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ホッパコンテナ
粉体といった貨物を輸送するコンテナです。構造は貨車と同じく、上入れ下出し方式がほとんどとなっています。始まりは国鉄コンテナで昭和41年に始まりました。その後の増備は私有コンテナという形になっています。
UH1形12ftコンテナ
昭和46年に登場した私有ホッパコンテナの第1号。国鉄H10形の増備形式になります。ビニル樹脂系を中心とした貨物に採用され、800個以上がつくられました。
UH1-100(三菱サンモント化成 ポリスチレン)・723(三菱化学物流・ポリエチレン)・774(帝人 ポリエチレンテレフタレート)
※ポリスチレン(polystyrene)・・・スチロール樹脂とも言われるもので、スチレン(1)をモノマー(2)とするポリマー(3)を言います。略号はPS。一般的に見られるポリスチレンは、アタクチックポリスチレンというもので、熱可塑性樹脂の安価なものです。熱を加えると容易に形を変える事が出来るため、日用雑貨、プラモデルの素材に、発泡剤を用いて成型をすれば発泡スチロールになり、断熱容器や建築材料に広く使われています。
(1)スチレン(styrene)・・・化学式ではC8H8の芳香族炭化水素の一つ。融点-30.6℃、沸点145℃の無色透明液体で、工業ではエチルベンゼンを鉄触媒などによって脱水素を行い製造されます。
(2)モノマー・・・単量体とも言うもので、高分子(ポリマー)をつくるもととなる低分子化合物を言います。「モノ」とはギリシャ語の接頭語で1を表す言葉である。
(3)ポリマー・・・重合体とも言うもので、モノマーを複数合成してつくられるもの。「ポリ」とはたくさんを表す言葉です。一つのモノマーではなく、異なるモノマーからの重合体を共重合体と言います。
※ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)・・・ポリエチレンテレフタラートとも呼ばれるポリエステルの一つ。略称はPET(ペット)と呼ばれ、飲料等に用いられるペットボトルの名称の由来ともなっています。エチレングリコール(タンク車のお部屋その2タキ6600形式参照。)とテレフタル酸(タンク車のお部屋その5タキ24300形式参照。)の脱水縮合によってつくられます。ペットボトルのほか、フィルムやフリースなどの衣類用繊維として用いられています。
UH5形20ftコンテナ
昭和52年に登場したもので、UH1形の拡大形式となります。荷重は10t。荷役方法は屋根部の積込口から投入し、取り出す時はコンテナをダンプのように傾斜させます。
UH5-18(住友化学工業 ポリプロピレン・ポリエチレン)・75(三菱化学物流 ポリエチレン)
※ポリプロピレン(polypropylene)・・・プロピレン(石油を触媒する事で得られる無色の気体。分子式はC3H6)を重合してつくる熱可塑性樹脂です。略称はPP。プラスチックの部品や製品、紙幣など幅広い用途があります。汎用樹脂の中では比重が最も小さいので、水に浮かぶ特徴があるほか、吸湿性がなく、耐薬品性に優れています。一方で、色付けが難しく、耐光性が低い欠点もあります。
※ポリエチレン(polyethylene)・・・エチレンが重合した構造を持つ高分子(原子あるいは分子量がとても多いポリマーのこと。)略称はPE。容器、包装用フィルムなどに用いられています。
UH6A形12ftコンテナ(UH6A-91 日本通運 ポリエステル)
UH5形を小ぶりにした感じのコンテナです。荷役方法も同じです。
UH8A形12ftコンテナ(UH8A-51 旭化成工業 ポリスチレン)
2部屋構造のホッパコンテナです。品質の異なる貨物を小口単位で輸送するには便利なコンテナです。
UH10A形12ftコンテナ(UH10A-1 宇部興産 ポリエチレン)
UH6形を背高にしたような感じのコンテナです。
UH17A形20ftコンテナ(UH17A-5048 三菱化学物流 ポリスチロール)
ポリスチレン(PS)を運ぶ大型コンテナ。UH8A形の拡大形式で、3つのホッパで構成されています。
UH18A形20ftコンテナ(UH18A-1 同和通運 焼却飛灰)
UM13A形に似たホッパコンテナです。積荷の焼却飛灰(しょうきゃくひばい)とは、焼却炉で発生する焼却灰の中で、軽い物を言います。
UH19A形20ftコンテナ(UH19A-9 三菱化学物流 ポリエチレン)
僅か10個という小世帯の形式です。PSやPP、PEの輸送量を上げるために登場した試作的要素のあるコンテナと思います。
