タンク車(たんくしゃ)とは?
 台枠上に円筒形などの容器(荷台)を設置し、ガソリンを代表とする石油製品や化成品(化学物質)などの液体や気体、セメントなどの粉粒体を輸送する貨車です。輸送する貨物は包装や梱包はせず、直接タンク内に積み込んで運ばれます。(難しい言葉でバルキー輸送と言います。)
 積荷は積載装置に直接触れるため、積荷の物理的性質や化学的性質に応じた設計が行われるため、構造も様々あります。誤って異なる貨物を積んでしまうと、時には大事故につながる事もあるので「専用種別(商品名)」が必ず表記されます。
専用種別(積荷)は可燃性、腐食性などを様々あり、化学工業の発展で種類がどんどん増えていきました。積荷の中には一般的ではない化成品なども増えてきます。また、商品名も多く含まれており、事故が発生した際に専門的知識が必要となってきました。このため、漏れ出した場合などに適切な処置が行えるように「化成品分類番号」というものが昭和54年に制定され、併記されるようになっています。
 我が国のタンク車の誕生は明治26年。サミュエル・サミュエル商会(現:昭和シェル石油)が自社の石油製品を輸送するために製作された貨車が始まりとされています。現在の標準的スタイルである円筒形のタンク体を持つ車輛は明治33年に登場しました。当時は「油槽車(ゆそうしゃ)」と呼ばれ、記号は油(あぶら)の「」でした。昭和3年に現在のタンクを由来とする記号「」になっています。
 タンク車はその登場の経緯から、荷主が車輛を製作し、国鉄をはじめとする鉄道会社に籍を置く「私有貨車」として発展していきます。戦後、経済成長と共に私有貨車は増え続け、現在までに600形式以上製作されました。昭和50年頃にピークを迎えますが、その後は減少傾向に転じます。そして、国鉄からJR貨物へ移行。その後も輸送拠点の集約やトラック輸送や海運輸送への転換による減少は続き、平成8年頃よりJR貨物では車扱い貨物からコンテナ輸送への転換を荷主に促し、ISOコンテナ輸送が本格化。速達化が図られると共に小口輸送が多い化成品輸送を中心にタンク車からコンテナへの転換が図られ、多くの私有貨車が一気に減少する事になりました。現在は石油製品輸送が主であり、私有タンク車もその製品を輸送する形式が残るのみとなっています。

タンク車の紹介の前に。
たくさん紹介するので、下記のように少し省略して説明をしますので、予めご了承下さい。
①全長 ②全幅 ③全高 ④走り装置又は台車形式 ⑤特殊標記符号 ⑥化成品分類番号
※同一形式で2つ以上ある場合は、2つ目以降は省略しています。

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タ2000形式10t積みアルコール専用タンク車(タ2002)

①7350mm、7800mm ②2300mm、2432mm ③3490mm、3450mm ④二段リンク式
⑤なし ⑥燃31
昭和16年に登場したアルコール専用車としては初の10t積み車になります。3両ありますが、いずれも改造車で昭和16年にタム200形式二硫化炭素専用車から種別変更で2両(タ2000、2001)、昭和26年にタム900形式苛性ソーダ液専用車から種別変更で1両(タ2002)登場しました。後者のタム900形式は戦災復旧車です。
国鉄分割民営化の際はタ2001と2002が継承され、2両とも平成8年に廃車(57年間運用)されました。荷重13t以下のタンク車である「タ」がここに歴史の幕を閉じています。
積荷の説明
タンク車のお部屋その4 タキ13700形式をご覧下さい。

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タ3050形式10t積みホルマリン専用タンク車(タ3077)

①     mm ②     mm ③     mm ④二段リンク式 ⑤なし ⑥なし(標記制定前に形式消滅)
昭和27年に登場した初めてのホルマリン専用車で、42両がつくられました。タム100形式(濃硝酸専用)からの改造車もあります。後継形式は本形式を拡大したタム3050形式15t積み車になります。昭和53年に形式消滅しています。
積荷の説明
ホルマリン(formalin)・・・ホルムアルデヒドを37%以上含む水溶液で、刺激臭を持つ無色透明の液体。重合や沈殿を防ぐ目的で安定化剤のメタノールが6~15%含まれています。原液や濃度の高い水溶液では、ホルムアルデヒドを含んだ蒸気が発生し、人体に有毒であるため、毒物及び劇物取締法(毒劇法)で医薬用外劇物に指定されています。メタノールから製造され、生物の組織標本作成のための防腐処理をはじめ、フェノールや尿素樹脂の原料、有機合成の原料などに用いられています。

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タム200形式15t積み二硫化炭素専用タンク車(タム229)

①7350mm、8200mm ②     mm ③3504mm ④二段リンク式 ⑤なし ⑥燃毒36
昭和7年に登場した初めての二硫化炭素専用車で、昭和37年までに109両が新製又は改造車によって登場しました。また、戦中の軍需産業転換により他形式への改造車も多くあります。(タ2000形式など)写真のタム229(昭和30年製)が最後の車輛で、平成7年まで活躍。廃車となり形式消滅しています。
積荷の説明
二硫化炭素(にりゅうかたんそ:carbon disulfide)・・・融点-112℃、沸点87℃、化学式CS2、代表的な炭素の硫化物で、無色又は淡黄色の不快臭のある揮発性の高い可燃性液体。有毒で神経系に影響を及ぼす。合成繊維(レーヨン)やセロファン、四塩化炭素の製造、樹脂やゴムなどの溶剤に用いられています。輸送時は揮発防止のため、積空問わず1tの水が積載されます。

