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試験車(しけんしゃ)
試験車はその内容(目的)によって3つに大別されます。
①鉄道設備の状況や建築限界等の地上設備を測定する車輛。
建築限界測定車、軌道試験車、電気検測・信号検測車等用途別に様々な車輛があります。記号は「ヤ」となります。
②技術開発を目的に各種試験を行う車輛。
高速車両の開発や、新技術の性能試験等を目的にしたもので、営業を目的としていない為、スタイルは斬新な外観となる事もあります。編成単位であれば、比較検討により形状が異なる等様々あります。必要なデータが収集された後は廃車になる事が多い。記号に「ヤ」が付くものや、形式番号に試験車を意味する900番代を使うケースがあります。
③新型車輛の量産前に各種試験を行う車輛。
一般的には「試作車」や「プロトタイプ」、「先行量産車」等とも呼ばれるもの。量産車が製作される事が前提でほぼ仕様は決まっており、試験を兼ねながら運用を行い、結果を量産車へ反映させます。結果が良好であれば、量産車が登場。直ぐに廃車にせず、「量産車化改造」が行われるケースが多くあります。一方で、成績が悪い等の理由で量産化を見送るケースも少なからずあります。こちらは番号で識別する事が多く、900番代を使う他、1番から付く場合も様々あり、量産化改造を行った際に900番代となる場合もあります。
●193系電車
193系は直流電化区間用の電気検測用試験電車で、新製された0番代と交直両用検測試験電車から改造した50番代の2種類があり、両者は直流電化区間の電気検測車という点のみが共通で、これ以外は全く異なります。
0番代
首都圏の架線検測用に使用してきた181系改造の191系の置換え、ATC線区に対応する検測車として昭和55年に新製されました。車体構造は443系やキヤ191系に近く、先頭部はクハ481形式300番代に準じた高運転台、非貫通構造となっています。首都圏と新潟地区で使用されましたが、身延線の狭小トンネル、横軽対策も施されています。平成15年頃まで活躍し、保留車となっていましたが、平成25年に廃車となっています。
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| クモヤ193-1(1位側) | クモヤ192-1(2位側) |
クモヤ193-1
架線の検測を行う車輛です。屋根上には測定用のパンタグラフ、観測用ドーム、投光器が設置されています。トロリー線の測定方法が可視光線からレーザーを用いる方法に変更した為、昼間でも検測が可能になりました。
クモヤ192-1
信号の検測を行う車輛です。ATC、ATS等の信号検測を行います。前位側の台車はATC用速度検出の為、不随台車となっています。
50番代
昭和41年に架線検測用の試験車として登場した495系交直両用電車を改造したグループです。495系は急行形交直両用電車をベースにした、前面非貫通構造の車輛で、電気機器類やブレーキシステムは483系特急形交直両用電車をベースにした車輛です。前面の3枚窓、裾絞りの無い独特のスタイルが特徴です。
落成後、勝田電車区(現:勝田車両センター)に配置され、高速運転時の集電特性を解析する事が目的で始まりました。昭和50年に金沢運転所(現:金沢総合車両所)に転属。昭和57年に電気検測車への大規模な改造が行われ、外観は大きく異なりました。
昭和61年に大垣電車区(現:大垣車両区)へ転属となり、昭和62年にJR東海に継承される事が決まり、JR東海管内に交流電化区間が無い事から、不要な交流機器を撤去。分割民営化直前に193系50番代(クモヤ193-51+クモヤ192-51)に形式が変更されました。
塗装色は赤13号(ローズピンク)にクリーム4号の警戒色の交直両用事業用電車の標準色に、交流60Hz用の識別帯を裾部に入れたもので、193系に変更後も暫くそのままで、昭和63年に直流事業用電車の標準色である青15号と黄5号に変更されました。
名古屋圏を中心に活躍していましたが、平成10年に廃車となっています。
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| クモヤ193-51(2位側) |
●443系電車
架線と信号設備の検測の制度強化、作業の省力化を目的に、昭和50年に2編成4両が製作されました。