UH20A形20ftコンテナ
UH20A-95(住友化学工業 ポリプロピレン ポリエチレン)・414(エム・ティー・ビィー ポリプロピレン)
外観は大きな有蓋コンテナに見えるホッパコンテナです。
UH20B形20ftコンテナ
UH20B-1 住友化学工業 ポリプロピレン・459 旭化成ケミカルズ ポリエチレン
UH20A形を航送用とした形式です。よく見ないと形式の判別が難しいのが特徴です。
UH29A形20ftコンテナ(UH29A-5002 旭カーボン カーボンブラック)
カーボンブラック専用のホッパコンテナです。海上コンテナに類似したコンテナがあります。
※カーボンブラック(carbon black)・・・工業的には品質を制御してつくられる炭素の微粒子です。似たものとして「煤(スス)」がありますが、これは品質制御がされていないので異なるものとして扱われます。ゴムと馴染みが良い性質があり、タイヤをはじめとするゴム製品の補強材として用いられています。この他に液体に分散させ、塗料、印刷用インキなどに、プラスチックに着色させ、これを粉砕して微粒化したコピー機のトナーなどに。紫外線の吸収性が高い性質を利用して電線の被覆材など幅広い用途があります。
タンクコンテナ(tank container)
化成品、油類、瓦斯、食料品など様々な液体や気体を輸送するコンテナです。内容積により形式が決められており、同一形式でも積荷が多種多様あり非常にバラエティにとんでいます。かつては1つの積荷しか輸送できませんでしたが、洗浄技術が向上し色々な貨物を輸送できるコンテナもあります。
UT1形5t積み12ftコンテナ
昭和45年に登場した私有タンクコンテナの第1号形式。700個近くがつくられ、所有者により積荷は数十種類もあります。新規登録は行われておらず、現存するコンテナのみとなっています。
UT1-53(ゴードー 水飴)・153(昭和電工 ポリゾール)212(昭和高分子 ポリゾール)・213(昭和電工 ポリゾール)
タンク体、受台に吊り下げ荷役用のフックがちゃらんと付いているのが古さを感じさせますね。ポリゾールとは商品名で、合成樹脂エマルジョン(エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸共重合水性エマルジョン)を運んでいます。
※エマルジョン(Emulaion)・・・エマルションとも言う。水と油のように一つの容器に入れても層になって別れていますよね。この様になっている液体のどちらか一方を微粒子にして分散させ、混ざったように見える液体にします。これを乳濁液あるいは乳剤といい、身近なものではマヨネーズ、木工用接着剤、アクリル絵具などがあります。分離している液体をエマルジョンにする事を乳化と言います。
混ざらないものを混ぜるためには、仲たがいをする物質が必要です。この物質を乳化剤と言います。一般的には安定したエマルジョンをつくるため界面活性剤を用いる事が多く、工業用、食品用、化粧品用などそれぞれの用途に応じたものがあります。例えば、マヨネーズでは水と油を使いますが、これだけでは混ざりません。乳化剤の役割を果たすのが卵黄の脂質です。この脂質が界面活性剤の役割をしています。
UT1-254(保土谷化学 亜塩素酸ソーダ液)・281・285(日曹丸善ケミカル ポゾリス)
※亜塩素酸ソーダ・・・亜塩素酸ナトリウムとも言い、化学式はNaClO2で表す無機化合物です。
白色の結晶で水によく溶ける性質を持つ一方で、有機物と混合すると爆発し易い。また水溶液では特異な刺激臭があり、毒物及び劇物取締法により劇物に指定されています。パルプや繊維などの漂白剤や水道水の殺菌などに用いられています。
※ポゾリス・・・商品名のようです。コンクリート混和剤で、コンクリートの性能を向上させる減水剤とのこと。コンクリート中に含まれる水分を減らす事で、強度が高まるそうです。
UT1-339(保土谷化学 亜塩素酸ソーダ液)・456(信越化学 塩化ビニル樹脂)・519(AFT 塩化パラフィン液)