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タム500形式15t積みガソリン専用タンク車(タム2920)

①7700~9300mm ②2006mm、2408mm ③3758mm、3860mm、3870mm ④二段リンク式 ⑤なし ⑥燃32
昭和6年に登場したガソリン専用タンク車で、タ900形式10t積みの拡大形式。小口輸送に最適であったため、2軸タンク車では最も多い621両が製作されました。昭和30年以降に登場した車輛は、当初より二段リンク式となっています。本形式をボギー台車としたタム3000形式、石油類専用車ではタム700形式、タム800形式、タム4000形式、タム9200形式が対応する形式として登場しています。多数のロットがありましたが、小口輸送の減少などにより、平成12年に形式消滅しています。写真は三重県いなべ市にある貨車鉄道博物館に保存されている貴重な1両です。
積荷の説明
貨車のお部屋その6 タキ43000形式をご覧下さい。

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タム3700形式15t積みメタノール専用タンク車(タム3742)

① 8230mm ② 2432mm ③ 3703mm ④二段リンク式 ⑤なし ⑥燃31(現在は燃毒36)
昭和26年にメタノール専用タンク車として初めて新製された形式で、74両が新製されました。昭和43年10月のダイヤ改正で2段リンク式に改造しましたが、1両(タム3719)のみ未改造として残ったためタム23700形式になりました。また、タンク体をアルミニウム製にしたタム3400形式(1両)、ステンレス製にしたタム3450形式(1両)が類似形式として存在していました。この他、当形式より10両がアルコール専用車に種別変更し、タム8100形式に変更しています。(臨時専用種別変更は法令により、有毒物質のメタノールと共用が出来ないため。)
平成12年に最後の5両が廃車となり、同時に形式消滅しています。
積荷の説明
メタノール(methanol)・・・融点-95℃、沸点65℃、化学式CH4O、有機溶媒で有名なアルコールの一種。メチルアルコール、木精、カルビノールなどとも言い、香気ある無色引火性液体。揮発性が高く、有毒。飲酒や誤飲をするとメタノール中毒を引き起こし、失明の恐れもある。(目散るアルコールと言って誤飲を防いでいた。)木材からつくる木酢液の蒸留(木精の由来)から得る製法と石炭又は天然ガスを使用した製造法があり、後者が工業用として主流となっています。フェノール樹脂、接着剤、酢酸及びホルマリンの合成原料、燃料に用いられています。

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タム5000形式15t積み塩酸及びアミノ酸専用タンク車(タム6089)

① 7800mm、8100mm ② 2530mm ③ 3497mm ④二段リンク式 ⑤なし ⑥侵82(塩酸専用のみ)
初めての塩酸専用車として昭和13年に登場した形式。国内の鉄道タンク車の歴史において、タンク内面に有機物であるゴムライニング処理(塩酸は金属を腐食させるため)を施した初めての形式としても有名です。塩酸の小口輸送は需要が多く、368両が新製又は他形式からの改造で登場しました。塩酸専用車でしたが、アミノ酸が追加され、最後の「タム」形式として平成17年まで活躍しました。
写真はアミノ酸専用とした車輛で、「味の素株式会社」が所有する本形式は「味タム」と呼ばれていました。小型の小さな受台が8つ、マンホールを囲むしっかりとした手摺が特徴の車輛です。
積荷の説明
アミノ酸(あみのさん:amino acid)・・・グルタミン酸ナトリウム(グルタミン酸ソーダ)製造時の副産物で茶褐色の不燃性液体。醤油の原料として使われています。

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タム5000形式15t積み塩酸及びアミノ酸専用タンク車(タム6265)

こちらは「塩酸専用」の車輛。受台が4つとなっています。タンク内はゴムライニングが施されています。タム6265以降は2軸車貨車では珍しい、両側ブレーキとなっています。
積荷の説明
塩酸(えんさん:hydrochloric acid)・・・化学式 HClで表す塩化水素の水溶液で、刺激臭をもつ強酸性及び腐食性のある無色の液体。代表的な酸の一つ。基本的な無機薬品として化学工業全般に使用され、医薬、農業、食品など用途は様々。日用品でもトイレ用の洗剤、理科や化学の実験など身近な存在となっています。

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タム8000形式15t積み過酸化水素専用タンク車(タム8001)

① 7800mm、8200mm ② 2530mm ③ 3615mm ④二段リンク式 ⑤ア(純アルミタンク体を使用) ⑥化侵58
昭和37年より15両が製作された、過酸化水素専用車として初めての形式です。タンク体は積荷が分解するのを防ぐため純アルミニウム製としています。強度が弱いため、受台は大型のものとしているのが特徴です。化成品分類番号は「化侵58」で、酸化性及び侵食性のある物質である事を示しています。平成15年に形式消滅しています。
積荷の説明
過酸化水素(かさんかすいそ:hydrogen peroxide)・・・化学式H2O2の化合物で、無色で水より僅かに粘度のある弱酸性の液体。鉄道輸送では35%又は65%の水溶液を輸送しています。不安定な性格であり、重金属や異物の混入、加熱により分解し、酸素を発生させます。パルプや繊維の漂白、過酸化物の製造、医薬品の原料に利用されています。

