タキ20350形式35t積みアセトアルデヒドシアンヒドリン専用タンク車(タキ20351)
① 13600mm ② 2718mm ③ 3801mm ④TR225形式 ⑤なし ⑥毒62
昭和55年から57年にかけて5両が製作されました。登場時はブチルアルデヒド専用タンク車で、タキ10300形式30t積み車の拡大形式になります。この時は化成品分類番号は燃31でした。平成5年にタキ20350~52までの3両が種別変更をアセトアルデヒドシアンヒドリンに変更しました。38系タンク車の1つで、キセなしステンレス製タンク体となっています。38系タンク車の化成品輸送タンク車で唯一の形式でもありました。塗装はタキ20350~52は銀色、53、54は黒色となっています。平成19年に形式消滅しています。
積荷の説明
ブチルアルデヒド(butyraldehyde)…化学式C4H8O、融点-99℃、沸点85℃の甘酸っぱい焦げたような刺激臭をもつ、無色の可燃性液体。有機化合物で、アルデヒドの一つ。悪臭防止法では特定悪臭物質に指定されています。石油化学製品の一つでもあり、有機合成の原料、可塑剤製造の原料などに使用されています。
ラクトニトリル(lactonitrile)…化学式C3H5NO、融点-40℃、沸点79℃の麦わら色の液体で有毒。毒劇法の劇物に指定されています。溶剤、乳酸、酢酸エチル合成の中間体として使用されています。
タキ20500形式35t積み石炭酸専用タンク車(タキ20506)
① 12910mm ② 2720mm ③ 3801mm ④TR41C形式など ⑤なし ⑥毒61
タキ3900形式の拡大形式として、昭和45年から平成3年にかけて21両が製作されました。35系タンク車の一つで、荷役方式に違いがあり、タキ20500~12では液入管からの上入れ下出し方式、13以降はマンホールから直接注入し、液出管から空気加圧によって荷卸しをする上入れ上出し方式となっています。この他、平成3年に登場したニヤクコーポレーション所属車であるタキ20518~20は灰色1色塗りとなり、その他の同社所有の同形式も灰色に塗装変更しています。平成15年に形式消滅しています。
積荷の説明
タンク車のお部屋その2 タキ3900形式をご覧下さい。
タキ20700形式35t積みパークロールエチレン及びトリクロールエチレン専用タンク車(コタキ20700)
① 11100mm ② 2420mm ③ 3552mm ④TR41C形式 ⑤コ ⑥96
タキ200形式の拡大形式にあたり、昭和46年から49年にかけて3両が新製、昭和62年にタキ10700形式から2両改造車が誕生しています。台車はタキ20700のみTR41C形式で、01番以降はTR41E-12形式となっています。改造車の2両はともに種車の流用でTR41DS-12形式でした。塗装は新製車は黒色、改造車は種車と同じ銀色(荷役装置関係の改造のみで、種車のタンク体をそのまま流用)です。平成19年に形式消滅しています。
積荷の説明
テトラクロロエチレン(tetrachloroetylene)…化学式C2Cl4、融点-19℃、沸点121℃の鋭く甘い悪臭を放つ、無色透明の不燃性液体。パークロールエチレン、パークロロエチレン、パーク、PCEといった呼び方や略称があります。多くが溶媒として利用されるほか、ドライクリーニング、金属製工業品の油落としに利用されています。
トリクロロエチレン(trichloroetylene)…化学式C2HCl3、融点-73℃、沸点87℃の甘い香りのある無色透明の不燃性液体。脱脂力が大きい事から、半導体の洗浄用、クリーニング剤として1980年代まで広く用いられていましたが、発がん性がある事、土壌汚染や地下水汚染の原因となる事が判明し、代替物質の移行が行われています。
タキ21350形式35t積み塩素酸ソーダ液専用タンク車(コタキ21366)
① 11100mm ② 2588mm ③ 3845mm ④TR225形式、TR213C形式 ⑤コ ⑥95
