111系・113系近郊形直流電車

諸 元

最大長  20000mm
最大幅  2900mm
最大高  4140mm(二階建てグリーン車は4070mm)
主電動機  MT46A形式(100kw)(111系)、MT54形式(120kw)(113系)
制御方式  直並列抵抗制御方式、弱め界磁制御方式
制動方式  発電ブレーキ併用電磁直通空気ブレーキ
動力台車  DT21B形式
附随台車  TR62形式(一部形式を除く)

車内設備など

座  席  ロングシート又はセミクロスシート(普通席)、クロスシート(グリーン席)
乗降扉(片側)  3扉(普通車)、2扉(グリーン車)
便所の有無  あり
その他  

概要

 昭和32年にモハ90系(後の101系)が登場し、この電車は新性能電車と呼ばれ、国鉄形電車の新しい時代が始まりました。モハ90系を基本とし、早速特急形、急行形へと用途別に発展をしていきました。
 この頃、東海道本線東京口では通勤、通学輸送に適した車輛は無く、長距離用に製造された旧性能電車のモハ80系などが担っていました。収容力や片側2扉構造などの理由から慢性的な遅延に頭を悩ませられていました。昭和36年に新性能電車では初めての近郊形電車となる401系、421系交直両用電車が登場。この系列は片側3扉構造のセミクロスシートで、中距離に適した構造でした。この仕様は東海道本線でも使えるのでは?となり、投入を望む声が出てきました。
 この様な背景と声を受けて、401系、421系をベースに直流電車とした111系が昭和37年に登場します。車体構造、動力台車など共通する点は多くありますが、附随車用の台車はブレーキの使用頻度が異なる事から、踏面式(TR64形式)からディスクブレーキ式(TR62形式)に、運転台は踏切事故対策から高運転台に仕様を変更しています。
 111系は混雑緩和や列車遅延を抑える事に貢献します。登場後の翌年となる昭和38年に主電動機出力を向上させたMT54形式が登場し、これを装備した新系列として113系が登場。111系は製造が打ち切られ、増備車は113系へ移行します。113系は主電動機の違いによって登場したもので、附随車に関しては変更点が無かった事から、111系と同じ形式(クハ111形式)をそのまま使用しています。この為、110~113と4つの形式がつくられる結果となっています。
 113系は本州の温暖な地域を中心に活躍。昭和38年から昭和47年まで2943両が製造されました。活躍する範囲が広範囲であり、その地域に応じた様々な仕様が登場。JR移行後もその勢いは暫く続きました。

111系・113系0番代
 新性能近郊形直流電車の第1弾として昭和37年に111系が登場しました。制御車はクハ111形式、電動車はモハ110形式、モハ111形式が登場しました。翌、昭和38年に出力アップした113系が登場し、111系は製造終了。113系は111系の電動車の主電動機出力を向上させた系列で、外見上も車内などは同一。この為、不随車形式は111系の番号110又は111を使用しています。
 東海道本線(東京口)、横須賀線(当時はまだ地下鉄線ではなかった。)に投入され、その後、京阪神地区へも進出していきました。

クハ111-2(2位側) クハ111-3001(1位側)

クハ111-1~48
111系の制御車として登場したグループです。3位側にトイレの設備があります。基本は奇数向き制御車としての設計ですが、偶数向きとしても使用出来る構造となっています。写真はJR四国、予讃本線、土讃本線開業で車輛が不足する事から復活した車輛です。
クハ111-3001・3002
JR四国、予讃本線(現:予讃線)高松~坂出駅、多度津~観音寺駅及び土讃本線(現:土讃線)多度津~琴平駅間電化開業により、車輛が不足する事から111系を復活させる事になりました。この際、制御車は奇数向きが多く、偶数向きが不足していたため、奇数向き制御車を方向転換させ、偶数向き制御車としたのがこの番代になります。復活に際し、トイレは使用しないことから、窓を埋める軽微な改造が施されています。

モハ110-3(4位側) モハ111-3(4位側)

モハ110-1~
111系のパンタグラフ付き中間電動車です。電動空気圧縮機を搭載しています。JR四国で復活する際に冷房化改造を行い、補助電源装置にSIV装置を搭載したほか、集札などの車掌業務が出来る簡易の業務用室が前位側に設置されており、原形とは外観が異なります。
モハ111-1~
111系の中間電動車で、モハ110形式とユニットを組みます。主に走行に必要な主制御器、主抵抗器を搭載していますが、電動発電機も搭載しています。(電動送風機(ブロアモーター)に組み込み)

クハ111-82(1位側) クハ111-139(2位側)

