置したため、800番代ではなく、試作車ではないが900番代を与えられた点も特徴となっています。下2桁が15、16となっているのは通し番号となっているためです。
中間の客車は静岡局「いこい」と同じ構造となっています。平成11年に廃車となっています。

JR東海 欧風客車「ユーロライナー」(写真右はマワ車所蔵)

yuroliner(pc).jpg   yuroliner.jpg


昭和60年に名古屋鉄道管理局に登場した欧風客車です。シンプルで透明感、開放感あるデザインをコンセプトに設計され、車体はライトブルーイシュグレー(明るい青色ががった灰色)にウルトラマリーン(群青色)の帯を巻いたものとしています。展望車には「EURO LINER」のロゴが入れられています。
編成はスロフ12 701(展望車)+オロ12 701(個室車)+オロ12 702(個室車)+オロ12 703(カフェラウンジ車)+オロ12 704(個室車)+オロ12 705(個室車)+スロフ12 702(展望車)の7両編成です。
個室車は車体を新製し、4人用個室及び6人用個室を3室ずつ設けています。14系寝台客車のようなスタイルで、屋根を高くし大きな固定窓、天窓を設けています。座席はリクライングシートとなっています。各部屋には冷暖房制御盤、オーディオ機器、ビデオモニターがあり、カセットデッキはソフトを持ち込んで利用が出来ました。また、折り畳み式の簡易寝台が設置されているのも特徴です。
展望車はトイレ、洗面所のあった側に展望室を設置しました。下部までガラス張りという解放感あるスタイルが特徴で、大きいソファーが配されていました。客室は1+2列配置のリクライングシートが配置されていました。
中間となるカフェラウンジ車は乗客全員が利用できる車輛で、ビュッフェ、カラオケステージが備えられていました。
団体列車の他、臨時列車などにも活躍、編成を短くして運転したり、展望車と中間車を別々の列車に使っての運転もありました。平成17年に廃車となっています。

JR西日本 和式客車「わくわく団らん」(オロフ12 801・マロフ12 803・オロ12 828)

orufu12801(sawa).jpg marufu12853(sawa).jpg oro12828(sawa).jpg


昭和57年に金沢鉄道管理局に登場したお座敷客車が始まりとなります。編成全体に愛称は無く、ファンからは金沢のお座敷客車であることから「サワ座」と呼ばれていました。各車輌には当局管内の旧国名が付けられていました。
スロフ12 813(若狭:福井県)+オロ12 825(越前:福井県)+オロ12 826(加賀:石川県)+オロ12 827(能登:石川県)+オロ12 828(越中:富山県)+スロフ12 814(越後:新潟県)の6両編成でした。
東京北鉄道管理局「なごやか」に準じたお座敷客車で、中間車の冷房装置が1個少ないなどの小さな違いしかありませんでした。貫通扉には愛称表示器が設置され、金沢局のある地域のイラストにお座敷と書かれたシンプルなマークがありました。
当初、オハ12系と変わらない塗装色でしたが、昭和62年にアイボリー、マルーン、ベージュを曲線で塗り分ける独特の塗装となりました。後にベージュの部分は金色に変化しています。(下の写真を参照。)

sawaza.jpg


JR西日本に移行後も金沢支社の看板列車として活躍を続けていましたが、設備の老朽化や陳腐化が目立ってきたため、平成5年に大幅なリニューアル工事が実施される事となりました。大きな特徴として、両端に密閉式の展望車を設けたほか、フリースペースのイベントカーを連結しました。客室窓はすべて固定窓となったほか、各車に与えられていた愛称を廃止し、編成全体に「わくわく団らん」の愛称をつけました。
また、リニューアル工事は全車を運用から外して行うのが一般的ですが、運用を行いながら少しずつ進めていく珍しい方法が採られました。新しくマロフ12 853、オロフ12 801を製作し、リニューアルから外れたスロフ12 813、オロ12 826はここで廃車となっています。
スロフ12 814+オロ12 825+オロ12 827+マロフ12 853(イベントカー)+オロ12 828+オロフ12 801という編成に生まれ変わりました。
平成18年に廃車となっています。