タキ21300形式に次いで昭和52年に登場し、55年までに20両が製作されました。タキ21300形式の保安対策車になる形式で、外観は側ブレーキから手ブレーキに変更、タンク内面もFRPライニングからステンレスライニングに変更しています。タンク体も腐食防止のためステンレス製となっています。平成19年に形式消滅しています。
積荷の説明
塩素酸ナトリウム(sodium chlorate)…化学式NaClO3、融点248℃、沸点は300℃(これ以上加熱をすると分解する。)の無色無臭の結晶。塩素酸ソーダとも呼ばれています。潮解性があり、水によく溶け、水溶液は中性です。強い酸化作用があり、有機物、金属粉などが混ざると、加熱や摩擦、衝撃で爆発します。毒劇法では劇物に指定されています。ソーダ工業製品の一つで、パルプの漂白、塩素酸塩の原料に用いられています。タンク車での輸送は25~45%の水溶液にしたものが運ばれていました。かつて、塩素酸ナトリウムそのものが農薬として流通していた事があり、爆発物に非合法で利用されていた事がありました。
コタキ21374
タキ21370~74は昭和62年にタキ21600形式から改造された車輛です。青函トンネル開通により、粉体の塩素酸ソーダを輸送するタキ21600形式は危険品通過禁止の項目の該当してしまい、液体で輸送する方法に変更するため、改造が行われました。純度を保つためキセが装備されています。タンク体は両端部と中心部の直径が異なる異径胴タンク体で、荷役装置などが改造されています。
タキ21600形式35t積み塩素酸ソーダ専用タンク車(コタキ21603)
① 11100mm ② 2512mm ③ 3715mm ④TR41C形式 ⑤コ ⑥化51
粉体の塩素酸ソーダを輸送するタンク車として昭和46年から53年にかけて16両が製作されました。形態では3つに大別され、35系タンク車をベースに設計したタキ21600~04、17系タンク車のタキ21605、06、38系タンク車のタキ21607~15で、それぞれ異なる外観をしていました。このうち、タキ21611~15は昭和62年にタキ21350形式へ改造されています。荷役方式にも特徴があり、荷卸し時に積荷の粉塵爆発を防ぐために水を注入し、溶かした状態で取り卸す方法が行われていました。平成19年に形式消滅しています。
積荷の説明
本ページ タキ21350形式をご覧下さい。
タキ22900形式35t積み青化ソーダ液専用タンク車
① 12100mm ② 2593mm ③ 3772mm ④TR41C形式、TR225形式など ⑤なし ⑥毒62
青化ソーダ液は苛性ソーダ液専用タンク車の臨時専用種別変更によって輸送が行われていましたが、昭和46年に毒物及び劇物取締法が改正され、その扱いが出来なくなったために、本形式が昭和47年に専用車として登場しました。平成4年までに31両が製作されました。スタイルは保温キセ付きドームレスタンク車で、タキ7750形式を大型化したものとなっています。タンク内面はゴムライニング加工が施され、荷役方式は上入れ上出し方式です。タンク上部には配管、マンホール、弁装置が3つの円筒形プロテクターに収められています。平成19年に形式消滅しています。
積荷の説明
シアン化ナトリウム(sodium cyanide)…化学式NsCN、融点563℃、沸点1496℃のアーモンド臭のある白色固体。青酸ナトリウム、青酸ソーダ、青化ソーダと呼ばれ、ソーダ工業製品の一つで、主要なシアン化アルカリとして知られています。非常に有毒で、摂取するとシアン化物中毒を引き起こします。毒劇法では毒物に指定されています。主に有機合成に使用する青酸の発生原料やメッキなどに使用されています。鉄道輸送では30%の水溶液で輸送されています。
タキ23600形式35t積み液体硫黄専用タンク車(コタキ23631)
① 11300mm ② 2500mm ③ 3850mm ④TR41C形式、TR225形式など ⑤コ ⑥燃41