※塩化ビニル樹脂・・・ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride)、略称PVCとも言う、プラスチック(合成樹脂)の一つ。塩化ビニル(vinyl chloride)(工業的にはエチレンと塩素からジクロロエタンを合成し、熱分解をして製造。)を重合したもの。塩化ビニールや塩ビなどと呼ばれる。塩化ビニルモノマーを重合させただけでは、樹脂は硬くて脆い。このため、柔らかくする可塑剤と劣化を防ぐ安定剤を加えます。可塑剤の量を調整すれば軟質にも硬質にもなるうえ、水、酸、アルカリ、溶剤に優れた耐性をもち、さらに難燃性、電気絶縁性も高く、さらにさらに原料の一つである塩素ガスが非常に安いという事から用途は多岐にわたっており、そこらじゅうにあると言っても過言ではないほどだ。一方で、塩化ビニル樹脂をはじめとする塩素系プラスチックが発がん性物質のダイオキシンの発生源であるとして、社会問題にもなった。このため、食品が直接触れる容器や包装、玩具(幼児が口にする)などには代用となるものが使われています。
※塩化パラフィン・・・塩素化パラフィン(Chlorinated paraffins)とも言う。アルカン(石油に含まれ、分留によって取り出される鎖式飽和炭化水素。炭素数が大きいものはパラフィンと呼ばれる。)に塩素を結合させた有機塩素化合物の総称です。塩素、ノルマルパラフィン、パラフィンワックスを原料にして、様々な塩素化率の製品の製造に用いられる。難燃材、ポリ塩化ビニル用可塑剤、潤滑油添加剤利用されるほか、切削油などの金属加工用にも利用。しかし、毒性、難分解性、生物濃縮性が高いことから使用禁止となっています。
UT1-520(三工 塩化パラフィン液)・581(大同化成工業 ポリアクリル酸ソーダ水溶液)・613(旭化成ケミカルズ ラテックス)
※ポリアクリル酸ソーダ・・・ポリアクリル酸ナトリウム(Sodium polyacrylate)と言い、高吸水性高分子(SAP)の一つ。水分吸収率が高いため、紙おむつ、生理用品、ローション、園芸、携帯簡易トイレ、芳香剤などに利用されているほか、食品添加物(増粘剤)にも使われています。
※ラテックス・・・貨車のお部屋その3 タキ7900形式を参照して下さい。
UT1-639(東ソー 塩化パラフィン)・600(日本エイアンドエル ラテックス)
UT3形5t積み12ftコンテナ
昭和45年にUT1形式と共に登場したコンテナです。UT1形が普通品に対して、危険品を輸送するグループとしてつくられました。UT1形からUT3形に形式変更したものもあります。
UT3-128(大竹ケミカル アクロレイン)・277(ダイセル化学工業 アクロレイン)・301(徳山石油化学 テトラヒドロフラン)
※アクロレイン(acrolein)・・・アクリルアルデヒド(acrylic aldehyde)とも言う、化学式ではC3H40、融点-87℃、沸点53℃の刺激臭を持つ無色又は淡黄色の液体です。非常に反応性に富む物質で、安定剤を加え、空気を遮断して保存されます。可燃性、毒性が強いため、毒物及び劇物取締法により劇物に指定されています。アクロレインは以外にも身近にあり、食用油を使い揚げ物などを長時間行った結果、気分が悪くなる「油酔い」の原因に、ディーゼルエンジンやたばこの不完全燃焼でも発生しています。プラスチックや香料、メチオニンの合成原料などに用いられています。
※テトラヒドロフラン(tetorahydrofuran)・・・略称THF。環状エーテル化合物で、化学式C4H8O、融点-108.4℃、沸点66℃の無色の液体。工業的には1,4-ブチンジオールを水素化する事で生成されています。空気中では容易に酸化され、爆発性の酸化物が生じる特徴があります。ヘキサメチレンジアミンの原料、ナイロンの原料として用いられています。
UT3-318(川口化学工業 トリノニルフェニルホスファイト)・333(菱成産業 可塑剤)・400(日本石油輸送 メチルジグリコール)
※トリノニルフェニルホスファイト(trinonylphenylphosphite)・・・亜リン酸エステル類の化学製品で、無色の粘稠液体です。樹脂添加剤、ゴムの添加剤に使われる。可燃性であり、有毒ガスを発生させる。
UT3-431(クラレ テルペン)
※テルペン(terpene)・・・テルペノイド、イソプレノイドなどとも言われる。天然に最も広く分布する天然有機化合物で、その種類は6000以上の化合物が知られている。テルペンの語源はマツ科の樹木のチップ、それらの樹木から得られた松脂を水蒸気蒸留によって得られるテレビン油(ターペタイン)です。テルペンはイソプレン単位(C5)から構成されており、その単位の数に応じて種類があります。これらは香水、菓子、医薬品の清涼剤、天然ゴム(イソプレンゴム)などの原料に使われています。
UT3-434(東洋インキ 印刷用インキ)
このコンテナは昭和62年につくられたもので、番号では1個だけとなっています。ところが2個あるのです。もう1個はUT3-434-1というものになっています。なぜこのようになっているのかは謎となっています。