クハ111-49~158
このグループより113系の制御車として製造されています。乗務員の作業環境改善が図られ、外観では雨樋の乗務員室上部までの延長、乗務員室直上のベンチレーターをグローブ型から押込み型(箱型)に変更しました。(冷房改造時にグローブ型に戻したものもあります。)

クハ111-177(1位側) クハ111-208(2位側)

クハ111-159~193
降雪地域に進出する事になり、ベンチレーターを115系と同じ、押込み型に変更したグループです。以降、押込み型が標準装備になりました。
クハ111-194~262
横須賀線、総武本線東京駅地下開業により登場した1000番代増備車の設計を採用したマイナーチェンジのグループです。乗務員室の拡大、前部標識灯のシールドビーム化、客室窓のユニットサッシ窓化、冷房装置の標準装備など環境が大きく改善しています。

クハ111-303(1位側) クハ111-268(1位側)

クハ111-301~503
111系、113系共通の偶数向き制御車です。外観の特徴はジャンパ栓納めが無い点があります。長大編成時、ブレーキやドアの開閉に使用する圧縮空気が不足する事から電動空気圧縮機を搭載しています。
クハ111-263~270・276~278
偶数向き制御車であるクハ111-301~を方向転換し、奇数向き制御車とした改造車です。奇数向きとなった為、ジャンパ栓受けなどを増設しています。

クハ111-517(1位側) モハ112-1(1位側)

クハ111-505~568
クハ111-301~をマイナーチェンジした偶数向き制御車です。クハ111-194~と同じく、乗務員室拡大や冷房装置を搭載しています。
モハ112-1~176
113系のパンタグラフ付き中間電動車です。電動発電機、電動空気圧縮機を搭載しています。モハ110形式の出力向上車で、外観は同じ。主電動機をMT54形式としています。冷房改造工事を受けた車輛は大型電動発電機に換装しています。

モハ112-5231(2位側) モハ112-246(4位側)

モハ112-177~232
降雪地域へ進出するため、主電動機を耐雪構造のMT54B形式に変更し、ベンチレーターを押込み型に変更したグループです。写真はJR西日本所属車で、高速化改造により、原番号に5000番を加えた車輛です。
モハ112-233~
0番代のマイナーチェンジしたもので、ユニットサッシ窓化、冷房装置の標準装備化が実施されています。

モハ113-1(3位側) モハ113-5200(1位側)

モハ113-1~176
113系の中間電動車です。主制御器、主抵抗器といった走行に必要な機器を搭載しています。モハ111形式の出力向上車であり、外観は同じです。抵抗器内に内包された電動発電機は113系では装備していないのが違いとなります。
モハ113-177~232
モハ112-177~とユニットを組むグループで、降雪地域に進出するため、必要な変更を行っています。写真はJR西日本所属車で、高速化改造により、原番号に5000番を加えた車輛です。

モハ113-258(2位側) サハ111-5003(3位側)

モハ113-233~
0番代のマイナーチェンジ車です。窓割りや車内の様子は既存車と同じです。
サハ111-1~5
113系で初めて登場した中間附随車です。3位側にトイレが設置されています。本形式が登場する以前は、クハ111形式が中間附随車の代用として使われており、1人でも多く乗車できるよう、運転台仕切り壁は折畳み構造となっており、立ち席スペースとなっていました。0番代の中間附随車は、後に115系からの改造車(400番代)や中間電動車の附随車化などで賄われ、新製車はこの0番代のみとなっています。JR西日本に籍を置き、高速化改造で5000番代になり、0番代は番代消滅。その後、短編成化、他系列への置換えで平成19年に全て廃車されています。

113系2000番代
 113系をはじめとする近郊形電車のクロスシート(ボックスシート)は急行形と比較すると、収容力を確保するため、やや小さめな設計となっていました。時代が進むと日本人の体格が大きくなり、同時に座席が窮屈に。向かい合う人と足が触れるといった陳腐化が目立ってきました。そこで、座席配置をはじめ、全面的な見直しを図る事にしました。
 0番代のシートピッチ改善車として位置付けられるのが本番代で、昭和53年に登場。シートピッチ変更により、窓割りの変更が行われたほか、乗務員の作業環境改善も行われています。

クハ111-2035(1位側) クハ111-2069(2位側)

クハ111-2001~
本番代の偶数向き制御車です。トイレも改良が行われ、明り窓が四角から小判型に変更されている他、電動空気圧縮機を搭載しています。

クハ111-2127(1位側) クハ111-2155(1位側)