液体硫黄専用車では初めての形式で、昭和47年から平成5年にかけて35両が製作されました。保温キセ付きドームレスタンク車で、タンク内面は高温による酸化予防、硫化水素による腐食防止のためアルミニウムメタリコン処理が施されています。積荷の硫黄は高温になると液体となる性質があり、140℃~150℃で輸送されています。これは、タンク車の積荷で最も高い温度として知られています。初期車は側ブレーキを装備していましたが、昭和49年以降の車輛は保安対策が盛り込まれ、手ブレーキに変更されています。合わせて、台車もTR41C形式からTR225形式と、性能の良い台車へと変化しています。平成18年に形式消滅しています。
積荷の説明
硫黄(いおう:sulfur)…元素番号16、元素記号S、英語名の「sulfur」はラテン語の「燃える石」を意味する言葉が由来。太古より自然界に存在しており、様々な種類があるため、融点や沸点などもそれぞれ異なります。自然界で産出されるもののほか、原油の脱硫によっても製造されています。硫黄は硫酸、黒色火薬、合成繊維、医薬品などの原料として、また硫黄を含む硫化物などが製造され、多方面に使用され、重要なものとなっています。
タキ23650形式34t積み液体硫黄専用タンク車(タキ23651)
① 13700mm ② 2600mm ③ 3784mm ④TR41C形式 ⑤なし ⑥燃41
タキ23600形式の派生形式で、昭和57年にタキ1500形式の改造で2両製作されました。タキ23600形式を増備する際、余剰となっていたタキ1500形式を種車に改造しましたが自重が増えてしまったため、減トンしなければならくなり、新形式となりました。種車のタンク体を撤去し、新しく硫黄輸送に適した、溶接構造用圧延鋼製タンク体を搭載、内面はアルミニウムメタリコン処理が施されています。平成16年に形式消滅しています。
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タキ23800形式35t積みラテックス専用タンク車
① 12430mm ② 2720mm ③ 3845mm ④ TR41C形式、TR225形式など ⑤なし ⑥なし
タキ8850形式に続いて登場した35t積み車で、昭和47年から平成3年までに34両が製作されました。タキ8850形式よりも保温性能を強化し、自重を軽量化するために異径胴タンク体を採用した形式です。平成20年に形式消滅しています。
積荷の説明
タンク車のお部屋その3 タキ7900形式をご覧下さい。
タキ23900形式40t積みカオリン液専用タンク車(コタキ23902)
① 10800mm ② 2588mm ③ 3710mm ④TR41C形式、TR41E-13形式 ⑤コ ⑥なし
唯一のカオリン液専用車として昭和48年から49年にかけて5両が製作されました。積荷は高粘度であり、荷役に際して加圧する必要があったため、タンク体を圧力容器構造規格に定める第二種圧力容器としており、特徴ともなっています。タンク体はステンレス製で、残液防止のため中央部に向かって折れ曲がった形となっています。初期のタキ23900、01は側梁省略、側ブレーキを装備。02~04は平型台枠、手ブレーキを装備しており、大きく外観が異なります。平成9年に形式消滅しています。
積荷の説明
カオリナイト(kaolinite)…化学式Al4Si4O10(OH)8、カオリン石とも呼ばれる鉱物(ケイ酸塩鉱物)の一つ。中国の粘土の産地と知られる高嶺(カオリン)に由来します。特有の匂いがある白色の鉱物。触れるとぬるぬるしており、吸水性が高く、舌にのせると吸い付く感じがあります。陶芸、医療品、化粧品などの原料や製紙用の不透明剤や艶出し剤として用いられています。因みにアフリカではミネラルを補うため、食用にもなっているそうです。鉄道輸送ではカオリナイトの微粉末を水溶液としたものを輸送していました。
タキ24100形式35t積み軽質ナフサ専用タンク車(タキ24109)
① 14330mm ② 2720mm ③ 3859mm ④TR41E形式 ⑤なし ⑥燃32
唯一の軽質ナフサ専用車として昭和49年に16両が製作されました。保冷キセ付きの17系タンク車で、積荷が低比重、低沸点であるためタンク体が大きく、14m級の大型タンク車となっています。平成13年に形式消滅しています。