UT3C形12ftコンテナ
危険物を運ぶため、Cの記号が加えられています。
UT3C-9(日本陸運産業 四塩化ケイ素)、20(三菱化学物流 EL硝酸)
※四塩化ケイ素(silcon chloride)・・・塩化ケイ素とも言う、塩素とケイ素からなる無機化合物。様々な組成のものが見つかっています。四塩化ケイ素のほかに六塩化ケイ素というものがあり、有機ケイ素化合物の製造には非常に重要な化合物です。四塩化ケイ素は化学式SiCl4、融点-70℃、沸点57.6℃の無色の刺激臭のある液体。湿った空気中では発煙し、塩素ガスを発生させる。
※EL硝酸・・・電子部品製造用の高純度の硝酸のこと。タンク車のお部屋その3タキ7500形式も参照にして下さい。
UT3C-26(住友精化 塩化チオニール)
UT03C形20ftコンテナ(UT03C-5010 東ソー 臭素)
※臭素(bromine)・・・原子番号35、元素記号Br、融点-7.3℃、沸点58.8℃の刺激臭のある猛毒の赤褐色の液体。非金属元素の中では常温、常圧で液体である唯一の元素。蒸発し易く、赤色の気体となり、塩素と同じく強烈な不快臭をもつ。多くの元素と容易に結合し、強力な漂白作用を持ちます。皮膚に臭素が触れると腐食を起こすため危険である。海水と塩素の反応により発見され、名前はギリシャ語の「悪臭」が語源となっています。19世紀では精神病の治療薬、鎮静剤、性欲抑制剤として臭化カリウムなど臭化物が用いられた。(毒性があるため、現在ではほとんど用いられていない。)、20世紀に入り工業で用いられるようになります。臭化物イオンを含む水溶液に塩素を吹き込み、臭素単体を蒸留し、精製しています。臭素化合物(臭化マグネシウムなど)や臭素系有機化合物(臭素系ダイオキシン類など)がつくられています。しかし、環境に与える影響が大きいことから、生産、消費量は減少しています。最後にトリビアを一つ。臭素化合物の一つに臭化銀(silver bromide)があります。これは写真の感光材として用いられています。これを使った印画紙を英語ではbromaide paperと呼んでおり、これが転じてアイドルなどの写真をいうブロマイドの語源となりました。
UT4A形12ftコンテナ
UT1形に見られる、クレーン荷役用のフックが動くものと受台に固定されているもの、無いものがあるようです。
UT4A-5(味の素 調味液)・23(保土谷化学 亜塩素酸ソーダ液)・57(味の素 調味液)
UT4A-58(参松 水飴)・62(向後スターチ 水飴)
UT4C形12ftコンテナ
UT4C-5(日本石油輸送 潤滑油)・6(日本石油輸送 メラミン樹脂)・26(モートン・チオコール SBH苛性ソーダ水溶液)
※メラミン樹脂(melamine resin)・・・メラミンとホルムアルデヒドを付加縮合させて得られる熱硬化性樹脂の事。多くはメチロールメラミン溶剤に溶かし、充填剤(紙など)に染み込ませたものを積層あるいは圧縮成形し、加熱して硬化させます。家具の化粧板や木工製品の表面材、食器や日用品などに用いられています。食器では樹脂がマイクロウェーブを吸収し、発熱をするため電子レンジ加熱用容器には不適である。この他、他の樹脂と混合させ塗料としても用いられています。
※SBH苛性ソーダ水溶液・・・この水溶液を説明する前にSBHとは何か?を説明しましょう。
水素化ホウ素ナトリウム(sodium boron hydride)・・・化学式NaBH4、融点400℃、沸点500℃(分解)の白色の固体。略称はSBH。別名テトラヒドロホウ酸ナトリウムとも言い、ホウ酸メチルと水素化ナトリウムを反応させて合成して得られる。水に溶けやすく、水溶液に酸を加えると水素が発生するため、火災時には水を消火剤としてはならない。有機合成反応において還元剤として用いられます。
このSBHは酸や中性で水素を発生させるため、アルカリ溶液なら保存が出来ます。という事で、アルカリの代表である苛性ソーダの水溶液にSBHを混ぜたものが、SBH苛性ソーダ水溶液と言います。
UT4C-45(日立化成工業 不飽和ポリエステル樹脂)・66(三井化学 TDI)・153(東洋インキ 印刷用インク)
※不飽和ポリエステル樹脂(unsaturated polyester resin)・・・略称UP。プロピレングリコール又はその他のグリコール類と有機酸、スチレンモノマーを原料につくられる樹脂。化粧板や建材などに使われています。