クハ111-2101~
本番代の奇数向き制御車です。トイレの数を適正にする為、トイレの設備はありません。
クハ111-2146~
東海道本線や横須賀線、総武快速線といった長大編成で使用する為、トイレを設けたグループです。

モハ112-2103(1位側) モハ112-2116(2位側)

モハ112-2001~
0番代のシートピッチ改良車になります。窓割りが変更されており、外観が異なります。車内では乗降扉近くの座席(ロングシート)が2人掛けに変更されています。

モハ113-2038(1位側) モハ113-2116(2位側)

モハ113-2001~
0番代のシートピッチ改良車です。モハ112-2001~と同じ内容となっています。

サハ111-2006(4位側)

サハ111-2001~
0番代のシートピッチ改良車です。シートピッチを拡大したため、定員数確保の為、トイレは廃止されています。

クモハ113-2012(1位側) クモハ113-2001(2位側)

クモハ113-2001~
名古屋地区の編成短縮化を行う為、モハ113-2001~を制御電動車化改造を行った形式です。種車の前位側に運転台を設置しています。

クハ111-2204(1位側) クハ111-2333(1位側)

クハ111-2201~
奇数向き制御車であるクハ111-2101~を方向転換し、偶数向き制御車とした番代です。2205番のみ、種車の関係からトイレがありました。
クハ111形式2300番代
偶数向き制御車であるクハ111-2001~を方向転換し、奇数向き制御車とした番代で、ジャンパ栓受けなどを追加装備しています。トイレは閉鎖され、業務用室に転用しています。改造した種車の番号に300を加えています。

113系1000番代
 昭和40年に入り、国鉄では都心部に至る各路線の輸送力増強などを図る「通勤五方面作戦」というプロジェクトが実施されました。総武本線も酷い混雑を緩和するために、緩行線を増設し、快速線は錦糸町駅から分かれて、東京駅まで結ぶ事に。この区間は地下区間となります。トンネル区間は運輸省(現:国土交通省)の定めるトンネル区間内においての車輛の不燃化などの基準(A-A基準)に適合した車輛が必要となり、昭和44年に先行する形で本番代が製作されました。
 0番代をベースにA-A基準に適合した設計となっており、座席などの材料を難燃性、不燃性とした他、抵抗器や回路など火元になり得る箇所には発火防止対策を盛り込んでいます。また、地下区間では在来線初のATC区間となり、ATC保安装置が搭載されました。
 昭和47年に総武快速線東京地下駅が開業し、昭和51年からは横須賀線と相互乗り入れを開始。長らく両線をはじめ、房総地区の顔として活躍をしました。(一部車輛は後継系列の投入で東海道本線で余生を過ごしています。)

クハ111-1001(2位側) クハ111-1315(1位側)

クハ111-1001~1025
本番代の奇数向き制御車です。外観は0番代と同じですが、A-A基準を取り入れています。地下トンネルが決定した事で製作されたもので、ATC保安装置の機器室は設けられていない。
クハ111-1301~1339
本番代の偶数向き制御車で、クハ111-1001~と対をなします。構造はクハ111-1001~と同じですが、電動空気圧縮機を搭載しています。

クハ111-1082(1位側) クハ111-1374(2位側)

クハ111-1026~
東京駅地下開業直前にATC保安装置が採用される事が決定し、クハ111-1001~にATC保安装置を搭載しました。合わせて乗務員室の拡大が行われ、実質マイナーチェンジ車になります。この他、客室窓のユニットサッシ窓化、トイレに循環式汚物処理装置の装備が行われています。1064番以降は冷房装置が標準装備となっています。
クハ111-1340~
クハ111-1026~と対をなす偶数向き制御車で、マイナーチェンジ車となっています。クハ111-1106番及び1419番以前の車輛は前面強化構造とはなっておらず、後年になって前面強化工事(アンチクライマー装備など)を行っています。

モハ112-1011(1位側) モハ112-1013(2位側)

モハ112-1001~
モハ112-1~にA-A基準を採り入れた構造とした番代です。屋根上の主回路ヒューズが特徴です。

モハ112-1092(1位側) モハ112-1153(4位側)

モハ112-1055~
ユニットサッシ窓化などマイナーチェンジ車となるグループです。但し、冷房装置は準備工事(台座などを作製したのみ。)となっており、搭載時に電動発電機の換装も行っています。
モハ112-1112~
冷房装置が標準装備となったグループです。

モハ112-1263(1位側) モハ112-1261(2位側)

モハ112-1112~
写真は晩年、アコモ改良を施した車輛の例。電動発電機からSIV装置に変更している他、車軸を平軸からコロ軸に変更しているのが特徴です。

モハ113-1036(1位側) モハ113-1104(1位側)