架線を検測する事から直流、交流50・60Hz両用の交直両用電車として設計されており、外観は同時期に登場したキヤ191系に準じ、当時の特急形電車の高運転台、走行機器とし、急行形電車に近い車体を組み合わせました。塗装色は当時の交直両用電車の標準色である赤13号、クリーム4号の塗分けとしています。
第1編成は勝田電車区(現:勝田車両センター)に配属。分割民営化後はJR東日本に継承され、平成15年まで活躍しました。第2編成は向日町運転所(現:吹田総合車両所京都支所)に配属され、令和3年まで活躍しました。
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| クモヤ443-2(2位側) | クモヤ442-2(2位側) |
クモヤ443-1・2
架線検測を行う車輛です。屋根上には測定用パンタグラフを2基、観測用ドーム、投光器が搭載されています。屋根上に冷房装置が設置出来ない為、床置き型の冷房装置を搭載しています。
クモヤ442-1・2
信号検測を行う車輛です。踏切、ATS、軌道回路の検測を行います。集電用パンタグラフ部分は身延線の狭小トンネルに対応する為、低屋根構造となっています。
●クヤ497形式電車
この車輛は鉄道総合技術研究所(JR総研)が所有していた試験車で、車輪とレールの間の摩擦係数(粘着係数)を測定する「すべり粘着試験車」という車輛で、昭和62年にクモニ83形式荷物直流電車を1両改造して登場しました。車輛はJR総研所有でしたが、本線走行を可能とする為に、JR東日本に編入し、最寄りの豊田電車区(現:豊田車両センター)の所属となっていました。
レールと車輪との摩擦係数(粘着係数)は、牽引力向上や安全性向上等に欠かせないデータです。この車輛が登場する以前は、台車に散水し、車輪のすべり具合を測定する等の方法で、自然条件に左右され易く、安定してかつ連続した測定が困難でした。安定して計測が出来るように、世界初となる粘着試験専用台車となるすべり粘着試験台車TR910形式を開発しました。
この台車は鶴見事故で問題となった競合脱線を解明する為に登場したマヤ40形式や営業用の電車に履かせて各種試験を行いましたが、機関車や電車に牽引させる為、連結位置が決められてしまう問題がありました。
そこで先頭車としても使用出来、路線の制限なく使用出来る交直両用電車の制御車として本形式が製作されました。この他、非電化区間での測定も可能なように、連結器は双頭連結器が装備されている他、非電化区間や交流電化区間でも自車で使用する電源を確保する為、床下にディーゼル発電機を搭載しています。(直流電化区間ではパンタグラフから電気を取り入れ、電動発電機から給電していました。)種車のクモニ83形式が低屋根構造(800番代)車であり、高尾以西への入線も可能となっています。
この車輛の歴史を見ると、昭和23年モハ63系のモハ63形式として新製、昭和27年にモハ72系のモハ72形式に改造、昭和41年にクモニ83形式800番代に改造。そして、昭和62年にクヤ497形式に改造されました。活躍期間は短く、平成8年に車籍が抹消されました。その後はJR総研内でフリーゲージトレインの試験等に使用されました。新しい試験車が導入され、保管場所が無い事から解体されてしまったそうです。
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| クヤ497-1(4位側) |
●JR東日本E491系総合試験車
国鉄より継承した193系、443系及びマヤ34形式の老朽化が進んでいる事から、それらを置換え、統合した「交直流電気、軌道総合試験車」として平成14年に登場しました。愛称は「East i-E(イーストアイ ダッシュイー)」と命名。「East(イースト)」はJR東日本の「東」、「i(アイ)」は知能の高いを意味する「intelligent」、検査を意味する「inspection」を意味し、「-E」は在来線電車を意味しています。
車体はアルミニウム合金製の大形中空押出材を用いたダブルスキン構造で、先頭部はE231系近郊形タイプを基本にしており、安全対策として衝撃吸収用アルミハニカム材を配置しています。JR東日本管内で運用する為、耐寒・耐雪構造を採用しています。車体色は「清潔・厳正」をイメージした白色をベースに、「探求・情熱」を表現した赤色を配しています。