※TDI(トルエンジイソシアネート)・・・タンク車のお部屋その4 タキ19600形式を参照して下さい。
UT4C-31(日本石油輸送 潤滑油(スーパーシリンダー用))・55(日本石油輸送 MDI)
※潤滑油・・・機械の歯車などを効率よく動かすために使われる油で、中には冷却を行うものもあります。(エンジンオイルなど)特徴として、分子量が大きく、液体では水などに比べると粘性が高い。(ドロッっとしている。)皮膜が丈夫で、摩擦を軽減させます。このような特徴から、多くの機械に油が使用されています。機械に使用する際は、錆を発生し難くする事、絶縁をする性質を持つことなどが求められます。一般的に機械油とも言われます。この他、内燃機関にも用いられ、この場合は温度変化で粘性が変わらない事や燃焼しない事が求められます。
UT4F形20ftコンテナ(UT4F-2 山九 DMI)
多品種の危険品のコンテナは少なく、UT4F形は2個しかつくられていないようです。
※DMI・・・ジメチルイソソルビド(Dimethyl isosorbide)の事。イソソルビドジメチルエーテルなどとも言われる、化学式C8H14O4の化学物質。医薬品製剤、農薬、動植物の保存などに使われている。
UT5形20ftコンテナ
国鉄時代に誕生したコンテナ形式です。
●0番代(UT5-6・7 塩化ビニリデン樹脂 呉羽化学工業)
※塩化ビニリデン(vinylidene chloride)・・・化学式C2H2Cl2、融点-122.1℃、沸点31.7℃の無色の液体。工業では塩化ビニルに塩素を付加させて、1,1,2-ジクロロエタンを合成し、水酸化カルシウム(石灰乳)で脱塩化水素して合成されている。塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリルなどと共重合して、繊維や塗料などに用いられています。
●5000番代(UT5-5002 無水マレイン酸 日本石油輸送)
UT5A形12ftコンテナ
JR貨物となり、新しい形式称号となった形式です。
UT5A-8(森永乳業 牛乳)・28(サンノブコ ステアリン酸カルシウム)・66(日本石油輸送 ラテックス)
※牛乳(milk)・・・牛のお乳。様々あり、生乳(せいにゅう:搾ったままで加熱殺菌などの処理を何もしていないもの。商品に「生乳100%」とあるのは、原材料が生乳のみで、栄養素を加えていない無添加の牛乳という意味。)や脂肪分を調整したもの、乳糖を分解したものを含む場合もあります。また、様々な食品を混ぜたコーヒー牛乳やレモン牛乳などをいう事もあります。脱脂粉乳、バター、生クリーム、チーズ、アイスクリームなどに加工されることもあります。
※ステアリン酸カルシウム・・・ステアリン酸(stearic acid)とは動物性及び植物性脂肪で最も多く含まれる飽和脂肪酸(高級脂肪酸)の事を言い、このステアリン酸の一つがステアリン酸カルシウムです。粉体の流動性向上や固結防止剤に用いられているほか、増粘安定剤、医薬品などにも用いられています。
UT5A-85(住友化学工業 エチレン酢酸ビニル液)・110(ミヨシ油脂 脂肪酸)・124(日本合成ゴム アクリルエマルジョン)
※エチレン酢酸ビニル・・・ビニルアセタート(vinyl acetate)とも言われる、分子式C4H6O2、融点-100.2℃、沸点72-73℃の特徴ある香気を有する可燃性の無色の液体。工業ではエチレンと酢酸によって合成されており、合成樹脂の原料などに用いられています。
※脂肪酸(Fatty acid)・・・長鎖炭化水素の1価のカルボン酸の事。炭素数や不飽和度などにより多岐にわたって様々な種類があります。ここでは説明しきれません。工業的には天然油脂の加水分解により得られるもので、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などがあります。石鹸、医薬品、界面活性剤などの原料に用いられています。
※アクリルエマルジョン・・・工業会ではアクリルエマルションと言い、アクリル樹脂を水に乳化、分散させたもの。水性塗料に使われている。最近では水のほかに添加剤として防腐剤、消泡剤、防かび剤などを組み合わせて、機能を高めています。
UT5A-127(エヌ・エム・ピー コンクリート混和剤)・144(森永乳業 牛乳)・148(サンノプコ ポリカルボン酸ナトリウム)
UT5A-150(日陸 コンクリート混和剤)
UT5C形12ftコンテナ
UT5C-7(日本石油輸送 ウレタンプレポリマー)・25(日本石油輸送 ジエチレングリコールモノエチルエーテル)