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タム9400形式15t積み塩酸専用タンク車(タム9400)

① 9760mm ② 2428mm ③ 3282mm ④TR41D-8形式 ⑤なし ⑥侵82
昭和43年10月のダイヤ改正。「ヨンサントウ」と呼ばれるこのダイヤ改正において、貨物列車では運転最高速度の引き上げが実施された他、2軸貨車の製造禁止が実施されています。小口輸送に人気のあるタム5000形式も対象であったため、昭和45年に本形式が5両製作されました。タム5000形式をボギー車とした形式です。その後、昭和61年にタム9800形式アミノ酸専用タンク車から編入された5両が加わり、10両となりました。平成17年に形式消滅しています。
積荷の説明
タム5000形式をご覧下さい。

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タキ200形式(二代目)30t積みトリクロールエチレン専用タンク車(タキ200)

① 9500mm ②2350mm ③ 3700mm ④TR41D-4形式 ⑤コ ⑥96
トリクロールエチレン専用タンク車として初めての形式で、昭和38年に登場。10両登場し、200、210、211番は新製車で、201番、204~209番は欠番です。この新製車の3両とタキ2800形式から改造された202番はドーム付きタンク体を持つ車輛です。平成5年に210、211番は苛性カリに専用種別が変更されていますが、形式は変わっていません。平成19年に形式消滅しています。
積荷の説明
タンク車のお部屋 その5 タキ20700形式をご覧下さい。

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タキ200形式(二代目)30t積みトリクロールエチレン専用タンク車(タキ216)

タキ212~216の5両はタキ2600形式からの改造車で、台枠から下を種車のものを使用し、タンク体は新製しています。大きな特徴はドームレスタンク体とタンクの受台が押え金方式になっている点です。

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タキ300形式30t積み濃硫酸及び発煙硫酸専用タンク車(タキ4561)

① 9000mm ② 2720mm ③ 3471mm ④TR41D-4形式 ⑤コ ⑥侵(禁水)84
濃硫酸及び発煙硫酸専用タンク車では初めての初めてのボギー車形式で、タム400形式15t積みを大きくしたものです。昭和7年に誕生し、昭和51年まで45年間に亘って製作されており、同一形式の製造期間としては最長記録となっています。因みにタム400形式も大正15年から昭和43年まで40年間製造されています。(登場時はリ2510形式、ア2560形式で、昭和3年よりタム400形式となっています。)総計483両(14両は他形式からの改造編入車です。)長期間に亘るため、多数のロットが存在していました。平成19年に形式消滅しています。
積荷の説明
タンク車のお部屋 その2 タキ5750形式をご覧下さい。

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タキ300形式30t積み濃硫酸及び発煙硫酸専用タンク車(タキ4581)

14両が他形式からの改造編入車ですが、写真はそのうちの1両。タキ1700形式希硫酸専用タンク車からの改造車で、8両が改造されました。この他シキ150形式、タキ6000形式(初代)四塩化チタン専用タンク車、タ580形式液化アンモニア専用タンク車からの改造車がありました。

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タキ750形式30t積みプロピオン酸専用タンク車(タキ750)

① 12600mm ② 2547mm ③ 3857mm ④TR41C形式 ⑤コ ⑥侵燃83
昭和39年に1両のみ製作されたプロピオン酸専用タンク車です。車体長が12mを超えているのにもかかわらず、車体長12m以下を意味する「コ」の特殊標記符号が付けられています。タンク体は腐食性のある積荷のため、ステンレス製です。荷役方式は上入れ上出し方式となっています。写真は晩年の姿で車体に沿って設置されていた液出管と空気管が撤去されています。平成19年に形式消滅しています。
積荷の説明
プロピオン酸(ぷろぴおんさん:propionic acid)…化学式C、融点-21℃、沸点141℃の無色の油状可燃性液体で特有の不快な臭気があり、刺激性、腐食性が強い特徴があります。油脂の加水分解によって得られる脂肪酸のうち、最も炭素数が少ないことから、「最初の脂肪酸」という言葉が生まれ、語源となっています。印刷用インクの原材料を合成するための中間体、香料、医薬品の原料などに利用されています。