制御方式はIGBT素子を用いた3レベルPWMコンバータ+3レベルVVVFインバータ制御方式を採用しています。ブレーキ方式は発電・回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ方式が採用されており、抑速ブレーキ、耐雪ブレーキも装備しています。
先頭車には双頭連結器を装備する他、建築限界測定車のマヤ50形式を組み込んで運転をする事も可能となっています。
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| クモヤE491-1(2位側) | クヤE490-1(1位側) |
クモヤE491-1
信号、通信関係の検測を行います。試験中は測定機器にノイズを与えないよう、前位側の主電動機を開放して運転が行われます。屋根上には前位側より、計測用のPS96A形式下枠交差式パンタグラフ、架線離隔測定検出器、通信用アンテナ3基、発電ブレーキ用抵抗器が搭載されています。台車は前位側がDT68形式、後位側が検測用ATS車上子を持つDT68A形式となっています。この他に走行用のSIV装置を搭載しています。
クヤE490-1
軌道関係の検測を行う車輛です。屋根上は通信用アンテナと発電ブレーキ用抵抗器が無い他はクモヤE491-1と同じ物が搭載されています。台車は前位側がTR253形式、後位側はTR253A形式となっています。この他に測定用機器用のSIV装置を搭載しています。
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| モヤE490-1(4位側) |
モヤE490-1
電力関係の検測を行う車輛です。シングルアーム式のPS32A形式パンタグラフは集電用で2基搭載されています。編成の進行方向に応じて、一方のみを使用します。観測用ドーム、投光器、架線支持点位置検測器、トロリー線摩耗偏位測定装置が搭載されています。車内にトイレの設備があります。
●JR東日本209系「MUE-Train(ミュートレイン)」
この電車はJR東日本が在来線車輛の技術試験を目的に209系通勤形直流電車を改造して製作した研究開発用の事業用直流電車で、平成20年に登場しました。
愛称の「MUE-Train」はMUltipurpose Experimental Train=多目的試験列車を略したもので、京浜東北線・根岸線で活躍していた209系0番代10両編成を7両編成に変更し、改造したものです。形式記号の普通車を意味する「ハ」から職用車(試験車)を意味する「ヤ」に変更しています。
車体には新しいデザインが施されており、明るい未来、希望を表す「白色」を帯色とし、多くの分野の光り輝く新技術が集結して新しい鉄道システムを構築するイメージを帯に集めるブロックパターンと「mue」の文字によって表現しています。
様々な路線や状況での試験を可能とする為に、ATS-Sn、ATS-P等複数の保安装置を搭載していますが、ATACS(アタックス)は搭載していない為、この投入線区での運転は出来ません。
登場後、車輛性能向上や次世代車輛制御システム(INTEROS(インテロス))等の試験・開発が行われており、同社の新型車輛開発に貢献をしています。
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| クヤ208-2(1位側) | モヤ208-4(4位側) |
クヤ208-2
クハ208-2を改造した制御車で、1号車に位置します。空気ばね車体傾斜機構及び降雨時のブレーキ力向上の試験を目的とする他、「WiMAX」という高速データ通信の検証試験も行います。屋根上にはアンテナ類、床下には錘や機器類が追加されています。車内は測定室に改造されており、空気ばね車体傾斜機構試験の為、車高を抑え、重心を下げる錘が搭載されています。
モヤ208-4
モハ208-4を改造した中間電動車で、2号車です。1号車と同じ空気ばね車体傾斜機構及び降雨時のブレーキ力向上の試験を目的としています。車内は測定室に改造され、錘が搭載されています。
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| モヤ209-4(4位側) | サヤ209-8(4位側) |
モヤ209-4
モハ209-4を改造したパンタグラフ付き中間電動車で、3号車です。パンタグラフは狭小トンネルにも対応したシングルアーム式パンタグラフに換装されています。降雨時のブレーキ力向上の試験を目的とした車輛です。