※ウレタンプレポリマー・・・ポリオールとポリイソシアネートと反応させて得る高分子のこと。ビルや地下鉄などのコンクリート構造物の止水剤、床材や舗装材などの基材に用いられています。
※ジエチレングリコールモエチルエーテル(diethylene glycol monoethyl ether)・・・分子式C2H5(OCH2CH2)2OH、融点-76℃、沸点202℃の芳香臭のある無色の透明な液体。塗料、印刷インキの溶剤、クリーニングのしみ抜き剤などの可溶化剤などに使われています。
UT5E形12ftコンテナ(全て所有者は日本石油輸送)
汎用品目の形式であり、リースで様々な会社の貨物を運んでいます。このため、専用種別がその都度変わっています。31番よりタンク受台に穴が開いており、自重軽減のための改良と思われます。
UT5E-11(ラテックス)・19(撥水剤)・22(FD-532HFC)
UT5E-28(リグニン液)・42(撥水剤)・60(紙力剤)
※リグニン(lignin)・・・セルロースと共に樹木を構成する主成分です。木材中に20~30%含まれており、パルプ製造において抽出されたアルカリ水溶液中のリグニンは燃料として使用されています。この他にコンクリート混和剤にも使われています。
UT5E-70(トリエタールアミンS90)・39(コンクリート混和剤)・64(コンクリート混和剤)
UT5E-66(アクリルエマルジョン)
UT5F形12ftコンテナ(UT5F-9 同和通運 産業廃棄物(写真廃液))
多種危険品目のコンテナです。
※写真廃液・・・写真や映画などのフイルムの現像には現像液や定着液などが用いられていますが、ある種の化学薬品であり、おいそれと捨ててはいけません。使用済みは専門の業者で処理されています。
UT6形20ftコンテナ(UT6-25004・25007 日本陸運産業 塩化ビニル樹脂)
国鉄時代に登場したコンテナで、20ftクラスのためでしょうか。25000番代となっています。
UT06C形20ftコンテナ
上記のUT6形が存在しているため、JR発足以降に登場した内容積6平方メートルのコンテナは「06」としています。
●0番代
UT06C-5(中央通運 トリクロロフェニルシラン)
※トリクロロフェニルシラン(Trichlorophenylsilane)・・・化学式C6H5Cl3Si、融点-40℃、沸点201℃の刺すような臭いを持つ無色透明の可燃性液体。四塩化炭素、二硫化炭素、クロロホルムに溶解する。多くの金属に対して強い腐食性を持つ。水素又は水蒸気に対しては非常に激しく反応し、発熱し、塩化水素、塩酸蒸気を発生させます。皮膚に触れると重篤な薬傷となります。撥水剤、絶縁樹脂、耐熱塗料としてシリコーン合成に用いられています。
●5000番代
UT06C-5022(三菱マテリアル電子化成 FSA)・5024(住友精化 塩化スルフリル)
※フルオロスルホン酸(fluorosulfonic acid)・・・略称FSA。フルオロ硫酸とも言われる、一般で入手できる酸の中では、最も強いものの1つ。融点-87.3℃、沸点165.5℃の粘性の低い無色の液体。毒性及び腐食性が高く、加水分解により毒性の高いフッ化水素を発生させます。
※塩化スルフリル(sulfuryl chloride)・・・化学式CO2Cl2、融点-54.1℃、沸点69.4℃の刺激臭を持つ無色の不燃性液体。塩素の発生源として用いられており、工業分野では殺虫剤の原料として用いられています。水を加えると激しい反応を起こし、塩化水素が発生します。
UT7A形20ftコンテナ
●5000番代
UT7A-5010 (住化ロジスティクス M-MDI)・5003(日陸 HFC245fa)
※M-MDI・・・ジフェニルメタンジイソシアネート(Methylene diphenyl diisocyanate)、略称:MDIと呼ばれる芳香族ジイソシアネートの一つで、このMDIには3種類あり、その一つに4,4’-MDIというものがあり、別名モノメリックMDIと言います。化学式C15H10N2O2、融点40℃、沸点は300℃以上の白色または淡黄色の固体です。水に溶ける性質を持っています。毒性は低い。硬質、軟質ポリウレタンフォームや塗料、接着剤などの製造に用いられています。
※HFC245fa・・・フルオロカーボン245fa、化学名1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、化学式CHF2CH2CF3、融点-103℃、沸点15.3℃の無色の液化ガスです。代替えフロンの一つでとても地球環境にやさしい物質で、冷凍機用の冷媒や硬質ウレタン発泡剤の原料に使用されています。