積荷の説明
ナフサ(naphtha)…原油を蒸留して得られる製品のうち、沸点範囲が30~180℃程度のものを言い、粗製ガソリンなどと呼ばれています。ナフサのうち沸点範囲が35~80℃程度のものを軽質ナフサと言い、石油化学工業のエチレンプラントの原料として利用されるほか、都市ガスの原料などに用いられています。一方、沸点範囲が80~180℃のものは重質ナフサと言い、ガソリン、芳香族炭化水素製造の原料、オイルライターなどに用いられています。この他、輸入されるナフサには軽質ナフサと重質ナフサの混ざった(沸点範囲が広い)ものがあり、これをフルレンジ・ナフサと言います。
タキ24300形式35t積みテレフタル酸専用タンク車(タキ24312)
① 13900mm ② 2950mm ③ 3990mm ④TR41E-13形式、TR225形式 ⑤なし ⑥なし
唯一のテレフタル酸専用車として昭和49年から52年にかけて61両が製作されました。粉体タンク車で、35系タンク車の台枠を採用した珍しい貨車として知られていました。コンテナ輸送へ移行のため、平成11年に形式消滅しています。
タキ24300~24312は初期車で、台車はTR41E-13形式を履いています。荷役方式は窒素を用いたエアスライド方式で、タンク体上部に積込み口が3つ。窒素抜く穴が2つあります。登場時はもっとありましたが、不要である事から撤去されています。
積荷の説明
テレフタル酸(terephthalic acid)…化学式C8H6O4、融点300℃(昇華)の白色の結晶又は粉末。芳香族ジカルボン酸の一つで、略称はTPA。石油化学製品の一つで、ポリエステル樹脂や繊維の原料に用いられています。因みにエチレングリコールと組み合わせると生成されるポリエステルはポリエチレンテレフタレート(PET)と呼ばれ、ペットボトルの原料になり、工業的に重要である事がご理解頂けるでしょう。
タキ24700形式25t積み小麦粉専用タンク車(オタキ24701)
① 16300mm ② 2698mm ③ 3747mm ④TR41E-4形式、TR225形式 ⑤オ ⑥なし
小麦粉専用車としては唯一の形式で、昭和49年から54年にかけて10両が製作されました。保冷キセ付きの粉体タンク車で、全長16m級は粉体タンク車としては最大となっています。タキ11500形式をモデルに設計されており、大型化したスタイルとなっています。タキ24700~07はタンク上半分にキャノピー型キセが設置され、タンク体には補強環が10本あります。当初は黒色でしたが、昭和53年より積荷の傷みを防ぐためにクリーム4号に変更しています。平成9年に形式消滅しています。
積荷の説明
小麦粉(こむぎこ:wheat fiour)…小麦を挽いてつくる穀粉。パン、うどん、ケーキなど多種多様な食品の材料として使用されています。原料に使用する小麦の性質、使用部位、挽き方などにより異なる呼び方があり、用途も異なります。その違いの一つとして、タンパク質とグルテンの量と質により分類されます。
小麦粉の成分の7~8割はでんぷん(澱粉)、約1割がタンパク質。このたんぱく質はグリアジン、グルテニンで、水分を含む事でグルテンになって、小麦粉独特の料理が生まれます。グルテンのみを取り出すと「麩(ふ)」になります。タンパク質の割合、グルテンの性質により、次のように分類されます。
薄力粉(はくりきこ)…タンパク質の割合が8.5%以下のもの。パン、ケーキなどの菓子類に用いります。
中力粉(ちゅうりきこ)…タンパク質の割合が9%前後のもの。うどん粉とも言われ、うどん、お好み焼きなどに用いります。
強力粉(きょうりきこ)…タンパク質の割合が12%以上のもの。パンや麺類に用いります。
この他に、全粒粉(小麦の皮、胚芽、胚乳を全て粉にしたもの。食物繊維やミネラル、ビタミンが豊富でビスケットやシリアル食品の原料になります。)、グラハム粉(全粒粉の一つ。表皮、胚芽は粗挽き、胚乳のみ細やかに挽いて、これらを混ぜたもの。)などがあります。因みに「メリケン粉」という言葉がありますが、これは輸入した小麦粉を言う言葉で、アメリカン(American)の発音が由来です。