サヤ209-8
サハ209-8を改造した中間附随車で、4号車です。台車性能の向上試験に用いられていました。試験が終了した為、編成から外されて、廃車となっています。現在は6両編成で試験を行っています。
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| モヤ208-3(4位側) | モヤ209-3(4位側) |
モヤ208-3
モハ208-3を改造した中間電動車で、5号車です。地上設備の状態監視用機器の開発が目的の試験車です。
モヤ209-3
モハ209-3を改造したパンタグラフ付き中間電動車で、6号車です。地上設備の状態観測用機器の開発が目的で、電力設備関係が主な目的となっており、屋根上には測定機器、投光器等を見る事が出来ます。
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| クヤ209-2(1位側) |
クヤ209-2
クハ209-2を改造した制御車で、7号車になります。地上設備の状態監視用機器の開発、走行する車輛の風速測定試験が行われています。
●JR東日本E991系交直両用試験電車「TRY-Z(トライゼット)」
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| クモヤE990-1(1位側) |
在来線の理想的な鉄道システム実現を目標として平成6年に登場した試験電車です。愛称の「TRY-Z」は「TRY」は挑戦、試験、努力、解決を、Zは在来線、究極を意味しており、「在来線において、究極の技術開発に挑戦する試験電車」という意味が込められています。
編成は3両編成で、クモヤE991-1+サヤE991-1+クモヤE990-1の構成です。車体はアルミニウム合金製ですが、材料や構造が異なります。クモヤE991形式はアルミ制御中空押出形材を使用したモノコック構造、サヤE991形式はアルミ板材、アルミ制振形材を使用したスケルトン構造、クモヤE990形式はオールアルミハニカム材を使用したモノコック構造としており、運転台はクモヤE990形式は従来のスタイルとしつつ、改善させたもの。クモヤE991形式は理想的な運転台を追求したデザインとなっており、全く異なる外観となっています。また、平成4年に成田線で発生した踏切事故を受け、乗務員を保護する為、衝撃吸収構造を採用しました。
制御方式はGTO素子及びIGBT素子を用いたVVVFインバータ制御方式で、ブレーキ制御方式は日本の鉄道車輛では珍しい、回生ブレーキ併用電気指令式油圧式ブレーキ方式が採用されています。レールブレーキの試験も行えるよう、準備工事が行われています。
この他、制御式自然振り子式車輛に代わる車体傾斜方式の開発を目指して、アクティブサスペンションを用いた強制式車体傾斜制御方式を採用しています。
登場後、160km/hまでの走行試験や車体傾斜装置を用いて急曲線での高速走行試験等を実施、平成11年に試験終了と共に廃車となっています。
●JR東日本E993系直流試験電車「ACトレイン(エーシートレイン)」
この電車はJR東日本が次世代通勤形車輛の開発を目指して製作した試験用電車で、平成14年に5両編成1本が製作されました。愛称は「ACトレイン」で、ACとはAdvanced
Commuter:進化した通勤列車を意味しています。
21世紀に相応しい、通勤形・近郊形電車のモデルとし、既存の方法にとらわれない新しい手法が多く採用されており、DDM(Direct Drive
Moter:直接駆動方式)による主回路方式、ダブルスキン構造、外吊り式ドア構造、連接構造等数多くあり、コストダウン、輸送の安定性及び旅客サービス向上、バリアフリー、エコロジーをコンセプトに掲げ、開発が行われました。
編成はクハE993形式+サハE993形式+モハE993形式+モハE992形式+クハE992形式の5両編成で、連接車となっており、量産する際は20m級車輛で、基本6両編成+付属4両編成と同等の長さ(全長200m)にする想定で、連接車では6両編成相当は9連接構造、4両編成相当は5連接構造としています。本試験車は後者の付属編成に相当するものとなっています。
様々な試験が行われ、平成16年以降に製造された車輛に試験結果を反映した新しいシステム等が登場しています。