JR西日本 欧風客車「ゆうゆうサロン岡山」

yuuyuuokayama.jpg


昭和60年に岡山鉄道管理局に登場した欧風客車です。愛称は一般公募で選ばれたもので、愛称の「ゆうゆう」は悠々:ゆったり落ち着いた旅を、遊:旅を楽しもうとする遊び心、友:気の合う仲間と和やかな旅を、裕・優:ゆったりと豪華な旅を、誘:旅への誘い、旅心を駆り立てるの意味が込められています。
編成はスロフ12 703+オロ12 707~710+スロフ12 704の6両編成。車体色は赤7号をベースに金色の帯を配したものとなっていました。
編成の特徴となる展望室部分は傾斜のある平面大型ガラス2枚で構成されています。側面窓大きく、天窓もついた構造です。展望室内には大型ソファーが配され、ビデオカメラで流れゆく風景を各車に流すことも出来ます。また、アコーディオンカーテンで客室と仕切る事も出来ます。
客室部分は1+2列配置のリクライニングシートがあり、トイレ、洗面所の無い側のデッキが廃され、更衣室、リネン室としています。車端部には50インチ大型モニター、カラオケ装置、ビデオ機器を設置しています。室内灯は蛍光灯を撤去し、シャンデリアと白熱灯の補助灯に変更しました。4号車には本部室があり、ミーティングや休憩を取る事が出来ます。
岡山地区を中心に臨時列車にも活躍、平成5年には延命工事が行われ、展望室を中心としたリニューアル工事が行われ、塗装も白色をベースに薄緑、オレンジ、紫色の山形模様になり、愛称も「ユウユウサロン岡山」に変更しました。
平成23年に廃車となっています。

JR西日本 和式客車「旅路」(スロフ12 810・オロ12 817・オロ12 818)

surofu12810(tabi).jpg oro12817(tabi).jpg oro12818(tabi).jpg


昭和56年に広島鉄道管理局に登場した和式客車です。各車輌には花の名前が付けられています。
スロフ12 809(はまゆう)+オロ12 817(きんもくせい)+オロ12 818(さくら)+オロ12 819(さるびあ)+オロ12 820(きょうちくとう)+スロフ12 810(さつき)の6両編成です。
登場時は種車であるオハ12系と変わらない塗装でしたが、昭和62年に赤色をベースに金色の帯を入れたものに変わりました。JR西日本広島支社の団体列車として活躍を続けていましたが、老朽化、陳腐化が目立ち始め、平成6年にリニューアル工事を行いました。
両端のスロフ12形式に高屋根式展望室を設置、ガラスには熱線吸収機能を持ったものを使用しています。3号車はラウンジカーに改装され、既存の窓を2個つないで大型窓としています。このリニューアル工事で各車の愛称は無くなってしまったようです。
鮮烈な赤い色の車体が特徴で、広島地区を中心に活躍をしていましたが、平成19年に廃車となりました。

JR西日本 「奥出雲おろち号」(スハフ12 801・オハフ13 801)

suhafu12801orochi.jpg   ohafu13801orochi.jpg


平成10年より、木次線利用促進を目的に登場したトロッコ車輛です。木次~備後落合駅間のトロッコ列車「奥出雲おろち号」として運転される専用車輛になります。
スハフ12 801は急行「だいせん」や「ちくま」号に活躍したスハフ12 3001(スハフ12 40)で、簡易リクライニングシートを配した座席車(展望車利用者の控車)です。機関車と展望車の間(2号車)に連結されています。
オハフ13 801はスハフ12形式を改造したトロッコ車輛で、備後落合駅方に連結されています。種車に大胆な改造を施しました。側窓、冷房装置、座席などを撤去。新しい座席、テーブル、床板に不燃化構造の木材に交換しています。車掌室、業務用室のあった場所は運転台を設置しました。これは、折返し駅での機関車の付け替えを省略するためで、動力となる機関車(DE15又はDE10形式)の操縦が出来るようになっています。先頭車の役割をするため、後部標識灯の他、前部標識灯、排障器(スカート)などが設置されています。
塗装は銀河鉄道をイメージしたもので、白色、青色、灰色を大胆に配し、星をちりばめたものとしています。

JR四国 「ムーンライト」用客車(スロフ12 3・オロ12 10・オロ12 6:スロフ、オロ12 6は青い梅氏撮影

surofu123.jpg oro1210.jpg oro126.jpg


昭和63年、JR四国ですでに登場していた「アイランドエクスプレス四国(オハ50系改造)」が人気が高く、これに続くジョイフルトレインとして、団体輸送用に活躍していたオハ12系をグレートアップしてグリーン車としたものです。アイボリーホワイトをベースにコーポレートカラーのスカイブルーと赤い帯を巻いた塗装となりました。その後赤帯から青帯へ、晩年は元の12系塗装に戻りました。
登場したのはスロフ12 3、6、オロ12 5、6、9、10の6両で、このうちオロ12 6及び9は側窓を固定窓とし、座席を撤去してカーペット敷きの車輛となりました。衝立で仕切る事が出来る構造となっています。その他の車輛は1+2列配置のリクライニングシート座席に改造されています。
晩年は臨時快速「ムーンライト高知、ムーンライト松山」号で活躍、平成22年に廃車となり、一部の車輛は若狭鉄道へ譲渡されました。