タキ25000形式25t積みLPガス専用タンク車(オタキ25109)
① 17080mm ② 2600mm ③ 3840mm ④TR207B形式、TR211B、TR216B形式 ⑤オ ⑥燃(G)23
従来のタム、タサ級に代わって昭和41年に登場した初めての25t積み車。昭和57年までに310両(タキ25000~199、250~359(※タキ25211~249は欠番、タキ25200~210はタキ5200形式))がつくられました。特徴は初の25t積み車の他に、高圧ガスタンク車では唯一キセを省略したほか、波除け板を廃止している点で、これにより大幅な自重軽減が達成できたため、25t積みが可能となっています。容器保安規則(通産省令)により、タンク体は灰色(ねずみ色1号)に指定されています。台車は高圧ガスタンク車向けに設計されたTR207系、TR216系を履いており、タキ25000~87までは側ブレーキ、88以降は手ブレーキに変更されています。平成19年に形式消滅しています。
積荷の説明
液化石油ガス(えきかせきゆがす:liquefied petroleum gas)…油田、天然ガス田、製油施設などで産出や生成過程で作られるガスで、プロパンやブタンなどを主成分とする無色無臭の気体。特徴は低圧力(2~8気圧)で液化が容易に行える。液化時は気化ガス時の1/250となり、ガス漏れが起こると爆発を起こし易く危険である事から、着臭(玉ねぎの腐ったような臭い)を行い、製品としています。家庭用、工業用、自動車用燃料、有機合成の原料などに利用されています。
タキ25800形式青化ソーダ液専用タンク車(タキ25801)
① 13200mm ② 2631mm ③ 3694mm ④TR41E-12形式 ⑤なし ⑥毒62
この形式はタキ18900形式30t積みアニリン専用タンク車の後継形式として、昭和49年に3両が製作されました。平成3年にタキ22900形式の増備車として、青化ソーダ液に専用種別を変更。この際に大規模な改造を行いました。(これにより、アニリン専用車は消滅。)タンク内面はゴムライニング加工が施され、タンク体両端に点検蓋が設置、タンク体上部も配管や弁類などをプロテクター箱に収めています。平成15年に形式消滅しています。
積荷の説明
アニリン(aniline)…化学式C6H7N、融点-6℃、沸点184℃の無色透明の可燃性液体で、毒性があります。毒劇法では劇物に指定されています。芳香族化合物の一つで、アミノベンゼンとも言われます。染料やゴムなど化学薬品、農薬や医薬品製造の中間物質として用いられています。
青化ソーダ液…本ページ、タキ22900形式をご覧下さい。
タキ26000形式ニトロベンゼン専用タンク車(コタキ26005)
① 11400mm ② 2560mm ③ 3841mm ④TR41E-12形式 ⑤コ ⑥毒61
この形式は昭和50年に登場。9両が製作されました。登場時は亜硫酸ソーダ液専用タンク車で、同じ専用種別とするタキ20100形式とほぼ同一設計ですが、保安対策によりタンク内面をゴムライニングからステンレスに変更したため新形式となりました。タンク体は中央部に向かって屈折した構造です。昭和55年に専用種別をニトロベンゼンに変更しました。この際、改造は行われず、外観は亜硫酸ソーダ時代のままでした。
平成20年に形式消滅しています。
積荷の説明
亜硫酸ナトリウム(ありゅうさんなとりうむ:sodium sulfite)…化学式Na2So3、融点600℃(分解)の無色の結晶。石油化学製品の複産品の一つで、亜硫酸ガスと苛性ソーダの反応で得られます。工業用途は広く、紙工業はパルプの製造、写真工業では現像液の酸化を防ぐ薬品など、化学工業ではチオ硫酸ナトリウムの原料、スルホン化、スルホメチル化試薬として用いられています。この他、食品や化粧品に防腐剤として使われていますが、アレルギーや皮膚炎などの副作用があります。