・平成16年以降製造されたE231系近郊形にはグラスコックピット、側引戸開閉表示灯、ドア制御のバックアップ機能。
・平成17年に登場したE531系ではつり革の形状変更、バリアフリー対策による、乗降扉廻りの視認性向上。
・平成17年に登場したE233系では前2つの新機能に加え、フルカラーLED表示器が採用されました。
この他、連接構造、DDM等、本系列で試験された技術の実用化を検証する為、営業用車輛として平成18年にE331系が登場しています。
数多くの新技術等の試験で功績を残しましたが、平成18年に廃車され、系列消滅しています。
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| クヤE993-1(1位側) | クヤE992-1(2位側) |
クヤE993-1
5号車に位置する制御車で、近郊形電車を想定した車輛です。踏切事故対策として、衝撃吸収構造が採用されており、クハE992形式よりも乗務員室の奥行きが広い。車体はステンレス製のダブルスキン構造で、スポット溶接となっています。乗降扉は客室面積拡大を図る為、外吊り式としています。車内内装材は廃車後のリサイクルを考え、FRP等合成樹脂材料の使用を控え、アルミニウム材料をメインとしています。床敷物はゴム系材料を用いています。座席はロングシートとなっています。床下にはSIV装置を搭載しています。
クヤE992-1
1号車に位置する制御車で、通勤形電車を想定した車輛です。踏切事故対策として、前面強化構造が採用されており、排障器が乗務員室出入口ステップと一体化した大型のものとなっています。乗務員室はアナログ計器類ではなく、液晶ディスプレイに表示するグラスコックピット方式が採用されています。車体はアルミニウム合金製のダブルスキン構造で、無塗装ブラッシング仕上げとしています。車内はクヤE993形式とほぼ同じとなっています。床下には電動空気圧縮機、蓄電池を搭載しています。
この車輛では車輛とホームとの段差解消を目的に、駅停車中に空気ばねの空気圧を抜き、車体を下げる「二ーリング機構」の試験が実施されました。
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| モヤE993-1(1位側) | モヤE992-1(1位側) |
モヤE993-1
3号車に位置する中間電動車で、車体はステンレス製のダブルスキン構造となっています。構体の溶接には世界初となる、レーザー溶接を採用しています。床下にはVVVFインバータ装置を搭載しています。車内はロングシートを配しています。
モヤE992-1
2号車に位置するパンタグラフ付き中間電動車で、車体はアルミニウム合金製のダブルスキン構造で、塗装仕上げとしています。空調装置を搭載しておらず、前後の車輛からダクトを介して冷気を供給する仕組みとなっています。車内はロングシート。乗降扉には開閉表示灯の設置、ユニバーサルデザインとして、一部のつり革を黒色にした他、ドア付近に黄色いペイントを施し、目立つような工夫が施されています。
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| サヤE993-1(1位側) |
サヤE993-1
4号車に位置するパンタグラフ付き中間附随車です。唯一の片側2扉構造で、従来の戸袋がある方式となっています。車体構造はステンレス製のシングルスキン構造となっています。車内は特急形車輛のグリーン車を想定したものとなっており、回転式リクライニングシートが配され、座席にはコンセント、モニタ画面が設置されています。この他、バリアフリー試験として、乗降扉床面に車いすスロープ、可動式ステップが設置されています。
●JR東日本E995形式試験電車「NE Train スマート電池くん」
この電車は「蓄電池駆動電車システム」試験車輛として平成21年にキヤE991形式試験気動車を改造した車輛です。
キヤE991形式は平成15年に登場した試験気動車で、「NEトレイン」と命名。E127系100番代を基本としたステンレス製のハイブリット気動車で、側面扉は片側2ヶ所(中央部は省略)、前面は非貫通構造の両運転台車輛です。