モハ113-1001~
モハ113-1~に配管のダクト化など難燃化対策を施した地下鉄仕様のグループです。外観は変わらない。
モハ113-1055~
モハ113-1001~をユニットサッシ窓化、行先表示器の装備などマイナーチェンジを施したグループです。冷房装置は搭載せず、準備工事としています。

モハ113-1255(1位側) モハ113-1253(2位側)

モハ113-1112~
新製時より冷房装置が標準装備となったグループです。写真左の車輛はアコモ改良を受けた際、台車軸受けをコロ軸化しています。

サハ111-1010(3位側) サハ111-1030(1位側)

サハ111-1001~
サハ111-1~も不燃化対策を盛り込んだグループです。外観、車内ともに変化は見られません。
サハ111-1020~
ユニットサッシ窓化、汚物処理装置装備などマイナーチェンジを行ったグループです。

113系1500番代
 1000番代を地上型2000番代と同じく、シートピッチを改善したグループで、昭和54年に登場しました。構造は2000番代と同じですが、ATC保安装置を搭載している関係で、若干の差異があります。

クハ111-1502(2位側) クハ111-1602(1位側)

クハ111-1501~
奇数向き制御車で、シートピッチ改善により、窓割りが変化しています。トイレはありませんが、1505番及び1506番の2両は長大編成に対応する為、設置しています。
クハ111-1601~
偶数向き制御車で、トイレ、電動空気圧縮機を搭載しています。

モハ112-1512(3位側) モハ113-1508(2位側)

モハ112-1501~
パンタグラフ付き中間電動車で、1000番代のシートピッチ改善車になります。写真は電動発電機をSIV装置に換装したアコモ改良を行っている車輛です。
モハ113-1501~
1000番代のシートピッチ改善車で、モハ113-2001~と同じつくりとなっているグループです。窓割りが変更され、印象が異なります。

サハ111-1504(3位側)

サハ111-1501~
本番代の中間附随車で、1000番代のシートピッチを改善したグループです。定員数確保の為、トイレは廃止されています。

グリーン車
 本系列が使用される東海道本線東京口、横須賀線、総武快速線、京阪神地区などでは古くからグリーン車(一等車)が連結されており、111系、113系でも伝統が継承され、新製されました。線区の事情及び普通列車に使用される事から、豪華さよりも定員に重きが置かれている特徴があり、特急、急行形とは異なる発展を遂げています。
 京阪神地区は昭和55年、東海地区(静岡運転所所属)は昭和61年に廃止されており、JRへはJR東日本のみ継承した形となっています。

サロ111-30(1位側) サロ110-48(3位側)

サロ111-1~、サロ111-1001~
111系、113系共通のグリーン車で、昭和37年に登場しました。153系急行形電車のサロ153形式を基本に設計したもので、外観は似ていますが、車掌室が無い点が異なります。台車はコイルばねのTR62形式を履いています。昭和47年より冷房化改造が行われた他、横須賀線東京地下駅開業に際して、一部車輛が不燃化対策を施し、1000番代に変更されています。

サロ110-1~、サロ110-1001~
153系急行形直流電車のサロ153形式を格下げ改造した形式。格下げと言っても、ほぼそのままで、台車は空気ばね台車となるTR59形式を履いています。冷房化改造を受けた車輛もあり、自車給電用電動発電機を撤去(モハ112形式からの給電に変更。)しています。横須賀線向けにA-A基準を施した改造車もあり、こちらは1000番代に変更しています。

サロ113-1017(4位側) サロ110-1201(2位側)

サロ113-1001~
昭和48年に横須賀線、総武快速線向けに製作されたグリーン車です。地下鉄仕様車である事から1000番代となっています。急行形グリーン車に準じた設計を採り入れ、リクライニングシートを配しました。ゆったりとしたものの、定員は48名と少なく、これが仇となり、輸送需要に応じる事が出来ず、一時期は京阪神地区で使用されていました。
サロ110-1201~
昭和52年に登場したグリーン車。定員の少なさが不評であったサロ113形式を改良したもので、座席を特急用普通車向けに設計された簡易リクライニングシートに変更し、定員数を増やしているのが特徴です。トイレ、車掌室があり、1218番以降はトイレの採光窓が小判形に変更されています。

サロ124-2(1位側) サロ124-9(4位側)