UT7C形20ftコンテナ
●0番代
UT7C-8 中央通運 トリクロロフェニルシラン
●5000番代
UT7C-5027 関西化成品輸送 二硫化炭素 5033 ボルテックスセイグン クロロホルム 5037 中央通運 四塩化珪素)
※クロロホルム(chloroform)・・・化学式ではCHCl3で表される融点-64℃、沸点61.2℃の強い甘みのある芳香をもつ無色透明の液体。別名トリクロロメタンとも言います。工業的には塩素とクロロメタン又はメタンを加熱する事で得ています。多くの有機化合物を溶解する一方、光や酸素でのもとでは容易に分解し、有毒ガスのホスゲンが発生します。クロロホルムは登場した19世紀後半から20世紀前半にかけて、麻酔薬として外科手術に利用されてきました。これは中枢神経に作用する事を利用したもので、この作用からテレビドラマや漫画など、嗅がせると気絶する薬品として有名になりました。しかし、実際は吸引をしても気を失うまでは時間がかかる(咳や吐き気、頭痛に襲われる程度)上に、大量に吸入すると血圧や呼吸、心拍の低下を招き、最悪は死に至ってしまう。肝臓や腎臓に影響を与える上、発がん性もあるようです。この事から毒物及び劇物取締法の医薬用外劇物に指定されています。因みに現在の麻酔剤の主力はジエチルエーテルです。冷却材のクロロジフルオロメタンなどのフロン類の製造、溶媒として用いられています。
UT07C形12ftコンテナ(UT07C-1 日本石油輸送 イソプロピルエーテル)
国鉄時代に定めた形式付与によりUT7C形式がありました。内容積=形式となったJR貨物に生まれたコンテナは形式や番号の重複を避けるため(別のものとするため)、形式に「0(ゼロ)」を付けています。このUT07C形式は唯一、1個だけつくられた珍しいコンテナです。
※イソプロピルエーテル(isopropyl ether)・・・ジイソプロピルエーテルとも言われる、分子式C6H14O、融点-60℃、沸点69℃の特徴的な臭気を持つ、無色可燃性液体です。多くの有機溶剤に溶け合う特徴があります。染料の合成原料やアルキル化剤などに使われています。
UT8A形20ftコンテナ
5000番代から始まる形式です。この形式からほとんどが20ftクラスの大型コンテナとなっていきます。
UT8A-5009(北海道乳業 練乳)・5014(鶴崎海陸運輸 無水マレイン酸)・5030(日本石油輸送 糖蜜)
※無水マレイン酸(maleic anhydride)・・・分子式C4H2O3、融点52.6℃、沸点202℃の無色の刺激臭がある固体。水やエタノールには容易に溶ける。工業的には高分子の原料として重要なもので、ベンゼンを酸化バナジウムあるいは酸化モリブデンの存在下に空気酸化をして得ている。不飽和ポリエステル樹脂の原料、コハク酸やリンゴ酸などの食品添加物となる有機酸の原料などに用いられています。
※糖蜜(とうみつ:syrup)・・・糖分を含んだ液体を言います。狭義では精糖(サトウキビなどからつくるもの。氷糖みつや氷砂糖など)、料理(砂糖を熱する、水に溶かすなどを行い、味付けやつやだしに用いる。白密、焦がしたカラメル。)醸造(液糖とも言う。)を言います。砂糖の精製時に発生する糖分以外の成分も含んだ黒褐色の粘状液体を廃糖蜜と言います。名前がちょっぴり悪いので、これも糖蜜と呼ばれています。英語ではモラレス(モラッセス)と言います。精糖の副産物であり、食品廃材の一つですが、糖分を多く含んでいる事もあるため、甘味料、うま味調味料、アルコール、医薬品、健康食品などの原料として使われています。
UT8A-5040(日本蒸留工業 DAQ-50)・5031(大同化成工業 ポリアクリル酸ソーダ水溶液)
※DAQ・・・2,5-ジ-tert-アミルベンゾキノンというもので、英語名ではDiamylbenzoquinone、略称DAQと呼ばれています。C16H24O2、融点137℃の物質。
右の5031番はもともと「液糖」を専用とするコンテナでしたが、ほぼそのまま転用したようです。
UT8C形20ftコンテナ
●0番代
UT8C-3(日本ケミカル工業 LLC)・6(日本石油輸送 ガンマーブチロラクトン)
※ガンマーブチロラクトン(Gamma-Butyrolactone)…γ-ブチロラクトン、分子式C4H6O2、融点-43.5℃、沸点204℃の特有の臭気を持つ無色の液体。有機溶媒、試薬に使われるほか、臭気物質、接着剤の剥がし剤にも用いられています。
●5000番代