JRタキ1000形式45t積みガソリン専用タンク車
① 13570mm ② 2960mm ③ 3918mm ④FT21形式、FT21A形式 ⑤なし ⑥燃32
 昭和59年ダイヤ改正で貨物列車の輸送体系はヤードを必要としない拠点間直行方式へと大きく転換し、到着時間の速達化が図られるなど様変わりしました。しかし、使用されるタンク車などは運転最高速度75km/hのまま。コンテナ列車のように速達化が図られる貨車の開発は行われていませんでした。運転最高速度が低いままのため、到着時分の短縮化やダイヤ面でも問題となっていました。車扱い貨物のうち、石油類輸送の専用貨物列車の速達化を図る目的で平成5年に登場したのが本形式で、タンク車では初めて運転最高速度95km/hとした高速貨車の嚆矢となる形式になります。
 タキ43000形式243000番代をベースに設計されており、タキ43000形式を嚆矢とするフレームレス構造が採用され、タンク体と受台、台枠は一体化した構造となっています。荷重増加が行われており、タンク体は僅かに大きくなっています。タンク体上部にある踏板やはしごなどをアルミ合金を用いて軽量化が図られており、自重増を抑えています。台車は高速運転を可能としたFT21形式が使用され、タンク体と車輪の干渉を防ぐため、車輪径は810mmとしています。また、軸重は14tと大きいため、運転区間制限貨車に指定されています。外見はタキ43000形式243000番代とそっくりですが、台車は全く異なっているので見分けは容易です。
 所有する会社は日本石油輸送(株)(緑と灰色の2色塗り)と日本オイルターミナル(株)(青15号(インクブルー))の2社のみで、国鉄時代に製作されたタキ35000形式などのガソリン専用タンク車、タキ43000形式の老朽車の置換えを行い、現在約980両が製作されており、ガソリン専用タンク車の代表的な存在となっています。
積荷の説明
貨車のお部屋 その6 タキ43000形式をご覧下さい。

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タキ1000-1(タキ1000-1)

先行試作車の1両。台車はFT21X形式を履いています。タンク受台に標差しがあるなど量産車に近いスタイルです。

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タキ1000-2(タキ1000-2)

先行試作車のもう1両で、台車はFT22X形式を履いています。1番と比べると台車が異なっている事がわかります。また、標差しが独立しているのも特徴で、本形式では唯一この車輛だけのようです。

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初期量産車その1(タキ1000-47)

タキ1000-3から量産車となります。写真は手ブレーキのある側からの様子で、幾つかの違いがあります。見る場所は台車、手ブレーキとその周りの部品、車体のジャッキアップに使う受台です。初期量産車はFT21形式台車に補強板が付いています。手ブレーキはタキ43000形式に似た感じで、手ブレーキに関連する部品ではないかもしれませんが、羽のような部品が付いています。ジャッキアップ用受台は縦の筋が入っています。細かい所では、先行試作車では車輪のコロ軸受けの蓋が三角ですが、量産車は丸形となっています。

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初期量産車その1(タキ1000-67)

手ブレーキと反対側の様子。ブレーキ関係の機器類の配置もタキ43000形式によく似ています。模型で再現するなら、タキ43000形式の台車を履き替えさせるとお手軽に初期量産車が再現できそうですね。

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初期量産車その2(タキ1000-107)

手ブレーキのある側の様子ですが、100番前後から早々に変化が見られ、羽根状の部品が無くなっています。以降は、ほぼ同じスタイルになっています。また、タンク体上部の小さな2つの弁装置を見ると1つは背丈が小さくなっているのがわかります。

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初期量産車その2(タキ1000-353)

手ブレーキと反対側の様子。こちらもブレーキ関係機器廻りの部品に変化が見られますが、配置は同じです。この他、受台などには変化はありません。

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中期量産車(タキ1000-426)

393番以降は、外見に変化が起きています。ジャッキアップ用受台は平滑なものとなっているほか、台車も改良が行われ、補強板が無くなっています。(403番までは補強板があります。)

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中期量産車(タキ1000-400)

393番以降はブレーキ装置のユニット化が実施され、吐出管の傍にあった付加空気ダメなどが集約されて、変化が見られます。393~402番まではジャッキアップ用受台は平滑、台車は補強板ありの少数グループです。

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後期量産車(タキ1000-700)

中期量産車とほぼ同じですが、製作メーカーにより細部が異なる(穴がない)車輛も見られます。

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後期量産車(タキ1000-621)

ブレーキ装置がある側も見た目は同じですが、台車は改良が行われたFT21A形式を履いています。

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日本オイルターミナル(株)初期塗装(タキ1000-303)

日本オイルターミナル(株)所有タキ1000形式の登場時の塗装色です。青15号に水色と銀色の帯が巻かれていました。検査入場後、塗装が青15号一色となり、現在は見る事の出来ない塗装色となっています。

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日本オイルターミナル(株)特別塗装色(タキ1000-714)

同社の創設40周年記念及びタキ1000形式のみで組成された貨物特急「スーパーオイルエクスプレス」号のPRを兼ねて施された記念塗装色で、矢羽根と呼ばれた8つの楕円は同社の所有する製油所を表現しています。こちらも後に青15号のみに戻っており、見る事の出来ない塗装色となっています。

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日本オイルターミナル(株)移籍車(タキ1000-345)

日本オイルターミナル(株)から日本石油輸送(株)へ移籍した車輛の例。塗装はオイルターミナルカラー(旧塗装)のまま。今では見る事の出来ない塗装色になっています。

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米国陸軍輸送部隊貸出車(タキ1000-901)