サロ124-1~8・9~
老朽化の進む初期のグリーン車置換えを目的にJR東日本発足後の昭和63年に登場した二階建てグリーン車です。利用者からの着席需要が高い事から、同時期に登場した211系の二階建てグリーン車の車体を採用して製造されました。二階建てになった事により、定員数は1.5倍の90名になっています。
本形式は業務用室と車掌室を前位に設置しており、トイレ、洗面所の設備は無い為、既存の平屋グリーン車と組んで使用されました。台車は廃車発生品のTR69形式を履いています。9番以降は台車が新製され、ボルスタレス台車のTR235形式に変更。横須賀線、総武快速線向けの車輛は、座席の一部を荷物置き場に変更していました。
113系での用途終了後は211系に改造、編入されています。

サロ125-4(1位側)

サロ125-1~
サロ124形式と同一の構造を有する二階建てグリーン車で、平成2年に登場。トイレ、洗面所の設備を後位側に設けています。こちらも既存の平屋グリーン車と組んで使用されていました。2両ともトイレ、洗面所の設備がある事から5両の製造のみとなっています。113系での用途終了後は211系に改造、編入されています。

グリーン車(急行形・特急形グリーン車改造車)
 国鉄末期、台所事情は火の車であり、設備投資も非常に厳しい制限をかけられていました。昭和30年代後半、40年代初頭に製造されたグリーン車の老朽化、陳腐化が目立ち始め、置換え時期が差し迫っていました。しかし、先述の通り、新製をする事は容易に出来ず、頭を抱える事になってしまいました。
 一方、当時は東北・上越新幹線開業やフリークエンシーサービス向上により、急行列車、特急列車の見直しが行われました。見直しにより、列車の廃止、編成短縮が行われ、余剰車が出ていました。その中にグリーン車も含まれており、これを転用し、厳しい情勢下を乗り切ることにしました。
 いずれの車輛も改造内容は安価で済ませるため、113系と連結できるように電気的な改造、乗降扉の増設、換気可能な窓の設置といった軽微な改造に留め、車体、車内設備をそのまま再利用しています。車体断面形状が大きく異なっており、非常に目立つ存在となっていました。
 種車となったのは181系、183系、485系、489系、165系と多岐にわたり、定員やトイレの有無など仕様はバラバラですが、似通っているもので区分し、サロ110形式300番代、350番代、1300番代、1350番代としました。定員、設備の関係から、サロ110形式1200番代と組んで使用されました。

サロ110-305(3位側) サロ110-1305(4位側)

サロ110-304~311
昭和62年に登場したグループで、183系特急形直流電車のサロ183形式0番代を種車にしたものです。後位側のトイレ、洗面所部分に乗降扉を増設しており、トイレ、洗面所はありません。前位側にある車販準備室、車販コーナーは残され、特徴になっていました。
サロ110-1301~1305
サロ110-304~と同じく、183系のサロ183形式1000番代を種車としたグループです。改造内容は同一で、トイレ、洗面所の設備はありません。

サロ110-354(3位側) サロ110-362(3位側)

サロ110-351~362
昭和58年に登場したグループで、種車は489系特急形交直両用電車のサロ489形式です。乗降扉の増設は後位側の客室部分に行われており、トイレ、洗面所の設備は残されました。前位側の乗降扉はステップ付きであった為、埋める工事が実施されています。種車が初期車である車輛はきのこ形キセが特徴のAU12形式冷房装置、後期車である車輛はAU13形式冷房装置を搭載していました。尚、同様の形態でサロ110-301~303があり、181系特急形直流電車のサロ180形式、サロ181形式を改造したもので、トイレ、洗面所の有無や車高などに違いがありました。

サロ110-1355(3位側)

サロ110-1351~1358
サロ110-351~と同じ、489系のサロ489形式又は485系のサロ481形式を種車としたもので、改造内容は同じですが、残されたトイレを閉鎖して使用した点が異なります。

サロ110-401(2位側) サロ110-501(3位側)

サロ110-401
昭和60年に登場した車輛で、165系急行形直流電車のサロ165形式(130番)を改造したものです。行先表示器の設置、自車用冷房用電源に用いる電動発電機及び回送運転台の撤去が行われた他、種車の客室窓が一段下降窓であった事から、腐食対策としてユニットサッシ窓化を行いました。
サロ110-501
昭和58年に登場した車輛で、165系のサハ165形式(7番)を改造したもの。行先表示器の追加、113系に合わせた塗装変更が行われ、車内はサロ110-1201~と同じ、簡易リクライニングシートに変更しています。座席と窓割りが合っていないのが特徴でした。



113系の改造車(JR東海、JR西日本、JR四国)はその2となります。その2を見る場合は下記の文字をクリックして下さい。

その2を見る




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