仕組みとしては電気式気動車に大容量蓄電池を設け、起動時や登坂時等の高負荷時には発電機と蓄電池の電力で動き、制動時(減速時)には電動機から回生する電力を蓄電池に充電するもので、燃費低減、排出ガス削減を図ったもので、従来の気動車では不可能であった「走行エネルギーの回収及び再利用」を実現した画期的な車輛です。
この実験は平成17年で終了し、試験の結果は世界初となる営業車輛としてキハE200形式が登場させる事になりました。
試験後、次の未来の車輛への開発が行われる事になりました。燃料電池を用いたハイブリット車輛の導入を目指すべく、キヤE991形式は平成18年に燃料電池式ハイブリット車輛に改造されます。必要のないディーゼルエンジンや発電機、燃料タンクが撤去され、燃料電池や水素供給タンクが搭載されました。形式はクモヤE995形式に変更されましたが、車籍は未登録であり、水素燃料を搭載した鉄道車輛のルールが無い為、機械扱いでの試験となりました。平成20年に開発は中止となり、令和4年に改良を加えた試験車輛FV-E991系が製作され、営業車輛実現の為、試験が行われています。
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| クモヤE995-1(1位側) |
燃料蓄電池式ハイブリット車輛開発試験後に行われたのが、「蓄電池駆動電車システム」というもので、形式はクモヤE995形式のままとなり、愛称は「NE
Train スマート電池くん」に変更されました。
このシステムは電化区間では通常の電車として走行し、その間に充電を行う。非電化区間では充電した電力で蓄電池駆動を行うものです。投入にあたり、必要のない電池やタンク等を撤去しました。台車、SIV装置、ブレーキ装置はそのまま流用しています。屋根上には充電用のパンタグラフが搭載され、DC-DCコンバータとVVVFインバータから構成される主変換装置を搭載しています。
平成24年まで試験が行われ、こちらは結果は良好で、量産車に相当するEV-E301系が登場する事になりました。E995形式は令和元年に廃車となり、形式消滅しています。
●JR東日本FV-991系試験電車「HYBARI(ひばり)」
JR東日本では2050年度までに二酸化炭素排出ゼロを目標として掲げており、その車輛の開発が行われています。開発にあたってはトヨタ自動車、日立製作所と連携して行われています。2030年度の導入を目標に令和4年に本系列が登場し、実証実験が行われています。燃料電池式電車としては平成18年に改造したクモヤE995形式「NEトレイン」に次ぐものです。
愛称の「HYBARI」は「HYdrogen-HYBrid Advanced Rail vehicle for Innovation」(変革を起こす水素燃料電池と主回路用蓄電池ハイブリッドの先進鉄道車輛)を略したものです。
車体はEV-E301系と似ており、「sustina」シリーズのストレート車体を採用。非貫通構造、片側3扉の20m級車体となっています。パンタグラフはありませんが、準備工事は行われています。デザインは燃料電池の化学反応から生まれる水が、青いしぶきと大地を潤すイメージとし、スピード感と未来感を持たせたものとしています。車内はオールロングシートで、モケットは自然のエネルギーが感じられる青系と緑系で、大自然の山並みと「HYBARI」の文字が並べられています。後位側には車椅子スペース、機器室が配されています。
走行機器はトヨタの「MIRAI」のノウハウを応用した水素貯蔵ユニットを配し、燃料蓄電池装置へ水素を供給し、空気中の酸素との化学反応で発電を行います。電力は回生ブレーキからも得られ、主回路用蓄電池に蓄えられます。ここからVVVFインバータ装置を通して、主電動機等に供給されます。
編成は1M1Тの2両編成で、一回の充填で140km程を走行する事が可能です。水素を貯蔵するタンクは高圧ガス保安法に基づくもので、特認を受けている為、鶴見線全線、南武線浜川崎~尻手~登戸駅間と限定されており、実証実験が行われています。
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| FV-E991-1(1位側) | FV-E990-1(1位側) |
FV-E991-1
扇町方に位置する制御電動車です。VVVFインバータ装置、SIV装置、主回路用蓄電池を搭載しています。
FV-E990-1
鶴見方に位置する制御車です。電動空気圧縮機、蓄電池、燃料電池システム、水素燃料システムを搭載しています。