国内では唯一の米軍物資を輸送する事例で、米国陸軍輸送部隊が管理をしています。タンク体には「JP-8」という文字が書かれています。このJP-8とは、米国で制定されたジェット燃料の一つ。JP-4ジェット燃料よりも安全性が高く、ベンゼン、n-ヘキサンを減らしている特徴があります。航空機の他に戦車のガスタービン又はディーゼルエンジンの燃料として使用されているそうです。

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JR貨物タキ1100形式37t積みフライアッシュ及び炭酸カルシウム専用タンク車(タキ1100-18)

① 14500mm ② 2930mm ③ 3930mm ④FT23形式 ⑤なし ⑥なし
平成9年に登場したタンク車で、異種積荷兼用車の実用化は2例目となり、タンク車では初めてです。15m級の大型タンク車で、薄青色に塗装されています。荷役方式はエアスライド併用圧送方式となっています。台車はFT21形式のばね特性を変更したFT23形式です。美祢線美祢駅にあるセメント工場と山陰本線岡見駅にある火力発電所で活躍をしていましたが、平成15年の豪雨災害でトラック輸送に代替され、さらに発電所のトラブルで長期運休を余儀なくされ、再開することなく貨物輸送が廃止され、転用される事無く廃車となり、形式消滅しています。
積荷の説明
ホッパ車のお部屋 ホキ1000形式をご覧下さい。

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タキ1150形式30t積み過酸化水素専用タンク車(アコタキ1150)

① 10800mm ② 2448mm ③ 3839mm ④TR41C形式、TR41E-12形式 ⑤ア、コ ⑥化侵58
昭和40年に登場した形式で、タキ7650形式の拡大形式になります。タンク体は積荷の分解を防ぐため、純アルミニウム製となっており、支える受台は大きいものが8つ又は4つあります。初期の1150~55は手ブレーキ付きとなっています。
積荷の説明
本ページ、タム8000形式をご覧下さい。

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タキ1150形式30t積み過酸化水素専用タンク車(アコタキ1165)

1156番以降は留置用のブレーキが手ブレーキから、側ブレーキ(56、57は片側、58以降は両側)となっています。

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JR貨物タキ1200形式40.3t積み亜鉛焼鉱専用タンク車(タキ1200-6)

① 11300mm ②     mm ③       mm ④FT21A形式 ⑤コ ⑥なし
本形式を所有する東邦亜鉛(株)で長らく使用してきたタキ15600形式亜鉛焼鉱専用タンク車の老朽化に伴い、後継形式として平成22年に登場しました。1番は先行試作車で、2番以降が量産車で総数20両となります。基本的な仕様はタキ15600形式に近いものとなっていますが、高速化を図るため、台車はFT21A形式(運転最高速度95km/h)を履いています。車体色は同社所有のトキ25000形式で使用される赤3号に近い色となっています。荷役方式は上入れ下出し方式で、上部3つのマンホールのうち、両端より積込み、下部中央にある取出し口よりエアスライド方式で卸します。その際、粉じんを上部中央のマンホールを開放し、逃がす仕組みとなっています。
積荷の説明
亜鉛焼鉱(あえんしょうこう)…低品位の亜鉛鉱石を焙焼し、硫黄分を亜硫酸ガスとして除去して亜鉛分を濃縮します。これを「亜鉛精鉱(あえんせいこう)」といいます。この亜鉛精鉱を細かく砕いたものが「亜鉛焼鉱」です、金属亜鉛の一つ前の姿になります。

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タキ1250形式30t積みリン酸専用タンク車(タキ1250)

① 9200mm ② 2250mm ③ 3514mm ④TR41D-4形式 ⑤コ ⑥侵80
昭和35年に登場し、8両(1両はタキ6100形式からの改造車)が製造されました。因みに初めてのリン酸専用車は、戦時中の昭和20年に登場したタキ1200形式(初代)で、1両のみ製作されています。タンク体は腐食を防ぐためステンレス製で、自肌色(銀色)のままと黒色に塗装された2種類があります。平成9年に形式消滅しています。
積荷の説明
リン酸(燐酸)(りんさん:phosphoric acid)…化学式HPO、融点42℃、沸点407℃、オルトリン酸(orthophosphoric acid)とも呼ばれるもので、鉄道輸送では75%の水溶液です。無色透明、無臭で揮発性のない粘性の液体で、腐食性が強い特徴があります。肥料や洗剤の製造、食品(コーラの酸味料など)、エチレン製造の触媒、医薬品などの幅広い分野で使用されています。

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タキ1500形式35t積み石油類専用タンク車(タキ15088)

① 13700mm ② 2400mm ③ 3883mm ④TR41C形式 ⑤なし ⑥燃31
昭和22年に登場し、昭和48年までに897両が製作されました。タキ3000形式ガソリン専用タンク車に対応する形式で、C重油などの高比重、高粘度の石油類を主に輸送します。粘度が高いため、荷卸しをし易くするために蒸気加熱管、タンク端の鏡板部に点検蓋を備えています。タキ1500~1509は台枠側梁がなく、台車はTR20形式です。タキ1510以降は側梁付き、TR41C形式となっています。車輛番号はタキ1500~1598、15000~15599、21500~21599、31500~31597です。ポピュラーな石油類輸送用タンク車でしたが、重油需要の減少で余剰車が発生し、他形式の改造が盛んに行われました。JR貨物に移行後、しばらくは見る事が出来ましたが、後継の新型車輛に置き換えられ、徐々に廃車が進み、平成14年に形式消滅しています。
積荷の説明
貨車のお部屋 その6 タキ43000形式をご覧下さい。