UT8C-5007 日本石油輸送 MDI・5028 日本ポリウレタン工業 イソシアネート混合物・5030 日本ポリウレタン工業 C1331)
※MDI(diphenyl methane diisocyanate)…ジフェニルメタンジイソシアネートと言い、通常はMDIの略称で呼ばれています。3種類あり、硬質及び軟質ポリウレタンフォーム(発泡スチロール)や塗料、接着剤などの製造に使用されています。
※イソシアネート(isosyanate)…イソシアン酸エステルなどと呼ばれる化合物で、ポリウレタンの材料として工業的に重要な化合物です。
●8000番代
UT8C-8046 中央通運 メチルトリクロロシラン(KA-13)
※メチルトリクロロシラン(Methyltrichlorosilane)…化学式CH3Cl3Si、融点-90℃、沸点66℃の塩素のような刺激のある臭いを持つ無色透明の可燃性液体です。強酸化剤、水、湿った空気と激しく反応をし、また燃焼すると分解をして塩化水素を発生させます。シリコン樹脂、シリコーン撥水剤などのコモノマー、数々のケイ素化合物の合成原料として使用されています。
UT9形20ftコンテナ
国鉄時代に登場した形式で、0番代と5000番代がありました。
UT9-7(日本陸運産業 オルソクレゾール)
※クレゾール(cresol)…フェノール類に分類される有機化合物で、コールタールを蒸留・精製する事で得られる。オルト(オルソ)・メタ・パラの3種類があり、クレゾール石鹸液など医療機関の消毒液に用いられていました。(現在は使用が減少。)この他に、オルトジクロロベンゼンを配合し、汲み取り便所などのウジ殺しとして使われています。
UT9A形20ftコンテナ
●5000番代 UT9A-5005(エム・ティ・ビー アクリルアマイド)・5014(東神工業 SAQ)・5041(日輪グループ EVA(エチレン酢ビコポリマー)テックス)
※アクリルアミド(acrylamide)…英語の発音から、アクリルアマイドとも呼ばれています。分子式C3H5NO、融点84.5℃、沸点125℃の無臭白色の結晶。毒物及び劇物取締法の劇物に指定されており、神経毒性・肝毒性を有し、皮膚から吸収される。アクリロニトリルの加水分解により合成されており、ポリアクリルアミドの原料、合成樹脂の合成原料などに用いられています。
※SAQ(R)…商品名で、クラフトパルプ製造に用いられる蒸解助剤。赤褐色のアルカリ性液体です。溶解アントラキノン(SAQ)とは異なるので注意が必要です。
※エチレン酢ビコポリマー(ethylene vinyl acetate copolymer)…略称EVAと呼ばれる、エチレンと酢酸ビニルを共重合して得られる柔軟性、弾力性に富む樹脂です。酢酸ビニルの含有率により用途が様々あり、包装資材、接着剤、農業用フィルムなどに使われています。
UT9A-5034(東ソー テトラブロモビスフェノールA(TBA))・5037(トーヨーケム 水性塗料)
※テトラブロモビスフェノールA(Tetrabromobisphenol-A)…分子式C15H12Br4No、融点171~181℃、沸点316℃の特徴的な微臭をもつ、白色の結晶又は粉末状の固体です。水溶性は低いが、メタノールやアセトンにはよく溶ける特徴があります。略称はTBA、他にTBBPAで表す場合もあります。臭素化合物の難燃剤として多く用いられており、ABS、エポキシ、ポリカーボネート、フェノール各樹脂、接着剤などの添加難燃剤に用いられています。
UT9C形20ftコンテナ
●5000番代
UT9C-5006(日本陸運産業 プロパギルメチルフラン)・5007(日油 ポリブテン)・5021(ダイセル化学工業 エポキシ化亜麻仁油)
※ポリブテン(polybutene)…イソブチレンを主体とした低重合体の液体。潤滑油や石油添加剤などに使用されています。
UT9C-5029(マナック TBP-R)・5050(日立化成工業 不飽和ポリエステル樹脂)・5053(ダイヤニトリックス アクリルアマイド水溶液)
UT9C-・5060(エム・ティ・ビー DCN)・5046(日本石油輸送 PPG)
※DCN…1.4-ジクロロ-2-ニトロベンゼンというもので、化学式C6H3Cl2NO2、融点56℃、沸点267℃の淡黄色の結晶の物質。各種染料や有機顔料の原料として用いられています。
私有コンテナその3では、ホッパコンテナとタンクコンテナをご紹介しました。
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