ニトロベンゼン(nitrobenzene)…化学式C6H5NO2、融点5℃、沸点210℃の桃を腐らせたような芳香を持つ淡黄色油状液体で、有毒。毒劇法で劇物に指定されています。濃硝酸と濃硫酸を混合した液体を「混酸」と言い、この混酸とベンゼンを反応させ製造します。この様な反応を「ニトロ化」と言い、出来たものは「ニトロ化合物」とよばれます。ニトロ化合物は爆発性のあるものというイメージですが、ニトロベンゼンは爆発性はありません。芳香族化学薬品の一つで、アニリンの合成や、ゴム、農薬などの製造に利用されているほか、靴や床の研磨剤、靴の不快臭を消すための製品にも利用されています。
コタキ26002
平成7年にタキ26003、06~08を除いた5両が青化ソーダ液へ専用種別を変更しました。タンク内部にある加熱管を撤去し、タンク内面をゴムライニングにしました。荷役方式は変わりませんが、配管や弁装置類が箱型のプロテクターに収められ、外観の特徴ともなっていました。
積荷の説明
本ページ、タキ22900形式をご覧下さい。
タキ26100形式35t積みアミノカプロラクタム水溶液専用タンク車(タキ26104)
① 12100mm ② 2744mm ③ 3940mm ④TR225形式 ⑤なし ⑥なし
唯一のアミノカプロラクタム水溶液専用車で、昭和50年に6両が製作されました。この貨車の特徴は、ダブルウォール(二重壁)型絶縁構造を採用している点で、採用例が少なく、他にタキ17500形式などがあります。内側のタンク体はステンレス製、外側は耐候性高張力鋼製で、8本の補強環が特徴です。内側と外側のタンク体の間には発泡ウレタンが充填されています。平成19年に形式消滅しています。
積荷の説明
アミノカプロラクタム…正しくはα-アミノ-ε-カプロラクタム(アルファ-あみの-イプシロン-かぷろらくたむ)という、化学式C6H12N2Oの粉末。タンク車では水溶液で輸送されていました。飼料の添加剤(L-リジン)の原料です。
タキ29100形式35t積み濃硝酸専用タンク車(コタキ29115)
① 12000mm ② 2634mm ③ 3660mm ④TR225形式、TR213C形式 ⑤コ ⑥侵(禁水)84
最新の技術を用いて全自動化された武蔵野操車場が昭和49年に開業することになりました。これに伴い、強度の難がある純アルミ製タンク車はステンレス製へ変更する対応が採られました。しかし、濃硝酸専用タンク車については代替となる材質がありませんでした。純アルミ製タンク体をもつ車輛は武蔵野操車場通過禁止の処置が行われたため、濃硝酸専用タンク車は全て通過できない問題が発生します。この問題を解消するために開発されたのが「アルミクラッド」という構造です。外面はアルミニウム合金、内面を純アルミとしたもので、世界初の採用が本形式になります。これにより、従来車に見られた「純アルミ」、「連結注意」という表記が無くなりました。操車場も通過可能となりました。本形式は昭和51年から55年、平成5年から7年にかけて27両が製作されました。輸送体系の変化により、平成21年に形式消滅しています。
積荷の説明
タンク車のお部屋その3 タキ7450形式をご覧下さい。
タキ29300形式39t積み濃硫酸専用タンク車(コタキ29302)
① 10800mm ② 2460mm ③ 3597mm ④ TR225-1形式、TR213C形式 ⑤コ ⑥侵(禁水)84
タキ5750形式の後継形式として、昭和51年から平成16年までに62両が製作されました。タキ5750形式は輸送効率向上のため、側梁省略(フレームレス)など徹底した軽量化を行うなど極限設計車として有名でしたが、昭和49年のタンク車に対する保安対策でフレームレスタンク車の製造禁止などが決まったため、増備車として本形式が製作される事となりました。タキ5750形式に側梁設置、台車のTR225形式化を行ったもので、自重が増加したため、荷重を1t減の39tとしています。タキ29341までは耐候性高張力鋼を使用し、塗装は黒色。42以降は耐硫酸性鋼を使用し、自肌色(銀色)となっています。派生形式にタキ45000形式を改造したタキ46000形式があります。
積荷の説明
タンク車のお部屋その2 タキ5750形式をご覧下さい。