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タキ1500形式35t積み石油類専用タンク車(タキ15119)

タキ1500形式の中には他形式からの改造車もあり、昭和46年にホキ6500形式から3両(タキ31598、31599、41500)(台枠を流用し、タンク体を新製したもの。)、昭和48年にタキ3500形式から2両(41501、41502)がありました。この他、変形車とも言われる車輛もあります。写真のタキ15119は、他と比べるとタンク体直径が太い特徴があります。これは、外国向けに製作したタンク車のタンク体を転用したものです。

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タキ1800形式30t積みベンゾール専用タンク車(タキ1864)

① 12800mm ② 2506mm ③ 3850mm ④TR41C形式 ⑤なし ⑥燃31
タサ1000形式20t積み車を拡大した形式で、昭和27年に登場し、65両が製作されました。35t積みの後継車種(タキ950形式、タキ6450形式、タキ14400形式)がありましたが、全て廃形式となっており、最後まで残ったのが本形式です。専用種別のベンゾールは大正3年に初めて登場し、化成品タンク車では歴史のある種別でした。本形式は平成14年に廃形式となり、その長い歴史に幕を閉じています。
積荷の説明
ベンゼン(benzene)…化学式C、融点5.5℃、沸点80℃、無色で甘い芳香のある引火性液体で有毒。ドイツ語ではbenzol:ベンツォールと読み、ベンゾールという別名もあります。原油に含まれており、石油化学においては基礎的化合物の1つです。かつては製鉄産業においてコークスの副産物として生産されていましたが、現在は石油精製によって生産されています。スチレンやフェノール樹脂などの原料や他の化学物質を製造するための原料など広く利用されています。

タキ1900形式40t積みセメント専用タンク車
① 10800mm ② 2618mm、2638mm ③ 3536mm、3726mm ④TR41C形式など ⑤コ ⑥なし

タキ7300形式35t積み車を拡大し、セメント専用タンク車では初めての40t積みとした形式で昭和39年に登場しました。台枠とタンク体を一体化し軽量化を図るとともに、特殊な材料を使うことなく40t積みを実現しており、コンパクトな車体でありながら、高い輸送効率はセメント専用車の標準形式となりました。セメント系企業からは高い人気となり、昭和56年までに1729両が製作されました。この記録は私有貨車の歴史において最大両数を誇り、現在もその記録は破られていません。
普通鋼を用いたドームレス異径胴タンク体で、積込み口はタンク体上部にあり、車体下部の中央両側に取卸し口があり、エアスライド方式で荷卸しが行われます。積込み口の数は荷主の仕様により種類があります。この他、デッキ部のはしご、反対側の手すり形状など、製造メーカーや年代によって違いを見る事が出来ます。
タンク車では珍しく、装着する台車により番代区分がなされているのも特徴の一つですが、番号があまりに複雑で番号から何番目に製作された車輛なのか。を特定するのが難しい。という特徴も併せ持っています。製造された番号は下記の通りです。
タキ1900~99、11900~99、21900~99、31900~99、41900~99、51900~99、61900~99、71900~99、81900~99、91900~99、101900~51、111900~86、112000~79(68、69は初代が事故廃車で代替として同一番号を製作。)、112100~112208、112300~112698
※101952~99、111987~99、112080~99、112209~99は欠番となっています。
多くのセメントを扱う会社が所有していましたが、セメント需要の減少、輸送方法の転換などにより数を減らしていますが、現在も僅かながら活躍している稀有な形式の一つとなっています。
積荷の説明
セメント(cement)…一般的には水や液剤を加えると硬化する粉体をいい、広義には樹脂や石膏、膠(にかわ)などの接着剤全般を指す言葉です。狭義ではモルタルやコンクリートに使用されるものをいい、成分などで様々な種類がありますが、一般的に多く使用されているセメントは「ポルトランドセメント」というものです。イギリスにあるポートランド島で採れるポルトランド石に似ている(硬化した様子)事が由来で、ケイ酸カルシウムを主成分とする粉末です。日本では明治8年に初めて製造に成功しています。水を加えると硬化する性質があり、土木、建築において、構造物、塗装、接合用の材料として用いられています。

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昭和39年~47年川崎製(タキ21925)

タキ1900~71924、71963~82、71986~91932、91939~53、111910~35が川崎製で、台車はTR41C形式を履いています。一部、TR209系やTR225形式などに変更した車輛もあります。

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昭和48年川崎製(タキ112188)

タキ112100~34、112176~205のグループ。タンク受台に変化が見られます。台車はTR41G形式(TR41C形式の制輪子を合成制輪子としたもの)を履いています。

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昭和50年川崎製(タキ112481)

標準車が登場した中で例外的に製作されたグループで、タキ112481~112503の23両が該当します。台車はTR41E-13形式を履いています。

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昭和45年~47年日立製(タキ71947)

日立独自設計のタキ19000形式を統合したもので、外観はタキ19000形式とそっくりです。日立製の特徴はタンク体に4本の補強環が設置されています。タキ71925~61、83~85、91933~38、94~99が該当します。

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昭和47年日立製(タキ111974)

タンク受台の数、大きさが変更されており、外観が異なっています。タキ111900~09、111960~81のグループです。台車はTR41C形式です。

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昭和46年~47年日車製(タキ111948)

昭和46年より日車製が登場しました。同社のタキ5300形式35t積み車、ホキ5700形式40t積み車の後継となるグループになります。日立製によく似た車体となっています。タキ91954~67、111936~55のグループとなっています。台車はTR41C形式です。写真の車輛はTR225形式に履き替えています。

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昭和48年日車製(タキ112172)

台車がTR41G形式に変更された点が大きな変化で、車体には大きな変化はありません。タキ112150~75のグループです。

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昭和44年~45年三菱製(タキ101903)

101900番代として本形式では唯一、番代区分が行われています。これは当時、私有貨車では珍しくコロ軸付きの車輛として製作されたいきさつによるものです。タキ101900~34はTR41C形式をコロ軸化したTR209形式台車を履いています。車体は川崎製に似たものとなっています。

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昭和49年三菱製(コタキ101948)

台車が変更され、TR209D形式になりました。この台車はTR41E形式をコロ軸化したもので、タキ101941~51の10両だけが履いている珍しい台車でした。なお、昭和47年製のタキ101935~39はTR209C形式で、TR41G形式のコロ軸化したもので、5両だけが履いていました。

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昭和48年製標準車(タキ112027)

セメントの共同基地を持つセメントターミナル(株)設立に伴い、構造を統一するために「標準車」が設計される事となりました。川崎製、日立製、日車製の3つがありますが、どれも同一設計となっています。セメントターミナル(株)の所有する車輛は淡緑3号の塗装が施されました。タキ112000~67、112070~79のグループで、台車はTR41F形式というもの。TR41G形式形式に押し棒式隙間調整器を装備した珍しい台車で、本グループのみとなっています。(見た目は同じです。)

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昭和49年~51年製標準車(タキ112382)

川崎、日車製で、タキ112068(二代目)、69(二代目)、112306~112480のグループです。台車はTR41E-13形式に変更しています。

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昭和51年~53年製標準車(タキ112606)

川崎、日車製で、タキ112504~112683のグループです。台枠形状が変化を見せているほか、台車は112504~112627までがTR225形式、112628~83まではTR225-1形式となっています。

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昭和56年製標準車(タキ112689)

本形式の最終増備車で、川崎製のみとなっています。タキ112689~98のグループです。台車はTR213C形式となっています。

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タキ2050形式25t積みブチルアルデヒド専用タンク車(タキ2051)

①      ②      ③      ④TR41C形式 ⑤なし ⑥燃31
昭和56年にタキ1500形式を改造した形式で、3両行われました。台枠以下は種車のままで、タンク体はステンレス鋼のものを新製しています。平成5年にアセトアルデヒドシアンヒドリンに種別変更され、化成品分類番号も毒62に変更されています。平成7年に廃車になり、形式消滅しています。
積荷の説明
タンク車のお部屋 その5 タキ20350形式をご覧下さい。

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タキ2100形式30t積み石油類専用タンク車(タキ12164)

① 12400mm ② 2518mm ③ 3826mm ④TR41C形式 ⑤なし ⑥燃31
昭和26年から昭和46年にかけて682両が製作された石油類専用タンク車で、タキ100形式を軽量化した形式です。タキ3000形式の石油類仕様としてタキ1500形式と共に全国で活躍しました。一部の車輛は寒冷地向けとしてキセ付きで製作されています。オイルショック以降は余剰車が多く出て、他形式への転用が盛んに行われました。平成14年に最後の1両が廃車となり、形式消滅しています。
積荷の説明
タンク車のお部屋 その6 タキ43000形式をご覧下さい。

タキ2600形式30t積み苛性ソーダ液専用タンク車
① 9100~9900mm ② 2380mm ③3655mm ④TR41DS-4形式など ⑤コ ⑥侵81

30t積み苛性ソーダ専用車として、タキ400形式、タキ1400形式に続いて昭和28年に3番目の形式として、昭和41年までに358両が製作されました。また、他形式からの改造編入車も多く、タ300形式、タ580形式、タム2300形式、タキ400形式、タキ1400形式、タキ2800形式の総計164両がありました。一方で、当形式より他形式(タキ2800形式、タキ200形式(二代目))への改造種車となった車輛もあります。苛性ソーダ液を専用とする形式は他にも多数ありますが、本形式はその中でも最も多い両数となっています。
ドーム付きタンク体で、タンク内は純度を保持するためにゴムライニング加工(一部はエポキシ樹脂加工)が施され、キセ付きとなっています。荷役方式は上入れ上出し(空気管使用)となっています。
台車は当初はTR41A、TR41C形式でしたが、走行性能を安定化させるためTR41D-2形式又はTR41D-4形式に変更しています。
多数のロットがあり、ポピュラーな存在でしたが、現在は形式消滅しています。
積荷の説明
苛性ソーダ(かせいそーだ:caustic soda)…正しくは水酸化ナトリウム(sodium hydroxide)と言い、化学式NaOH、融点318℃、沸点1388℃の白色の個体で臭いはない。ナトリウム(曹達(ソーダ))の水酸化物で、潮解性(空気中の水分を取り込み、自ら水溶液となる性質)が強く、空気中に放置すると液体になります。このため、水に容易に溶け易い。鉄道輸送では40~50%の水溶液で、これは腐食性の高い無色の液体です。
基礎工業薬品の一つで、上下水道や工業廃水の中和剤、固形石鹼の製造、製紙工業ではパルプ製造、食品ではパンやお菓子の艶出し材として多方面にわたって用いられています。
苛性カリ(かせいかり:caustic potash)…正しくは水酸化カリウム(potassium hydroxide)と言い、化学式KOH、融点360℃、沸点1320℃の硬いが脆い白色の結晶。塩化カリウムの水溶液を電解して得ることが出来ます。潮解性があり、水やエタノールによく溶け、その水溶液は強いアルカリ性があります。タンパク質に対し、強い腐食性があるため、毒劇法で劇物に指定されています。
苛性ソーダは固形石鹼の材料ですが、苛性カリは液体石鹼の材料として用いられています。この他、配管詰まり(油や毛髪などによる)の洗浄剤、炭酸カリウムの原料、医薬品の製造などに用いられています。

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オリジナル車その1(タキ2636)

製造された両数、また製造メーカーが多数あると多数のロットが生まれ、様々な違いなどが出てきます。この車輛は丸ドームのタイプ。キセは鋲止めとなっています。

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オリジナル車その2(タキ12620)

オリジナル車その1と似ていますが、ドームは角形になり、キセの処理方法も異なっています。この他にも違いが見られます。

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オリジナル車その3(タキ12673)

この車輛はキセの上にタンク体を固定する帯金を巻いた車輛。

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オリジナル車その4(コタキ22680)

キセの形が判り易くなった車輛。台枠形状などにも違いが見られます。

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オリジナル車その5(タキ22605)

苛性ソーダ液の他に苛性カリ液も輸送する車輛の例です。荷主(所有会社)によって、配管などの設置位置などが異なっています。

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オリジナル車その6(タキ32680)

新製車としては後期車となる車輛の例です。台枠形状など違いを見ることが出来ます。

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改造車(タキ32619~22・68・69・72)(タキ32622)

このグループの種車はタ300形式液化エチレン専用タンク車です。このタ300形式はタンク車ですが、唯一のマルチボンベ型の高圧ガスタンク車で、有蓋車のような外観となっていました。改造では種車の台枠から下を流用し、タンク体は新製しています。台枠幅が広いのが特徴でした。

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タキ2800形式改造車その1(タキ42615)

タキ32633、36~41、75~78、88~99、42600~99、52600~20の144両はタキ2800形式からの改造車です。タンク体内部にゴムライニングを施した改造を行っており、外観は種車時代のままとなっています。

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タキ2800形式改造車その2(タキ42629)

タキ42615と似た感じですが、ドーム部の高さがある車輛の例です。よく見ると、タンク受台も形状が異なっています。

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タキ2800形式改造車その3(タキ42647)

ドーム部の高さが低く、台枠がスカスカなタイプ。

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タキ2800形式30t積み苛性ソーダ液専用タンク車(タキ12824)

① 9700mm ② 2531mm ③ 3637mm ④TR41DSなど ⑤コ ⑥侵81
タキ2600形式に続いて昭和28年に登場し、昭和41年まで274両が製作されました。また、タキ1400形式から52両、タキ400形式から6両が改造編入車としてありました。タキ2600形式と瓜二つな形式で、タンク内のゴムライニングが施されていないのが違いとなっています。後にゴムライニングを施し、タキ2600形式へ144両が改造され、形式変更を行っています。平成19年に形式消滅しています。

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タキ3000形式30t積みガソリン専用タンク車(タキ3124)

① 14300mm ② 2338mm ③ 3850mm ④TR41A、TR41C形式 ⑤なし ⑥燃32
昭和24年から昭和39年にかけて1594両が製作されたタンク車です。30t積み車としてタキ50形式が製作され、軽量化を施したのが当形式です。軽量化したのみで、外観はほぼ同じです。タキ3000~49は国鉄の貨車として製作されており、このうちの2両が私有貨車として編入されています。
ポピュラーなタンク車として知られており、その中には写真の米軍陸軍輸送隊所有のタンク車がありました。形式番号の他に大きな6桁の数字が書かれていますが、これは米軍の方で使用する番号です。私有貨車、米軍所有車がありましたが、平成14年に形式消滅しています。

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タキ3500形式30t積みアルコール専用タンク車(タキ3578)

① 13600mm ② 2450mm ③ 3877mm ④TR41C形式 ⑤なし ⑥燃31
タサ3200形式を拡大した、初めての30t積みアルコール専用車で、昭和29年から39年にかけて179両が製作されました。タキ3000形式に似た車体で、形態的に見ると変化は少ない。平成11年に形式消滅しています。
積荷の説明
タンク車のお部屋 その4 タキ13700形式をご覧下さい。

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※上の写真をクリックしますと、タンク車のお部屋その2へ進みます。